クラスの強み
「やっぱりこの結果は悔しいですね」
「ああ、娯楽といわれるなんてな...。」
乾杯を終え、話始めるとやはり結果についての悔しい気持ちがちらほらと聞こえてきました。時間をかけ多くの知恵を絞り作り上げたものを一言で終わらせられてしまっては残念な気持ちになりますからね。
「そういえば、展示の方はいかがでしたか?」
「面白い展示だとは言われたけれど、ね」
「評価は高くなかったわ、古代文字を使用した点は褒められたけれど、役に立つことがあるのか聞かれましたわ」
「やはり、すぐに実用できるものを評価しているようですね」
叔父様は以前、最近の魔術師は応用力に掛けると仰っていましたのはこのことなのでしょうね。
考え方によっては様々なことに応用できるでしょうに。
「アレックス?」
「いえ、評価されるべき点はいくつもあったでしょうにそれがなされていないのは少し、」
「そうよね。講評を見るだけで悲しくなってしまうわ」
「しかし、実用性のある道具への応用方法も思いつきましたし、次回はそのことをテーマにしても良いかもしれませんわ」
「アレクサンドラ様、お聞かせ願えますか?」
「私もお聞きしたいです」
「ええ、わかりましたわ」
音楽の再生と音質に力を入れた今回のものでしたが、次は音などを発信する方法はないでしょうか?古代には念話という手段が取られていたようですが、膨大な魔力と強靭な精神力が必要となっていたそうです。
「実際に扱われていた魔法陣はこのようなものです」
「見たことがない物ね」
「ええ。なんだかバランスが悪いわ」
「その通りです。属性全てのバランスをあえて崩して配置し、ここに空気の紋を入れることで完成します。効果は絶大ですが、心身を壊す可能性のある危険なものです」
「そんなものが使われていたのね」
便利であることは変わりませんからね。ちなみにこれは闇の魔術と呼ばれるものの基本的な構成と同じです。
「つまり、安全な念話をできる道具を開発するということね?」
「その通りです。音質にこだわった技術はすでにありますから、通信部分をどのようにするかを考えれば良い物ができるのではないでしょうか?」
しばしの間、沈黙が流れます。やはり、このお話をするのは早かったでしょうか。
「それは、面白い考えですね」
「確かに、温室は問題ないから1番難しい通信部分に集中できるな」
「2年生からはクラスが変わらないし、すぐに情報共有ができそうですね」
先ほどまでの落ち込みはどこへ行ってしまったのか、やる気に満ち溢れています。
「あら、すっかり元気になりましたね」
「先生、他のクラスに負けないところ、ですね」
「ええ。それを引き出されたのはアレクサンドラ様ですよ」
「お上手ですね」
私も意見交換へ加わります。飲み物を片手に白熱した議論が行われます。使用するのは魔紙か魔石か、それとも別の素材か、そこから決めなければなりません。
必要な文献や道具の準備についての話もありますし、やることはとても多いです。来年のことですが、気合が入っていますね。
「皆様、そろそろ下校時間ですよ」
先生の声掛けにより解散する頃にはどのような工程で進めていくのかを決め終えていました。これは極秘情報として保管することが決められ、私の収納魔術の中に収められることになりました。この収納魔術も教えてほしいとの声が上がりましたので改めてお教えする予定です。
教室に集まった時とは違い、皆晴れやかな気分と表情で帰宅しました。




