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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵


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そうだ、魔界へ行こう

 翌日、再びアウロラ様とジャクソン様が現れました。


「刺繍をですか?」

「ええ。最近、ハンカチを送る流行がありますでしょう?刺繍がお得意だと伺いましたのでぜひ、ご教授頂けないかと。どのような模様にするかはある程度決めてあります」

「それでしたら今度、クラスメイトの方々と刺繍鋼材をする予定がございますからそちらに参加されますか?」

「良いのかしら?」

「アウロラ様は女生徒の憧れですもの、拒む方クラスにはいらっしゃりませんわ」

「でしたら、そうさせていただきますわ」


 本当に流行しているようで驚きました。小説の影響は大きいのですね。さて、お次はジャクソン様です。神妙な面持ちをされています。


「アレクサンドラ嬢とノア殿にぜひとも意見を伺いたい。国家を揺るがす事態だ」


 以前の光る魔術具の件から王宮内はいろいろと厳しくなったとお聞きしています。また新たな魔術具に問題でもあったのでしょうか。


「君たちは魔王についてある程度の知識は持ち合わせているな?」

「確か、魔界に住まう魔族の王であろう?伝説上の話だが」

「伝説ではない。新たな魔王が誕生したとの情報が入った」

「それは、本当でございますか?」

「ああ。王国への進軍作戦を企てているとのことで、それを阻止するための作戦が欲しい。意見を聞かせてくれないだろうか?」


 新たな魔王の誕生、それは一大事です。いろいろと準備をしなければなりません。

 魔界に行くためには、ある程度の装備が必要となりますわね。お兄様にもお声がけを、いえ、やめた方がよろしいかしら。


「ふむ、消耗戦となった場合は分が悪いな。広域に発動できる結界が必要となってくる。古代魔術を解読するには時間がかかりすぎる。だが、攻め込むにしても、魔界の場所はわからない」

「魔界の場所ですか?」

「ああ。先手を打つのが早いだろうな。生き方や場所はこれから調べることになるだろうが」

「魔界でしたらある程度の装備を用意したら容易にたどり着けますわよ」

「いや、地図上のどこにも記されていないのだから、」

「アレックス、その口ぶりでは行ったことがあるように聞こえるのだが、」

「ええ、ありますわ。魔獣の森を抜けた所にありますもの」


 皆様何やら固まってしまいました。魔界と呼ばれる場所は魔獣さえ対処することができれば行くことはさほど大変ではありません。それよりも向かわれるのであれば先に連絡を入れなければなりませんわね。

 新たな魔王だなんてどなたかと縁づくことができたのでしょう。とてもおめでたいですね。夫婦、いえ、家族で使用できるものをいくつか見繕いましょう。


「場所がわかるのであれば、すぐにでも攻め込もう」

「ええ!?なぜですか?」

「あちら側はこちらを攻撃する意思があるのだろう?」

「魔王がですか?あり得ないと思いますが、」

「どこにそのような根拠が、」

「現在の魔王はとても穏やかな性格ですし、できるだけ争いは避けられたいとお考えの方ですから」

「魔王を知っているのか!?」


 ええ。あれは、昔のことです。魔獣の森にほど近い領地で遊んでいた時のこと、1人の怪我をした少女を発見しました、手当のために連れ帰り、しばらく屋敷で過ごしていただきました。彼女は魔力が大変強く様々な魔術や魔法を使いこなしていました。

 事情をお聞きすると、強大な力を持ってしまった少女を恐れ、父親が自らの命を狙っているとのことでした。どうにか逃げ出したものの、追手はまだ命を狙っているとのこと。


「それで、どうなったのだ?」

「紆余曲折がありましたが彼女が魔王の座に就きましたわ」

「その紆余曲折の部分が知りたいのだが、しかし、心変わりしている可能性も捨てきれない」

「では、実際に会われますか?私も誕生祝をお渡ししたいですし」

「アレックス、早まるな!仮にも一国の王子だぞ?そんな危険な場所へ向かわせるのは、」

「危険なのは道中で魔界自体は危険ではありませんわ」


 一般的に魔族が良い印象を持たれていないのはわかっています。しかし、実際に関わりを持たずに判断なさるのはとても危険なことです。

 いずれ王座を継ぐのであれば交流を持っても悪いことはないでしょう。


「判断はジャクソン様にお任せいたします。今後の自分のためになる選択をしてくださいませ。ただ、現時点で侵攻をお考えなのでしたら私は協力はできかねます。友好的な交流を望まれるのであれば、尽力いたすことをお約束いたします」

「...少し、考える時間をくれないだろうか?」

「もちろんですわ。悔いの残らない方をお選びください」


 いざとなれば、記憶を消す魔術を試すことに致しましょう。私は魔界へは行きたいですし。


「アレクサンドラ嬢、俺も同行してもいいだろうか?魔族の暮らしや魔術に興味がある」

「ええ、もちろんです。ノア様は忌避感は持たれないのですね?」

「もしも危険なことをしてくる者がいたとしてもそれが悪いのは個人だからな。人間と同じだ」

「そう、だな」


 ジャクソン様は考える素振りをされていました。思い悩むことがおありなのでしょう。

 しかし、その数日後、友好を目的として魔界へ向かうとのお返事をいただきました。用意した方が良い物を伝え、日程を調整し、私達は着々と準備を進めていきました。

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