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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵


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変わらないもの

 オスクリタの慰労会も終え、寝るに寝られないため私は部屋でぼんやりと考えごとをしていました。外交パーティーでは様々な国の方々とお話しする機会がありましたが、どうも疲れてしまいました。

 私自身、誰かとお話をすることは好きな方であると自任していたのですが、それは友人や家族、それからクラスメイト限定だったようです。

 まあ、疲れた原因は話の内容のせいであるのは予想がついています。

 ふと、部屋の扉がノックされました。


「どなた?あら、オスクリタ、どうしたのですか?」

「アレックス、少しいいかしら?」


 オスクリタは不安そうにひとみを揺らしてそう言いました。

 拒む理由もありませんので部屋へ招き入れます。先ほど蒸らしていたハーブティーを出してソファ―に座ります。


「オスクリタ?」

「急にごめんなさい。もしかして、寝るところだった?」

「いえ、眠れなかったので少し考え事をしていました」

「考え事?アレックスなんだか疲れた顔をしているわ」

「少し、ですね。オスクリタも疲れた顔をしていますわよ。もしかして、慰労会無理をしていましたか?」

「そんなことないわ。ただ、ずっと緊張していたの。魔界の魔王がこんな小娘だったなんて舐められてはいけなかったし、だからといって威圧して怖がらせるわけにもいかなかったから」

「貴女は立派でしたよ、オスクリタ」


 大きな重圧を抱えて大変だったでしょうに。とても立派に務めを果たしていらっしゃりました。それどころか、大きな成果を上げることができたと耳にしました。


「きっと、貴女やおば様、コリン家の方々が味方でいてくれたからここまで頑張れたの、ありがとう」

「いいえ、貴女達が頑張った成果よ。自信をお持ちになって」

「そうよね。これから始まったばかりだもの」


 オスクリタは気合を入れるようにそう仰りました。本音を言うと、辛いときはこちらを頼ってほしい気持ちもあります。そうしてくれることはわかっていますが少しだけ心配になります。あまり無理はしないでほしいですから。


「アレックス、でも、辛くなったり弱音を吐きたくなったらここに来てもいいかしら?」

「もちろんです」


 オスクリタは私の気持ちを察したようにそう仰りました。

 なんだか、全然眠気がやってきません、それはオスクリタも同じようです。


「そう言えば、今回縁を結ばないかとお話をいくつかいただいたの。実現はしないでしょうけど」

「あら、オスクリタも?」

「アレックスも?」

「ええ、遠回しにお断りしたりしたけれど私にまだ婚約者がいないことを知られてしまったから、今後も問い合わせが増えるでしょうとお父様が、オスクリタ?」

「誰?アレックスをそんな風に困らせたのは」

「オスクリタ、落ち着いて」

「さっきの考え事もそのことなんでしょう?思い悩むってことは嫌なことでも言われたの?」


 一部の方からは女性が魔術を扱えてもあまり意味をなさないし役に立たないというようなことも言われました。それでもやめるつもりはありませんが。

 国によっては女性が働いたり。魔術や勉学など淑女として最も必要とされる教養以外を身に着けることに疑問をお持ちになる方もいるとは知っていました。過去の歴史の出来事から女性の自立を促したくない風潮にあるそうです。


「あまり気にしてませんわ。そのような方々はきっと私の理想ではありませんから」

「そう...それならいいけど」


 ふと、前々から気になっていたことがございました。


「そういえば、魔族の結婚はどのようになっていますの?」

「どういうこと?」


 国によっては同性間の婚姻を認めていらっしゃらないこともあります。わが国では認められてはいますが、あまり届を出されないケースがあると耳にしたことがございます。それは今よりも昔の王様が原因なのですが、今は置いておきましょう。


「そうね、魔族ではまず、魔力のつり合いが重視されるわ。お互いの魔力が釣り合わないと子を成すことができないもの」

「貴女と釣り合う方はいらっしゃるの?」

「いないことはないわ。それに同性婚も異性婚も認めているから魔力さえ釣り合えば本当に問題がないの」

「なるほど」


 実態はよくわかりませんがつり合いが取れれば同性間での妊娠も可能だという解釈でよろしいのでしょうね。


「アレックスの理想はどんな方?」

「わたしの、ですか?あまりよくわかりませんが、やはり、話していて楽しい方や私のことを理解してくださる方じゃないかしら?色々とありますしね」

「...そうね」

「オスクリタはどうですの?」

「私は、強くて、優しくて、辛いときに手を差し伸べてくれるような方がいいわ。もちろん、私もその方を支えられるような者になるのが1番の目標だけど」

「素敵ですね」

「ええ、ふぁ」

「もう眠たいですか?」

「ええ。なんだか力が一気に抜けて眠たくなってきたみたい」

「お部屋まで戻れそうですか?」

「...アレックスの部屋に泊まっちゃダメ?明日で帰るから」

「いいですよ。ベッドを整えるので待ってくださいね」


 ティーセットを下げて私はベッドを整えます。いくつかの本が近くにあったのでそれも片付け、枕をちょうどいい位置へ移動させます」


「オスクリタ、もういいです。あら、」


 オスクリタはソファーの上で眠っていました。私は起こさないようにそっと抱き上げて移動させます。布団をかけ、私も横になるとオスクリタは私の手を握りました。

 今日は甘えん坊のようです。屋敷で保護して雷が怖い日もオスクリタはこうしていました。そのたびに私は彼女の頭を撫でお腹を優しくたたいて落ち着かせました。

 魔王という立場に立っても根本は変わっていないようで少し安心します。


「オスクリタ、おやすみなさい、良い夢を」


 私はそう囁いて眠りにつきました。

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