シャルウィダンス
会場がこの日1番のどよめきがしたので扉の方に目を向けると、オスクリタがちょうど入場してきて時でした。
オスクリタは前を見つめ、堂々とした風格で足を進めています。その姿はさながら全てを支配できるような雰囲気を漂わせています。
「この度はわが国が主催する外交パーティーにご足労をいただき大変感謝する。ぜひ、楽しんでいってほしい」
国王陛下の挨拶によりパーティーは始まりました。
すでに談笑を始めている方もいれば、様子を伺っている方など様々です。さて、私も情報を集めるためにどなかと会話した方が良さそうですね。
「サンドラ、久しぶりね」
「...。」
「聞いてるの?」
「ブランシュ様、ごきげんよう。マナーがなっていませんわよ?」
「はあ?何様のつもりよ?」
「何か御用でしたか?」
「ふ、ふん!別に、友達のいない可哀そうな貴女に話しかけてあげただけよ、感謝したら?」
「残念ながら、友人はいますので」
「へぇー上手く騙しているのね。騙されている方は可愛そうだこと」
「アレックス、こちらにいらしたのね」
「あら、カミラ、ごきげんよう」
「素敵なドレスね、とても似合っているわ」
「ありがとうございます。ふふ、グレイにエスコートしてもらったのですか?」
「え、ええ」
「な、なんであんたがカミラ様の仲良くして、」
「アレクサンドラ様、ごきげんよう」
「アウロラ様、ごきげんよう。あら、ジャクソン様は来賓の方々へのご挨拶をなさっているのですか?」
「ええ、そうなの。ダンスの前には戻られると思うけれど、」
アウロラ様の登場にも驚かれています。
「あら、あなたさっきから何を仰っているの?」
「お2人は、サンドラに騙されて、」
「アレックスが私達を騙す、どういうことかしら?」
「この人はね、」
「アウロラ、1人にしてしまいすまない」
「いえ、平気ですわ」
「アレクサンドラ嬢、あちらの方で来賓がお待ちだ。行ってくれないか?」
「かしこまりました」
ジャクソン様の介入により、私達は分かれました。来賓の方がお待ちとはどなたが。
オスクリタならそう言われるでしょうが、それ以外ですと。
「君がアレクサンドラ嬢か?」
「セレーノ王国国王陛下にご挨拶申し上げます。アレクサンドラ・コリンと申しますわ」
「ふむ、聞いていた通りのお嬢さんだな」
「は、はあ、」
「君の功績はいくつか耳にしている。何でもとても優秀な魔術師だとか」
「お褒めいただき光栄にございます」
「古代文字について詳しいのだろう?ぜひ、我が国の石板の謎も解いてほしいものだ」
「独占はいけないな?セレーノ王」
次はネヴィア皇国の皇帝ですね。対応すべき相手が多すぎます。
「おや、アレックスではないか」
「魔王様、ごきげんよう」
「そうかしこまらなくても構わん」
「そういうわけにはまいりませんわ」
私が魔王と親しげになさっている様子に驚かれているようです。
「アレクサンドラ嬢はその、魔王と親しいのだな」
「ああ、我らが泊まる宿舎を手配してくれたのはコリン家だからな。友好のためにこうして参ったのだが、やはり受け入れがたいのだろうな」
「私達は王国がお招きになったお客様に対して誠意をもって接すべきであると判断したからでございます。魔族の方々もとても親切で、人間と魔族の懸け橋となれたらと思っております」
「実に素晴らしい考えだな」
賛同してくださっている方が多く見えます。さすが代表者、冷静な思考をできる方々のようです。そろそろダンスが始まるようです。
移動をされますが、魔王にはお相手がいらっしゃりません。オスクリタに恥をかかせるわけにはいきませんわ。
ホールに到着すると、代表者の方々がダンスを踊る用意をされていました。
「魔王様、私と踊っていただけませんか?」
「良いのか?アレックス」
「もちろんでございます」
ホール内がざわめきます。魔王と踊ることに驚きを隠せないでいるようです。一瞬だけ、オスクリタが心配そうな顔をされました。私は安心させるように微笑んでから中央の方へエスコートしました。
代表者の方々も驚かれています。同性同士で踊ることは少ないながらもあります。そのお相手が魔王ということに私ではない他の方々が緊張されているようです。
「高めのヒールでよかったですわ」
「アレックス?」
「オスクリタは安心して私に委ねてください」
「ああ、そうだな」
音楽が流れ始め、ダンスが始まります。
私は魔王のドレスと魔王をより輝かせるためのお手伝いをします。
「ふふ、楽しくなってきたな」
「そうですね。ターンしますよ」
踊っている間、多くの視線を感じます。きっと、魔王の美しさに見とれている方が多いからでしょう。私は魔王の楽しそうな笑顔を見ているだけで嬉しくなります。
きっと、あの頃からしたらキラキラしたシャンデリアの下で大勢に見られながら踊るなんて考えられなかったのでしょうね。
そろそろ曲が終わります。
ダンスが終わると会場から溢れんばかりの拍手が聞こえました。中心の方から移動して少し息を吐きます。
「こんなに注目されるとは思わなかったな」
「魔王様に見とれていた方が多いように感じられますわ」
「其方のおかげじゃ」
笑いあったのち、合流したカミラに魔王を紹介しました。恐れ多いと緊張した様子でしたが次第に打ち解けられたようです。
ホールで少しすごしたのち、私達は休憩室へ移動して情報の交換を行うこととしました。




