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変化の兆し

 新たなお友達ができた一週間が経ちました。

 他のクラスメイトとも徐々に打ち解け我がクラスは不思議な一体感に包まれております。

 

「アレックス、ごきげんよう」

「リリー、アメリア、ごきげんよう。ふふ、この挨拶にも大分慣れましたわね」

「そうね。あら、アレックス今日のヘアアレンジも可憐だわ」

「アメリア、ありがとう。侍女が毎朝張り切っているの」

「確かに、こんなに可愛らしかったら張り切りたくもなるわよね」

「それは、よくわからないけれど。お友達ができたとお話しした時からさらに盛り上がってしまって。今まで使用していなかったアクセサリーも磨いていたわ」

「ふふ、アレックスのことが愛おしくてたまらないんだわ」


 すれ違うクラスメイトとも挨拶を交わしながら教室へ入ります。

 学園のクラスは実力や希望により分けられています。その中にはもちろん家の派閥が異なる方もいらっしゃいますが、学園の原則としては様々な生徒との交流が望まれ、配慮されています。

 クラスは4つ存在し、象徴する色によって分けられています。

 赤色は騎士になりたい方が多いと言われ、とても情熱的なクラスです。

 青色は魔法師を志望する方が多く、理知的な印象を与えます。

 緑色は文官など幅広い職業に就きたい方が多く堅実な方が多いそうです。

 そして、黄色。私が所属しているクラスですが、芸術分野に造詣が深い、とされているものの、多くの生徒が配属理由がわかっていない個性的なクラスです。

 とはいえ、どのクラスもその中で試験の結果に伴いさらに二分割されています。もちろん、将来文官を志望していても緑色以外に振り分けられることがあるのでその限りではないようですが。


「アレックスが黄色なのは意外だったわ」

「そうかしら?」

「ええ。だって、魔法も座学も得意でしょ?それなら魔法特化のクラスの方が良かったのではないかと思って」

「そうですね。しかし、青色でなくても魔法師にはなれますし、その逆もありますからね」


 基礎授業はどこのクラスも同じですし、恐らく性質などで分けられているのでしょう。


「アレックス、この古代文学なのだけど訳が合っているか確認していただけないかしら?」

「ええ、構いませんわよ」

「リリーったらもう古代文学に夢中なのね」

「アレックスにオススメされたお話が面白かったんだもの。最初は現代訳版を読んでみたのだけど、原書の方も少しずつ読み進めてみたら楽しくて」

「段々読めるようになると楽しいですよね。そういえば、最近仕入れた本は衣服に関するものがいくつかありましたわ」

「衣服、ですか?」

「ええ。北方の民族衣装や衣服を染める染料についてのものでしたわ」

「それは、面白そうだわ。でも、私は古代文字が苦手だし...。」

「楽しそうなお話ですね。私達も混ぜてくださりませんか?」

「テイラー様。ええ、もちろんですわ」


 この方は、カミラ・テイラー様。おしゃれがお好きな方、でしたね。


「お姉さまがコリン様の興味を示しておりまして、毎日のようにコリン様がどのような方か聞いてくるのです」

「お姉さまがいらっしゃるのですか?」

「ええ。最終学年なのです」

「お噂はお聞きしたことがございます。成績が優秀で女神のように美しい方だと」

「アメリアは物知りなのですね」

「確かに、優秀でお美しいと思いますが、逆に私にはそれが重荷で、」

「優秀な兄姉を持つと大変ですわよね」


 リリーが遠い目をしています。


「そうなんですの。頼りがいはあって、素敵なのですが周囲に比べられると少し心苦しいと言いますが、」


 妹同士、話が合うようで大変さと兄妹自慢が繰り広げられております。

 確かに、我が家の兄も優秀ですが。両親は私たちを比べることはなさいませんしつらいと思った経験は少ないのかもしれません。強いて言えば、兄は友好関係を広げることが得意で私が不得意でしたので、そのことを羨ましく思う時期はありましたが。


「話が盛り上がってしましましたね」

「そうですね。仲が良くなれて良かったですね」

「そうだわ、アレックス。次の試験なのだけど、お勉強を教えて下さらないかしら?」

「私でよろしければ」


 あちらのお話が盛り上がっている間、私とアメリアは試験勉強の日程調整を行いました。元々誘う予定であったリリーの他にテイラー様も参加希望をなさったことは意外でしたが、教えあうことができるということで参加することとなりました。

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[一言] 芸術分野に造作が深い ではなく、『造詣』が深い、では?
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