不思議な骨董屋さん
続いて訪れたのは、私が気になってました骨董品屋さんです。ブランシュ様には古臭くて陰気臭いと言われ、なかなか訪れる機会はなかったのですが、ようやく、念願が叶いましたわ。
いざ店内へ足を踏み入れると、日常と離れた空間が広がっていました。
「何だか、店内の雰囲気に圧倒されそうだわ」
「そうね。アレックスは、あら?」
とても貴重なものがたくさんあります。魔術書に杖、それから、水晶や鏡など見ていて飽きません。
「何か気になるものでもあるの?アレックス」
「ええ、たくさんありますわ。特にあちらの懐中時計は素晴らしいものです」
「懐中時計動いていないようだけど、」
「魔術アイテムですわ。実際に拝見するのは初めてですが、動かせるとなるとすごい効果を発揮されるようです」
「ほう、お嬢さんはこの時計の素晴らしさがわかるのかね?」
振り向くと店主のおじいさんが立っていました。
「ええ。装飾もさることながら、中の仕組みも大変興味深いものだとお聞きしています。特に、普段は時計として使用できる実用性に加え、水晶と魔方陣を組み合わせることで一定時間の過去や未来を見ることができるところなどが素晴らしいと思いますわ」
「その時計ってそんなことができるの?」
「伝承や魔術書を読んだ限りですが、可能なようですわ」
「驚いた、そのようなことを知っている人がまだ残っているとわ」
「お褒めにあずかり光栄ですわ」
「アレックスは本当に博識ね」
その他にも興味深いものはたくさんあります。何時間でもいられそうですわ。
「博識なお嬢さんに見せたいものがあるんだがいいかね?」
「はい、何でしょうか?」
そう言っておじいさんが取り出したのは一冊の本でした。
パラパラとページをめくっていき、とあるページで止めます。これは、
「これは、光と闇の魔術の最高傑作である、庭園を記した地図、ですか?」
「ほお、是が見えるのかい?」
見えるとは一体どういうことなのでしょう?
「私には何も見えないわ。アメリアはどう?」
「私も、見えないわね」
「私も何が書かれているのかわかりませんわ。なんだか、薄いモヤがかかっているようです」
「これはもしかして、属性の能力値を示すもの、ですか?」
「そこまでわかるとは感心だね」
現在、学園では最終学年になってから属性の能力値を計られるそうです。1年生の最後の方に適正属性の選別が行われます。大まかな魔力量、色、そして属性を見られるわけなのですが、この本は恐らく、適正属性によって読めるページが変化するものなのでしょう。
試しに、他のページを開いて確認してみたところ、初めのページの属性について書かれているところは適正に合わせて読むことができました。
光と闇の場所を読むことができたのは私だけです。
「本当に珍しいことがあるとはね。お嬢さんは全属性に適性があり、そのバランスが良いのだろう光の魔術や闇の魔術も扱えるんじゃないかい?」
「理論は理解しているつもりですわ」
この方が怪しいとは思いませんが、明かしてもよいことと伏せるべきことは決めておいた方が良さそうです。
「そんなに警戒しないでおくれ。何年も生きてきたが、こんなにうれしいことはそうそうない。この本を貰っていってはくれないか?」
「よろしいのですか?」
「ああ。ここにあってももったいないだけだからね。お嬢さんなら上手く使えるだろう」
「では、お言葉に甘えて。懐中時計を購入したいのですがよろしいですか?」
「ああ。構わないよ、少しだけ磨いてからのお渡しになってしまうが、」
「構いませんわ。カミラの屋敷までお届をお願いいたします」
おじいさんにそう言うとにこりと笑って了承してくださりました。それから、アメリアとリリーは魔石を、カミラは鏡を購入していました。
お店の外に出ると不思議な感覚は薄れていて、元の日常に戻ったような気がしました、あの空間が特別なものだったのでしょう。
3人が本のことについて質問をしたそうにしています。その前に、属性や適性について詳しく説明する必要がありそうですが、今日は難しいでしょう。
また、準備をしてから説明を行いたい旨を伝えると了承してくださりました。続いては、リリーのおすすめのお店へと向かいます。今日が終わるまでまだ時間はあります。私達は残り時間を楽しむために少し早足で目的の場所へと向かいました。




