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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵


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宣伝散策

 学園祭2日目は昨日よりも穏やかに始まりました。と、言いますのも舞台まで時間が多くあるからです。早速私はカミラとともに出店エリアを回ることにしました。

 クラスの演出班の方ができれば宣伝を兼ねて衣装を着てほしいと仰られましたのでその通りにしています。とはいえ、本番用の衣装を汚してしまっては困りますのでカミラは予備の衣装を、私は昨日同様自前のローブを羽織っています。

 予備としているものは元は練習用に作られたもので装飾も本番用のものに比べて控えめになっています。しかし、その控えめでシンプルなところがカミラの美しさや女性らしさを引き立てているように思えます。


「あら、アレクサンドラ様にカミラ様ごきげんよう」

「アウロラ様、ごきげんよう。お店当番ですか?」

「ええ、そうですわ。お2人は宣伝、かしら?」

「自由時間も兼ねていますが、そうですわ」

「素敵な衣装ですね。実は、昨日は舞台の方を見に行けなくて、ずっと気になっていましたの」

「そうでしたか。昨日はとても良い物を披露できたと思いますわ」

「やはり、そうなのですね。今日こそは必ず見に行きますわ。ジャクソン様を連れて」

「私達も見に来てくださることを楽しみにしております」


 アウロラ様おすすめのお飲み物をいただき、私達は別の場所へと移動しました。

 その間も昨日、演劇をご覧いただいた方々にお声を掛けられました。本日も見に来てくださる旨を伝えて下さったり、昨日の感想をいただいたりと様々でした。

 歩いていますと演奏の音も聞こえてきてなんだか楽しい気分になってきます。


「アレックスったら鼻歌を歌ってそんなに楽しいの?」

「...無意識でしたわ、お恥ずかしい」

「ふふ、可愛らしい魔術師さんですね」

「も、もう、からかわないでくださいまし」


 顔が赤くなっているのが自bんのことながらわかります。少しいたずら気に笑うカミラは不思議な色気を漂わせています。


「何をやっているんだ?2人とも」

「ぐ、グレイソン様!?」

「あら、グレイいたのですね」

「やあ、アレックス、それからカミラ」


 グレイがカミラの手を取り口づけをしました、この方は誰なのでしょう?

 カミラがお顔を真っ赤にしてしまいました。


「カミラ、俺のことをグレイとは呼んでくれないのかい?」

「そ、その、恐れ多いと言いますか、お、お恥ずかしくて、」

「そういうところも愛らしいな」


 グレイはめげずにカミラを口説いています。しばらくご相談を聞かない間に何があったのでしょうか。グレイのカミラに対する好感度がかつてないほどに上昇し、目の前の彼が本当にグレイなのか疑わしいレベルです。


「アレックス、なんだ?その目は」

「いえ、お気になさらず続けてください」


 何か小腹を満たせる甘味をいただきたいところです。


「放っておいていいのか?」

「私には止めようがありませんもの。おすすめのクッキーはございますか?」

「ああ、それなら紅茶の葉を混ぜたものといちごのクッキーだな」

「では、それを1つずつとレモンとプレーン、チョコチップもいただけますか?」

「そんなに食べるのか?」

「差し入れですわ。ありがとうございます」


 こうしてノア様に注文している間も口説いています。ノア様も呆れたようにその様子を眺めています。試食としてお出しいただいた緑色のお茶のものもいただきます。クッキーの甘みと茶葉の苦みがちょうどよく美味しいです。少しだけ大人っぽさを感じるお味ですね。

 そのことを告げるとノア様とその後ろの生徒も嬉しそうに微笑まれました。


「今着ているものは衣装か?」

「いえ、こちらは自前のローブです。舞台の宣伝のためにこうして散策しているのです」

「なるほど、評判がいいそうだな。俺も後ほど見に行くよ」

「ぜひ。とても楽しめると思いますわ」


 そろそろグレイを止めてカミラを回収した方が良さそうですね。今度は今着用されている衣装について熱弁されています。


「ああ、シンプルであるがゆえにカミラの魅力を最大限引き出している素晴らしい衣装だ、むぐ」

「カミラ、大丈夫ですか?」

「え、ええ、少しだけ恥ずかしいですわ」


 恥じらいながらそう仰られるのは反則です。周囲の方々がときめいていらっしゃりますわ。グレイの口を封じておいてよかったです。きっと騒いでいたことでしょう。


「あ、あの、アレックス、そろそろグレイソン様が、」

「カミラがそう仰るなら解除しましょう」


 指を鳴らすと見えない何かが消え、グレイは話せるようになりました。


「急に何をするんだ?」

「カミラが困っていたからです」

「この素晴らしさはぜひ本人に伝えるべきだろう!?」

「伝えずともお分かりになることをわざわざぺらぺらと話されるのは言葉を軽くするだけでしてよ?この姿のカミラをご覧になれば何人ともその魅力に気が付かないはずはございません」

「それは、確かにそうだな。すまない、カミラ」

「い、いえ」

「そう言うことではないと思うが...。グレイもそろそろ手伝え。サボるな」

「あ、悪い」


 当番なのに職務に全うしていなかったようですね。少し罰を与えましょう。


「では、今日の部隊も楽しみにしていてくださいませ。カミラ、行きましょう?」

「え、ええ。行きましょう、では、グレイソン様、楽しみにしていてくださいね」

「あ、ああ。楽しみにしているよ」


 私がカミラの手を取ると苦虫を嚙みつぶしたような表情になりました。カミラを困らせた罰と当番を少しサボった罰です。

 それにしても、人をあそこまで変えてしまうだなんて恋とは不思議で魔法や魔術よりも恐ろしいものだと改めて感じざるを得ませんでした。

 クッキーは演出や衣装の最終確認をされている方々へ差し入れとしてお渡ししました。

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