よくわかりません
放課後、いつもの通り意見交換を行っていました。文化祭以降、何故か見知らぬ生徒が相談に訪れるようになってしまいましたが、今はいません。
「それにしても意外だったよ」
「私もです。こうして他のが生徒からのご相談をノア様が受けられるなんて」
「まあ、それはそうだが、文化祭では酷評を貰ったそうだが、落ち込んでいるようには見えない。君も君のクラスメイトもだ」
「新たな目標ができましたからね」
あの日以降、誰も文化祭の結果を気にする方はいなくなりました。そしていつの間にやら私達が東屋で意見交換を行っていることもそれなりに広まってしまい、相談者が現れるようになったのです。
主に、緑や黄色が多いですが。
「相談に関しては話す機会があったからな」
「話す機会ですか?」
「ああ。文化祭の時に少々な。俺では対処できない相談があったからアレクサンドラ嬢に相談するよう勧めたんだ。隣にいたグレイも頷いていたな」
なるほど、グレイがいたならば多くの人に話しかけられ、流れで相談事などに乗る機会もあったことでしょう。グレイはあれでいて面倒見がよいと言われていますから納得できます。
「今日、グレイは来られないのですか?」
「分らんな。クラスメイトに捕まっていたし。何か用でもあったのか?」
「いえ、用というほどのものではありませんが、」
いえ、むしろノア様のご意見をお聞きするには今が都合よいでしょう。相談者もいらっしゃりませんし。
もしも、グレイと同じ想いでしたら私は全力でサポートいたしますし、残念ながら異なるものであるならば、うん、特にすることはありませんね。各々に任せるべきです。
「またぼんやりしているようだが、」
「ああ、いえ、少し考え事を、」
「最近多いな。どこか体調でも悪いのか?」
「いえ、体調は問題ありませんわ」
むしろ、絶好調です。多くの知識が得られていますし。何より、家族や屋敷の者以外とも会話する機会が増えて充実しています。
さて、ノア様にはどう質問したら良いでしょうか。
遠回しに...。
「ノア様、質問よろしいですか?」
「な、なんだ?」
「えっと、薔薇殿集についてどう思われますか?」
「あ、ああ。個人の自由ではあるが、一部、あまり、うん、そうだな」
一応読んでおられるようですが、良い印象ではないようです。
「文学作品としては評価できるが、男性受けはあまりよくない印象だな。フィクション、ではないが、それを基にした書籍もあるくらいだし、」
いけません、困らせてしまったようです。ここは、話題を変えて、
「ま、まあ、作品のことは置いておいて、実際にあると思われますか?その、」
「あるのではないか?ここでは知らないが、故郷では聞いたことがあるし、人には好みがあるからな。そういう君はどう思う?」
「個人の自由ですし、記述も残っていますからね。あり得る話だと思います」
「では、もし君が女性に言い寄られて場合はどうする?」
「私がですか?あり得ないと思いますが、」
「例えばの話だ。どうだ?」
「想像がつきませんが、」
実際どうでしょう。自分のことながらわかりません。お母様は何と仰っていたでしょうか。
「やはり、わかりません。ノア様はどうですか?」
「俺は、まあ、それほど親しくなければ断るだろうな。場合によっては力づくで」
「なるほど。では、例えば、ですよ?お友達に想いを寄せられている場合は、」
「君は友人に言い寄られているのか?」
「違います。可能性の話で」
「思いに応えられないなら断るだろうな。それで離れるならばそれまでの関係だったということだ」
なるほど。お友達のことを信じているということですね。確実なことは言えませんが、今のとことその気はないように見受けられます。
しばらくは見守ってみることにしましょう。まあ、グレイが現れたらそれとなく席は立ちますが。
「それにしても、君からそのような話題が出てくるとは思わなかった」
「最近は流行の小説も読みますからその影響かもしれませんわ」
「面白いのか?」
「ジャンルにも寄りますが、私では考えつかないことが多く記されています」
「ほお、それでは俺も読んでみようかな。おすすめはあるか?」
「ミステリーやサスペンス、冒険ものでしょうか」
「てっきり、恋愛小説を勧められると思ったが、いや、読んでみよう」
リリーやアメリアからは不評でしたが、ノア様なら問題ないでしょう。グレイには引いた目で見られました。
話し終えるとちょうどグレイが現れましたので私は帰宅の準備をします。帰宅しましたらテオにお勉強を教える用意をしなければなりませんし、時間的にも丁度良かったでしょう。
内容を考えながら図書館で本を借り、私は帰宅しました。




