教室待機の時間
さて、アメリアとともに教室へ来たものの、特にやるべきことはありません。
「アレックス、本当に大丈夫なの?先生に渡したものだって、魔力を使うものなら今のあなたにとって体に負担になるんじゃないの?」
「あれは以前に魔力を込め、忘れていたものですから問題はありませんわ。それよりも、閉会式の内容が気になるでしょうに、アメリアは私に付き添ってよかったのですか?」
「確かに気になるけど、そんなことよりも友達の方が大事よ。それに、素晴らしい発表だったもの何かしらの賞はもらえているはずだわ」
アメリアの仰る通りですが、やはりアメリアだけでも閉会式に向かわせるべきでしょうか。
「それに、来賓の方のお話も学園町のお話も長いから退屈しちゃうわ。以前、立ちっぱなしで貧血を起こした学生もいるし、こっちのいた方が休めるし役得だわ」
「まあ、それはそうかもしれませんわね」
アメリアにつられて私も笑ってしまいます。私に気を使わせないよう仰ってくださったのでしょうが、その心遣いが嬉しく感じられます。
楽しそうに学園祭の出来事について話されるアメリアとの空間は楽しさで溢れていて心が明るくなります。
「アメリアは火の精霊みたいですね」
「火の精霊?」
「ええ。感情がとても豊かで皆の心を温めてくださる素敵な精霊さんです」
「へぇ、会えるなら会ってみたいわ。本当に妖精や精霊はいるのかしら?」
「ふふ、彼らは存在していますよ」
きっと合われたらすぐに意気投合してしまうのでしょうね。明るくておしゃれが大好きで、情に厚く気配り上手ですもの。
「アレックス?」
「いえ、何でもありませんわ。...どなたかが近づいているようですね。アメリア、こちらへ」
私はストックしている魔石を使い、防音と姿を消す魔術を使いました。以前よりも改良できたため、魔力消費を減らすことに成功しました。全生徒が閉会式に参加していることになっているため、教室に私達がいることに気が付かれては都合がよくありません。
できることなら速やかに教室のそばから離れていただきたい次第です。
「ったく、ダルいよな。いくら友好国だからとはいえガキのお祭りの視察だなんてよ」
「仕方ないだろ?皇帝陛下が興味を示されているんだから」
「興味っつったってガキに対してだろ?結婚しないと思ったら幼女趣味だなんて笑えないな」
「言葉が過ぎるぞ!」
「誰も聞いちゃいねーよ。以前の外交パーティーからあの調子だ、やれ、ダンスが素晴らしいだの、堂々とした態度を気に入っただの。皇女様がかわいそうでならないね」
「そう言いながら皇女様を口説いているのほどこのどいつだ?」
「俺だな。大人しいから今のうちに手なずけておくのはありだろ」
いきなりの出来事にアメリアは驚いています。
皇帝様に幼女趣味がおありだったとは私も驚きです。それに、あの日、最も素晴らしいダンスを披露したのは魔王、オスクリタです。後ほど、オスクリタに情報を共有した方がよろしいでしょう。皇帝様と魔力量が釣り合うのかは存じ上げませんが、少しでも情報を集める時間は多い方がいいはずです。
「...。言ったようですね」
「びっくりしたわ。それにしてもあんなに大声で話す人がいるのね」
「同感です。それにしても仮にも友好国で催されているものに対しての物言いとしては0点を通り越してマイナスですわね。アメリア、どうかされましたか?」
「いえ、アレックスがそんな風に怒りを露わにするなんて意外だなって」
「まあ、私だって怒ることはありますのよ」
「だって、いつも優雅に微笑んで流すことが多いじゃない?」
「普段のことは憤りを覚えるほどのことではありませんから」
私に向けられる嫌味などは適当に流してしまった方が楽、というのもありますが、対処すべき時はしているつもりです。ただ、お兄様やグレイ曰く、私が本気で怒ったら手に負えないそうです。お2人の物言いは大げさすぎるような気がいたしますが、常に起こっていらっしゃる方よりは笑顔でいらっしゃる方の方が好感を持ちやすいので私もそれに倣うことにしました。
さて、閉会式が終了するまでまだまだ時間はありそうです。この間にどうにかふらつきを治しつつ、先ほどからこの場で愚痴を漏らしに来る方々を聞き流さなければなりません。断続的に来られています。困ります。
中には国家機密をポロっと言ってしまわれる方もいます。国家機密の扱いはどのようになっているのでしょうか、教えていただきたいところです。
アメリアも苦笑いを漏らしています。
最終手段として気が付かれないようにいたずらをしてみようかとも考えましたが、後々のことを考えると処理が大変そうですのでやめておくことにします。
早く、閉会式が終わってほしいです。




