練り直し
アウロラ様もご協力してくださりましたが、目的の人物の特定には至りませんでした。
申し訳なさそうにお話されるその姿にこちらも申し訳なくなってしまいます。
「ここまで探してみてもいないだなんて、妖精にでもお会いしたのではないか?」
疲れた顔でジャクソン様がそう仰りました。久しぶりにお会いしましたがどうも公務のお手伝いや後継者教育が本格的に始まりお忙しい日々を送られているそうです。それに加え、生徒会での学園祭運営の準備などもこなされていて、現在生徒からは羨望と憧れの目で見られています。
「妖精?この国には妖精が、いや、伝説があると聞いたことはあるが、まさかな...」
「どの辺りでその少年とやらを見たのかだが、地図を見る限り聖地に近い狩猟場だ。妖精が紛れて遊んでいてもおかしくないのではないか?」
「ジャクソン様、妖精は絶滅したと、」
「私もそう思っていたのだが、」
そう言葉を区切り、私に視線を向けられました。これでは私が妖精について詳しいような印象を持たれてしまいます。
「聖地の様子を見る限りでは絶滅したとは言い難いと思います」
「では、何故お姿を現さないのですか?」
「それは、」
「それは、われわれ人間が原因だろうな」
「人間が原因ですか?」
恐らく、妖精に対して行われた非道な行いについて言われているのでしょう。現代の人にあまり知られていないのは仕方がありません。
王族が今までひた隠しになさってきた事実なのですから。後継者教育の過程で知ることとなったのでしょう。
「妖精とコンタクトを取ることができたら簡単に解決できそうなのだが、できると思うか?」
「...。現時点では難しいと思いますわ」
「そうか...」
反省の姿勢を見せていない以上、被害を受けた側は許そうだなんて思うことはないのでしょう。情報が一部でしか知られていないことも含め、彼らは不信感を抱き、そのまま隠れてしまわれました。
それにより、不都合が起きることがございますが、それは彼らが悪いのではなく自らを過信しすぎた人間側の自業自得だと言えるのでしょう。
「それでは、もう一度ノア様がお会いすることはできないのでしょうか?」
「お相手が妖精であればのお話ですがね」
「ほう?妖精ではないと思うのか?」
むしろ、ここに来て何故妖精説を推すのかわかりませんが、現実的に考えてお相手は人間でしょう。
「妖精は人間の前に姿を現そうとしません。ノア様も人間ですからそのお姿を見せる可能性は低いと思います」
「た、確かに。では、何故見つからないのだ?」
「諸々の状況から考えるに、その方が身分やお名前を偽って参加されていたか、そもそも王国内の方ではなかったか、」
「有り得なくはないが、何故そう思う?」
「ここまでお探ししても見つからないからですわ。他国の方も招かれた会ですし、その可能性もあると思いました」
「なるほどな」
「では、もう探すことは不可能ということか?」
「振出しに戻ったと考えた方がいいだろう。諦めるつもりはないのだろう?」
「そうだな」
これは、是が非でも魔獣具を完成させなければならないようです。もう少しだけ時間をいただきたいところですが、そうはいかないようです。
捜索の計画を新たに考えられているその横で私は魔術具の制作と既存の改善について考えながら私はお話を聞いていました。




