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【第2部開始】ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜  作者: 月森 かれん
第1部 勘当旅編

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第29話 ラディウスとの再会

 しばらく歩いてリンダさんたちの宿屋に辿り着く。

幸い、外にジェイドさんが出ていなかったので、宿屋の影にスライムたちを集めた。 


 「じゃあ、ここで待っててね」 


 『は~い。大人しくしてます〜』


 テネルたちに念押しした後、宿屋のドアを開けた。


 「こ、こんにちは」


 「こんにちは――あら、シーラちゃん!久しぶりねー。元気だった?」


 受付にいる茶髪の女性――リンダさんが笑顔で出迎えてくれる。


 「はい。リンダさんも元気そうでよかったです。それで、ジェイドさんは?」


 「夫なら、奥で汗を流してるわ。さっきまで薪割りしてくれてたから。

あの人、力仕事好きなのよ」

 

 「そうなんですね」


 「あ、今日はお客さんは居ないから、空いてるベッドに座って待っててちょうだい」


 「じゃあ、お言葉に甘えて……」


 綺麗に整えられたベッドに座るのは気が引けたけど、正直、歩き通して疲れていたので座れるのは嬉しかった。


 やがて、タオルで髪を拭きながら、ジェイドさんが奥の部屋から顔を覗かせる。


 「やあ、シーラちゃん。元気そうだね」


 「ジェイドさん、こんにちは。お変わりなくて何よりです」


 「ははっ。かしこまって言われると変な感じがするな。

 ドラゴンの所へ行くんだろう?着替えてくるから、ちょっと待っててくれ」 


 ワイバーンの巣でもある山に行くので、ジェイドさんは重そうな鉄の鎧に背中に大剣というフル装備だ。


 「じゃあ、行こうか」


 「はい!よろしくお願いします!」


 「いってらっしゃ~い」


 リンダさんに見送られて。宿屋を後にした。


 山の入口に辿り着くと、目の前に白い壁があった。

もちろんそれは壁なんかではなく、少し動いたと同時に、ズシンと地響きがする。竜本体のラディウスのお腹だったのだ。


 『遅い!やっと来たか!箱入り娘!』


 「ラディウス!?……って、いきなり箱入り娘はひどいよ!

この2か月頑張って勉強したのに!」


 『はははっ!俺から見れば、まだ箱入り娘なんだよ!』


 ラディウスが入口付近にいたことにもビックリしたけど、再会直後に口喧嘩するなんて思ってなかった。

 でも本気ではないことはわかるので、私も軽く返しておいた。


 ジェイドさんは何とも言えない表情で私達たちを見比べている。

でも完全に警戒はしていないので、少し安心した。


 『ほらよ、鱗持ってけ。ああ、鱗は定期的に脱皮するから痛くねぇよ』


 ラディウスは鋭い爪で器用に鱗を1枚剥がすと、私に差し出す。

 ザラザラしていて、少し重たい。でも陽の光が反射していてとても綺麗だ。


 「ありがとう!ラディウス!」


 「でも、これで必ずしも交渉が上手くいくとは言えない。

それでドラゴン、もし失敗したらどうしたらいい?」


 『失敗させなきゃいいんだよ。どうしても渋るんなら、俺直々に町破壊してやるって言っとけ』


 「脅しじゃん……」


 呆れてツッコむと、隣でジェイドさんが真顔で話を続ける。


 「いや、作戦としては有効だ。ドラゴンの恐ろしさはみんな知っているからな。それに新しい鱗を見て「本当に復活した」とは思ってくれるだろう」


 『まぁ、最終手段だ、最終手段。俺も豪華な物要求するわけじゃねぇ。

肉と酒。以上』


 「それだけでいいのか?」


 『前にも言っただろうが。俺は静かに暮らしたいの!』


 ラディウスが叫ぶように言ったので、木の葉がザワザワと音を立てて揺れた。

 ジェイドさんは自分を落ち着かせるように息をついてから、口を開く。


 「わ、わかった。だが、俺達じゃどうにもならないこともあるからな。その時は諦めろよ」


 『その時はな。まあ、何かしら対応はしてくれるだろ。町を壊されたくねぇだろうし』


 「本当に町を壊さないでね。大丈夫よね?」


 『町の奴ら次第だ。ほら、立ち止まってる暇なんてねぇだろ』


 ラディウスから急かすように言われて、私達は山を後にした。

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