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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵


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お茶会という名の戦い

 お茶会、それは女性にとっての戦いの場です。場に合った衣装を選び着こなすセンス、そして侮られない程度に謙虚でお淑やかに見られるような態度、情報を収集し的確に分析する能力が求められます。

 男性も参加されるパーティーよりも特に気を付けなければなりません。少しの失敗で今後の評価に関わるため気を抜くことができない、いわば大勢の魔獣に対して武器1つだけて挑むようなとても厳しい戦いだと言えるでしょう。

 まあ、気分的には本物の魔獣を相手にする方が楽なのは事実ですが。とにかく用心すべき会だということですね。


「アレックスも緊張しているの?」

「ええ、少しだけ」


 緊張とは違った武者震いのようなのもですが、今日は普段よりも謙虚に徹する必要がありそうです。


「あら、アレクサンドラ様の身に付けられている髪飾り、以前も拝見したものではありませんか?」

「本当ですわ。同じものを付けられているだなんて、ふ、相当なお気に入りなのですわよ、きっと」

「可愛らしいお方ですから、きっとご自身の見合うものを選ぶことをまだきちんと身に着けられていないのよ。本当に可愛らしいわ」


 今のご令嬢方のお話を訳すると、

「あら、アレクサンドラ様ったらまた同じ髪飾りを付けているわ。別のものはないのかしら?」

「本当だわ。同じものを付けるだなんて、は、別のものをご用意することができなかったに違いませんわ」

「まだ(見た目が)幼いのだからおしゃれや配慮について考えることができないのよ。本当に(見た目だけでなく中身も)幼い方なのね」

 と、なります。

 このような牽制はまだ序の口です。会話が聞こえていますよ、と微笑みかけると青ざめた様子でどこかへ移動してしまいました。そんなに恐かったでしょうか?少しだけショックです。

 先ほどのご令嬢方のおかげで視線が痛いのですが、どうしましょう。


「あら、アレクサンドラ嬢、ごきげんよう」

「王妃様、ご機嫌麗しゅう。本日はこのような素敵な場にお招きいただき誠にありがとうございます」

「顔を上げて頂戴。私は貴女にお会いすることをとても楽しみにしていたわ」


 顔を上げると微笑まれます。先ほどよりも強い視線が向けられます。羨望、緊張、嫉妬など、向けられてもあまりうれしく思えない類のものです。


「ふふ、身に付けられている髪飾りはとても素敵だわ。私のために着けてこられたのよね?」


 どうやら先ほどのお話は聞こえていたようです。王妃様にお見せするわけではございませんが、ここは便乗しておくことにしましょう。


「はい、是非とも王妃様のお目にかけたく着けてきました。しかし、あまり好まれないのではないかと少しだけ不安になってきましたわ...。」

「あら、とても素敵よ。見る角度によって色が変わったり、デザインも素晴らしくアレクサンドラ嬢にとてもお似合いですわ」

「ありがとうございます。こちらの髪飾りは私の友人である、アメリア・ターナー様がデザインされたものになります」

「そうなの。後ほどお話を聞くわ。今日は楽しまれてね」


 王妃様はそう仰って別の場所へ移動されました。先ほどの方々はさらに顔色を悪くされていらっしゃります。

 お茶会前の雑談をする時間もそろそろ終わりそうです。割り振られた席へ着かなければなりませんね。

 席は家格によって割り振られているようです、私は王妃様に近い席となりました。この時にお話しすることもできたでしょうに、わざわざ助けてくださったようです。

 斜め向かいの席には魔王様が着席されています。あまり表情には出ないようにしているのでしょうが、多少の緊張が見て取れます。私の顔を見たとたんに少しだけ安心され多様で、そこからは堂々とした魔王様の雰囲気をまとい始めました。


「本日は参加してくださり、ありがとうございます。ぜひ楽しんでくださいませ」


 王妃様がそう宣言されると、お茶やお菓子の話題が始まりました。

 お茶はまろやかな甘みのあるお茶で、お菓子はそれに合わせて甘みを抑えられているようです。魔王様は興味深そうに口にされています。あ、お気に召したようです。


「それにしても、最近は学園内で予想外のことが多く起きますわね」


 話題はいつの間にか学園でのことに変わっていました。テストや音楽祭に学園祭のことが話されています。

 お話を聞く限り私達のクラスについてのようです。嫌味を言われるのならばもう少しわかりづらくしてほしいものですが。その器用さはまだ持ち合わせていないのでしょう。


「それに、魔石に触るだなんて、ねえ」


 私の髪飾りをちらりと見てそう仰りました。一部の貴婦人の間では流行になりつつあるというのに。王妃様も魔石を加工したアクセサリーを身に付けられているのが目に見えないのでしょうか?

 それに、魔界と魔石の輸入について交渉中であるということは多くの貴族が存じ上げていることです。それを王妃様や魔王様の前で批判されるなんて、とても勇気のある方だと見受けられますわ。

 ほら、魔王様が邪悪な笑みを浮かべられていますよ。王妃様もその笑顔が怖いです。


「王妃殿よ、例の取引だが、中断するよう伝えてもらえるか?」

「そんな、これから多くのことで利用できるものなのに、ですか?」

「忌避感を持っている者が多いというのに、我は売るなどそのようなことはできぬな」

「では、調査いたしまして、家によっては取り扱わないよう言いつけておきますわ」

「ふむ、ではそのように交渉を検討しよう」


 何が起きているのかわからないという方々が多数見受けられます。わざわざお教えする義理もありませんので私もわからないふりをしておくのが賢明なのでしょう。

 一部の家は大打撃を受けるのでしょうね。

 後ほど王妃様が魔石の加工品を身に付けられていることを告白したところ、青ざめている方が多くいらっしゃりました。青ざめなかった方々は加工法やデザインについて問い合わせており、若い方々の間でもアプローチによっては流行に成り得ることが確認されました。

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