カミラの相談
結局、昨日以来集中出来ずに同じページを繰り返し眺める作業をすることとなってしまいました。
頭がスッキリするお茶を入れて集中力を取り戻したいところです。
「ペパーミントか、、、珍しいな」
「ノア様、もしかして苦手でしたか?」
「いや、そんなことはないが。アレクサンドラ嬢は甘みのあるお茶を好んでいると思っていたから意外だと思っただけだ」
「思考をスッキリさせたい時は決まってこちらを飲みますの。カモミールもブレンドしてあるためリラックス効果もあります」
「なるほど。これはこれで美味いな」
少しだけ頭の中がスッキリしたように感じられます。さて、読書を始めましょうか。そう思い、本を開きかけたところで来客がありました。
「アレックス、少しいいかしら?」
「カミラ、どうされましたか?」
もしかして、グレイが何かをしたのでしょうか?昨日の相談の事もあり、私もノア様も緊張した様子で聞きます。
「その、グレイソン様に振り向いていただくためには他にどのようなことを努力すれば良いのかと思いまして」
恥じらいながら仰るその姿はとても愛らしく見えます。
隣に立つために勉強や作法を完璧に身につけようと努力をされているのは存じ上げておりましたが、それでもまだ足りないと感じているだなんて、何といじらしいのでしょう。
「以前、アレックスに教わりながら縫ったハンカチをお渡しした時は心あらずという感じで、やはり迷惑でしたのかと、」
「それはグレイが悪いな」
カミラの刺繍は上出来でした。デザインもさることながらきちんと技術を吸収できたようで、アメリアと並ぶくらいの素晴らしい出来です。
試しに縫った予備を確認してみても何も問題ありません。お渡しされたものの方がよくできていたことからも考える限り、ですが。
「女性の間では刺繍が流行っているとは聞いたが、ここまでの物を縫えるとは、」
「どのような女性が理想かをそれとなくお聞きしても要領が得られなくて困っているのです」
「ご自身を真正面から見つめられていれば変わっているとは思いますが。ノア様、ご存知ですか?」
「どうだろうな?好みを変えることは難しいと思うが、選択肢を増やすということは可能なのではないか?」
「と、いいますと?」
要約すると、現在の強みを育てて魅力的に思われるようになれば良いとの事なのですが、カミラは自信がなさそうです。
「カミラ嬢には大きな魅力があるのだろう?アレクサンドラ嬢」
「そうですわね。お話するとかなり長い時間をいただきたいほどのものをお持ちですわ」
「その魅力をグレイに気づかせる方向で動けば良いと思う」
カミラは戸惑いつつも頷いて帰られました。魅力には様々なものがありますが、それをどのように感じられるかは個人の思想や思考、趣向によるものです。
「それに、グレイは有言実行できる男だと信じている」
「そうですわね。カミラと向き合うと仰っていましたもの。今はその事を信じましょう」
私は明日にでもカミラの魅力について書面にしたため、本人にお渡ししたいと思います。
せめてご本人だけでも己の魅力について存じ上げて欲しいと切に思いました。




