お母様とのお茶の時間
お茶会室にはすでにお母様がいらっしゃりました。
「遅くなりまして申し訳ございません」
「いいえ、問題ないわ。指定時間より前だもの」
お母様が用意されたお茶は甘みの強いもので、溜まった疲れを癒してくれるようでした。
「こうやってお茶をするのも久しぶりね」
「そうですね、最近はいろいろと忙しかったですし」
「頑張っているのはわかるけれど、無理は禁物よ?体調を崩したら整えるのが大変なのだから」
「存じております。しかし、以前よりも不思議とやりたいことが増えているようで、」
「そうね。きっと、幼い時のような好奇心と探求心が戻ってきたのかもしれなわね。いろいろな方々との交流がきっとそうさせているのですよ」
「ええ。そうかもしれませんわ」
再びお茶を飲んでから話を続けます。
オスクリタとお話したことや城下町での散策のことをお母様は楽しそうに聞いてくださりました。とくに、お兄様がお花を必死に選んでらした話に目を輝かせておりました。綺麗な花束はオスクリタのお部屋に飾られていて、そのことをお話しするとお兄様も喜んでおいででした。
「そうでした、お母様、こちらを」
「何かしら?」
「お土産です。右は私から、左はオスクリタからです。
小箱の中にはお母様に宛てたものも入っており、渡してほしいとお願いされました。お母様は嬉しそうに包みを開けます。
まずは私のものからのようです。
「あら、可愛らしいブレスレットね」
「ええ。お母様の故郷の石が使われているそうでしたので。それに、魔力を長い間溜めることが出来るそうですので何かのお役に立てればと」
「ありがとう、アレックス。大切に身に着けるわ。オスクリタからは、あら、珍しい色の宝石、いえ、魔石かしら?」
「それは、最近魔界で生まれた技術で加工したものだそうですわ。宝石なのですが、微量に魔力を含んでいて装飾品として売り出そうと考えているそうです」
「とても綺麗だわ。指輪、いえ、ペンダントかしら?」
お母様は包みを開ける前よりも嬉しそうに笑っています。石をしばらく眺めた後、箱の中の手紙にも気づかれたようです。ここで開けることはできませんので後ほど隠し部屋で開けるつもりのようです。
「それにしても、オスクリタに素敵な殿方が現れたのかと思っていたのだけど違ったのね」
「ええ。出鱈目を流された方を見つけなければなりませんわ」
「私も社交界でそれとなく探りを入れてみるわ」
「お願いしますわ、お母様」
「それで、アレックスにはいい人はいないのかしら?」
「今のところはおられないようです」
「そう。よくお話に出てくるノア様はどうなの?」
「良い意見交換相手だと思いますわ」
「そう、」
お母様は何やら呟かれています、湿原でもしてしまいましたでしょうか。
「まあ、恋に落ちるのは一瞬で、気づいた時には落ちているものだからゆっくりでもいいのよ」
「はい、わかりませんがわかりました」
「さあ、お茶の続きをしましょう。次は学園での出来事を話してちょうだい」
お母様は私の頭を優しく撫でた後に明るくそう仰りました。
久しぶりのこの穏やかな時間は疲れを忘れさせてくれるくらい楽しいものでした。




