お友達
私は週明けにお兄様にお聞きした話をノア様へ伝えました。
「そうか、無理を言ってすまなかったな」
「いえ、むしろお兄様はそのお方に興味を持たれたそうで、騎士団に所属していなければ勧誘したいと仰っていましたわ。それと、こちらを」
「これは?例の魔法陣か」
「ええ。少し引っかかる点がありましたので調べていましたの。どう思われますか?」
「そうだな、俺もあれには別の目的があったように思える。実際に元となったものを見れば確証が得られたのかもしれないが、販売されていたものは魔法陣が刻まれただけのコピーだからな」
改めて紙に写したものを見ます。初の製品故に細かい魔法陣を用いていたのかと思っていたのですが、そうではなさそうです。むしろ、光る魔術具を隠れ蓑に別の目的を行うためのように見えます。
「バランスがおかしいと思っていたが、あからさまに火属性が多いな。光らせるだけであればここまでは必要ないだろう。それに、魔法陣の盗用防止のための模様も意味を成しているものだ。普通は、装飾には意味を成すものは使われない、それどころか、表の目的のものよりも高度なものが使われているな」
私が引っかかっていたのはそこなのです。王宮で拝見したものはアメリアのものよりもさらに複雑な装飾がされていました。
「宮廷魔術師の方々は何故お気づきにならなかったのでしょうか?」
「国民と王族の関係性を見て、危険は少ないと油断していたのではないか?王族なのに御守りの1つも持っていないことに俺は驚いたが」
確かに、国王陛下をや王子殿下方は付けられていませんでした。唯一、王妃様は昔お母様が贈られたものを身に付けていらっしゃりましたが。
「つまり、ノア様は危機意識が少ないと思われたのですね?」
「その通りだ。それに、衛兵の君に対する態度にも疑問を覚えた。国王陛下が命ずるのならばわかるが、第2王子の顔色を見て行動に起こしていた。無防備な女性の腕をいきなり掴むなど本来ならばあってはならないことだろう?」
「ノア様はとても紳士的でおられるのですね」
「普通だと思うが、」
呆れられてしまったようです。今まで私に言いがかりを付けにいらした殿方たちとは大違いです。
「警戒を促すべきなのだろうが、未だ確信的な証拠がない状態だと厳しいだろうな」
「むしろ、不和をもたらすと罰せられそうですものね」
表向きは品質の低い魔石と不十分な魔法陣による事故ととなっていますから、事を荒立てることは良くないのでしょう。
「そろそろ昼休みが終わるな」
「そうですね。続きは、明日の放課後でよろしいでしょうか?」
「ああ。だが、そろそろ文化祭だろう?クラスの方は良いのか?」
「計画的に進んでおりますから問題ないはずです」
「わかった、それではまた明日」
私達はそれぞれの教室へと戻りました。
考えるべきことが多くなりそうですね。その前に文化祭の準備をしなければなりませんが。
「アレックス、考え事?」
「アメリア、何でもありませんわ」
「そう、それにしても、アレックスがノア様に取られたとリリーが拗ねているわよ」
「ちょっと、アメリア、」
「そうなのですか?リリー」
「少し、寂しいとは思ったけれど、」
「ごめんなさい。つい、意見交換に夢中になってしまいましたわ」
「アレックスが楽しいならいいの。でも、アレックスの1番のお友達は私たちなのは忘れないでほしいわ」
「リリーったら、当たり前ではありませんか。それに、放課後にカフェテリアでお茶をすることを楽しみにしていますわ」
「私もよ!最近の新作がとても美味しくてアレックスにも食べて欲しいもの」
「わ、私だって、アレックスにオススメしたい本があるの」
「両方とも楽しみですわ。私もカミラを含めた3人にお見せしたいものがありましたの」
「あら、楽しそうなお話をしていますわね」
カミラも合流し、放課後のことについてお話します。
カミラも楽しみにしていたそうで、お話したいことが多くあると仰っていました。
「はい、皆さま授業を始めますよ」
チャイムが鳴り、先生の号令とともに授業は始まりました。文化祭に向けて発表方法について検討します。多くの意見が交わされ、音楽祭とはまた別の盛り上がりがあります。
きっと文化祭でも良い成果を得られるでしょう。私はこの空気感を好ましく思い、少しだけ気分が高揚しました。




