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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵


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キレイなハツコイ

グレイ、カミラの相談をお聞きしてしばらく、多くの女生徒とそれほど多くはない男子生徒から恋のお悩みについて相談される機会が増え、私は頭を抱えていました。

 あまりにも専門外すぎます。


「アレックスも恋愛小説を積極的に読むようになって、ついに興味が出てきたのかしら?」

「い、いえ、そういうわけではありませんが、」


 私はあまりにも恋愛ごとに関する知識が不足しています。それを補うためにページをめくっては見るものの、疑問が浮かぶ描写が多く、参考になっているのかどうかもわかりません。

 カミラを観察しつつ、恋愛小説を読むことでどうにか恋する乙女に共感してみようと試みますがどうも上手くいかないようです。


「ふう、難しいですわ」

「アレクサンドラ様でも難しいことがあるのね」

「私はまだまだ未熟ですから存じ上げないことは多くありますわ」


 今日はアウロラ様もいらっしゃっており3人でお茶をしつつ意見交換をしています。とはいえ、それぞれ異なったことをしているため、一見すると不思議な空間が広がっています。ノア様は魔術書を開き、アウロラ様は刺繍に勤しみ、私は恋愛小説をどうにか読破しようとしています。


「でも、どうして読む気になったのかしら?今まではご友人に勧められるもの以外はあまり読まれていませんわよね?」

「最近そのようなご相談が増えたこともありますが、」

「あら、それだけではないのね?」

「ええ、その、カミラの楽しそうな表情を見ていますと少しだけ興味がわいたと言いますか、」

「あら、素敵なことではありませんか」


 アウロラ様は瞳を輝かせておりますが、思われているような素敵な考え方ではないことは私が1番理解しています。

 グレイはカミラと向き合うことを頑張っていらっしゃっているようです。その結果として、距離を縮めることができ、カミラのお話をよくしてくださります。今までならば、授業で習った魔術のお話や私に対する小言、政治についてのお話が多く、カミラのことについては何も話されませんでした。

 きちんと向き合うことで魅力に気が付いたのだと思います。一方のカミラは今まで知り得なかったグレイのことについて楽しそうに愛おしそうにお話してくださります。あまりカッコよくないところを目にしてしまっても幻滅するどころか意外な一面として好意的に思われたご様子です。

 その時にふと思ってしまったのです。人の心までも変えてしまう恋とはどのようなものなのか。それはどんな魔術や魔法薬よりも研究することが難しく、さらには不可思議ではありますが、その分研究のし甲斐がありそうだと。

 恋に興味があるというよりも恋が対象にもたらす変化や効果について興味があると言った方が的確なのかもしれません。


「アレクサンドラ様?手が止まっていらっしゃいますよ?」

「あ、本当ですわ。やはり、私にはまだ難しいようです」

「そうでしたか。焦ることはありませんわ」

「アウロラ様?」


 アウロラ様は少しだけ悲しげな表情をされています。


「アレクサンドラ様、私の初恋についてお話してもよろしいかしら?聞き流してしまって構いませんので」

「ええ。ですが、その前にお茶を入れ直しますね」


 長いお話になりそうですので私はお茶を入れ直します。1口飲まれて、アウロラ様はお話を始めました。


「あれは、私が2年生の時でした。当時、4年生の殿方に惹かれていましたわ。彼は、目立つことはありませんでしたがとてもお優しく、ピアノを演奏されるお姿がとても素敵でした」


 うっとりと話されるそのお姿は当時の想いを辿っておられているようです。


「しかし、彼には既に想い人がいらっしゃりました。その方は私にとても優しく接してくれた方で憧れでもありました」


 お辛いことのはずなのにそのお声はとても慈愛に満ち溢れています。アウロラ様は続けます。


「卒業式の日、旅立っていかれるお2人を見て、私は思わず涙を流しました。並んで笑っておられる姿があまりにもお似合いで、嬉しさで満ち溢れていたから、だと思います。私の初恋はそれで終わりましたわ」


 幸せそうに話されるアウロラ様は今までにないくらいの輝きを放っておられます。


「恋とはいつの間にか始まってあっという間に終わってしまうものなのだと思いました。綺麗なまま終わることのできた私は運が良いのでしょうね。でも、中には耐えられないほど苦しまれて悩まれた方もいることでしょう。アレクサンドラ様はその方々のためにお心を砕いてお話を聞いているのでしょうね。それだけでも立派なことなのですからあまり悩まれないでくださいね」

「えっと?」

「話を聞いていただけるだけで人は救われることがありますわ。だから、無理はなさらないでください」

「...。そうですわね。読書は少し休憩することにしますわ」


 アウロラ様は満足げに頷かれました。私のことを心配してくださったようです。

 話の前後関係は少しだけわかりませんでしたが、疲れていましたし私は本を閉じました。そして、魔術書に手を伸ばし開きました。

 困惑するアウロラ様をよそに私は魔法陣の改良に勤しむことといたしました、休憩は大切ですからね。

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