他者から見える変化
「アレックス、カミラ嬢は何を好んでいる?」
「グレイ、いきなり来て騒がしいですよ」
今日は図書館で資料を探すことにしてます。グレイは東屋を訪れる機会は減っていて今日は図書館に行くことを存じ上げていないはずですのに。
「ノアに聞いた。あいつは今日、用事があると言っていたから。東屋には行かないと」
「私は1人でも東屋を利用しますわよ。今日はたまたまこちらにいるだけです」
「ノアがいなくてもいるのか?」
「私のお気に入りの場所ですもの。ノア様がいようがいまいが利用します」
こちらの資料は参考になりそうですね。オスクリタにお願いされたものも今週中には片付けたいところです。
「頼む、この通りだ!」
「グレイ、ここは図書館です」
「あ、ああ、すまない」
幸い、私達と司書の先生しかいませんが、マナーは守るべきでしょう。ほら、貸出カウンターの方で咳払いをしています。
「それにしても、カミラの好みですか...。」
「ああ、今度出かけるのだが、何かプレゼントでも用意しようと思ってな。ノアにアドバイスを求めたら宝石でも渡しておけと、だが、それは違う気がしてだな」
「なるほど?」
どうやら真面目に悩んでいるようです。私ができるアドバイスはあったでしょうか?
「アレックスは何を貰ったら嬉しく思う?」
「貴重な素材に魔術書でしょうか?」
「そう言うと思った。お前が求めるレベルのものを送れるやつはいるのか?」
「いますわよ。お兄様にお父様、お母様、それに魔王様かしら?」
「そのレベルじゃないとダメなのか」
「今はカミラのお話ですわよね?私のことを聞いても参考にはなりませんわよ?」
「わかってるじゃないか、カミラ嬢に寄り添った答えをくれないか?」
私はカミラではないのでわからないことが多数あると思うのですが。
さて、カミラのお好きなものですか。甘いものは当然ながら、少し刺激的な味も好まれると仰っていました。しかし、これはあまり知られたくないようですし。
確か、最近読んだ恋愛小説だと、ペアのアクセサリーや衣服などでしたね。しかし、これはフィクションの中であって、もしも好みやサイズが違っていた場合には相手に恥をかかせてしまう可能性があります。
「カミラにお聞きした方が早いのでは?」
「それでは、プレゼントの意味がなくないか?」
「好みと違ったものをお贈りしてガッカリされるよりは良いでしょう」
「それは、そうだが...」
いくつかの本を借りていきましょう。
「それにしても、そこまで悩まれるだなんてカミラの魅力に気づかれましたか?」
「ま、まあな。それに、あそこまで俺のことを想ってくれる令嬢はいないと思う」
「カミラはお優しいですからね。これからは大事になさってください」
「これは?」
「カミラが好まれている小説です。確か、演劇が上映されるとお聞きしましたわ。カミラもぜひ見てみたいと仰っていたような」
「すぐにチケットを手配しなくてはならぬな」
グレイはそう言って足早に帰りました。 ようやく静かになりましたわ。
「アレクサンドラ様も変わられましたか?」
「いいえ。変わったように見えますか?」
「ええ。他人に興味を持たれるようになりましたね」
「まるで今まで私が他人に無関心だったようではありませんか」
「そうだったでしょう?」
「...。」
「魔術以外には特に関心を示されなかったで。表面上は健気に淑女を目指しているふりをして、ですから、あのような令嬢と行動を共にできたのですよね?だから我慢が出来ていた、しかしそれも煩わしく、」
「言葉が過ぎますわよ?先生」
「これはこれは、失礼いたしました。ふふ、あの時の目とそっくりですね」
「何のことでしょう?貸し出しをお願いできますか?」
「かしこまりました。アレクサンドラ様、これからは御身が傷つかないように行動さないませ」
「警告ですか?」
「いえ、心配だからこその忠告です」
私は笑いあって図書館を後にしました。さて、少しだけ気を抜いてしまったようですし明日からはまた気を付けて日々を生活しましょう。




