その後の反省
後ほどお聞きしたお話ですが、婚外の外交は魔界側が有利になるようにお話が進められたようで嬉しそうにしている魔王様と少し疲れたお顔をされているお父様とで対照的な様子でした。
「輸入されるのは主に魔石と貴重な薬草や魔術具なのですね」
「ああ、こちらからは装飾品や高級趣向や美容品が輸出されることとなるだろう。お茶会での一件が無ければこちらとしてももう少し有利な条件を出せたはずなのだがな」
そのような目で私を見られても困ります。失言をされた方々はとても恥をかかれていましたし、それでよいとは思いますが、外交交渉を担当される方は大変だったでしょうね。
その他にも失言をされてお家の方々もひたすら平謝りをしていたそうです。
「お茶会でそのような失礼な発言をする者がいたのか...」
「ええ、空気が凍られましたわ。しかし、魔石の装飾品はある程度若い方々にも受け入れられそうです。何人かの方が王妃様に質問されていましたから」
「加工できる職人の育成が急務だと言えそうだな」
「何はともあれ無事に終わってよかったではないか」
そうは言いましても、問題点もありますし、そこは後々の対応でどうにかなることでしょう。
「そう言えば、オスクリタは学園の見学をしてから帰るそうだ」
「では、お会いした際には案内やおもてなしをしますね」
「この時だけは学生に戻りたく感じるな」
「あ、はは、お兄様、お仕事頑張ってくださいね」
学園内ではお茶会の出来事で持ちきりで特に王妃様が身に付けられていた装飾品に関心が向いているようです。私も魔石を使用した髪飾りをしていたことからいくつかの問い合わせがありました。
主に魔石の入手方法とどちらの工房で加工をお願いしているかについてでした。加工は自分でやってしまっているので適度にぼかしつつお話をしました。宝石を扱う工房では魔石の扱いはできないようで困っているとのことでした。
手を貸してあげたい気持ちがある反面、不都合もあるため極力自分以外の河口には携わることは避けたく思います。
「加工にもいろいろな方法があるからな。アレクサンドラ嬢はどのような加工を施しているんだ?」
「主に、研磨と魔法陣の刻印、それから色を変化させたりですね」
「研磨は基本的なことでどんな医師に対しても行われることだが、」
「色の調整も可能なのですか?」
「ええ、上手に魔力を注ぐことができましたらそれほど難しい作業ではありませんわ」
「そこまで的確かつ繊細に制御するのは至難の技だと思うのだが、母上の物も宮廷魔術師が何日もかけて加工を施したものだし」
「相当な技術が必要とされているのですね」
最近はアウロラ様やお時間がある時はジャクソン様も意見交換に加わっています。
魔族の情報を少しでも集めたいようですが。
「存じ上げていると思いますが、私は魔族ではありませんよ?」
「知ってはいるが、ここにいる誰よりも詳しいであろう?」
「そこまで詳しいとは言えませんわ。知っていることといえば、そうですね。人間よりも魔力が高く、美形が多いことでしょうか」
「魔力量が多いことと美形だなんて、まるで王族の特徴と似ていますね」
「...。」
「アレクサンドラ様?」
「あ、いえ、他に何かありましたかと思いまして、」
アウロラ様は時々鋭いことを言われます。王族にとっては都合のよろしくない事実ですので伏せますが、そもそもの祖先が同じなのですから似た特徴があるというのも頷けます。とはいえ、現在の王族の魔力量は全盛期である建国時よりも減少しているようですが。
「なんじゃ、我らの話か?」
「ま、魔王殿、」
「ごきげんよう、見学の方はいかがでしたか?」
「悪くないな。ぜひこちらでも参考にさせてもらおう。それと、女性らが気にしておった魔石の河口についてだが、一部は加工したものを輸出することとなっておる」
「格別の配慮を、」
「気にするな。面白いものが見れたからな」
楽しそうに笑っていらっしゃりますが、交渉側は大変だったそうでジャクソン様は少し青ざめています。
「まあ、魔族について知らぬことがあるから恐怖心が植え付けられておるのじゃろう」
「そうですわね」
「先ほどアレックスの話で大方間違ってはいないが、まあ、生活自体は人間とさして変わらぬ」
「街の風景を見る限りそうであったようだな」
簡単にこれまでの認識を変えるのは難しいことです、魔族も魔石も同じことでしょう。お互いに歩み寄り、変わっていくしか方法はありません。
それをわかっているからこそオスクリタは魔王としてできる限りの歩み寄りをしようとしているのでしょうね。




