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新たな交流

休日を終え、再び1週間が始まります。

私はゆったりと登校の準備をしていました。


「お嬢様、髪留めはどうされますか?」

「いつも通り、いえ、先日お母様に頂いたもので纏めてちょうだい」

「かしこまりました。それにしてもいつ見ても美しい御髪です」

「ふふ、リベラ商会の商品を使用しているからかしら」

「品質が保証されていますからね」

「それに、あなた達が丁寧に手入れをしてくれるからよ」

「身に余るお言葉です。さあ、今日はこのようなヘアアレンジです。いかがでしょうか?」

「ええ、とてもいいわ」


朝食後、少しだけ緊張しながら学園へと向かいます。

軽く息を吸って門をくぐると、遠巻きに見られてはいるものの嫌悪感を抱いた視線を向けられることはあまりありませんでした。


「コリン様、ご機嫌よう」

「ご機嫌よう。いかがなさいましたか?」


2限目の用意をしている時、2人の令嬢に話しかけられました。確か、新興貴族の方だと記憶しています。


「いえ、その、いつも綺麗な御髪で素敵だと思っていまして、何か秘訣をお聞きしたいと思っておりました」

「私は、お勉強法についてお聞きしたくて、」


クラスで話しかけられるなんて初めてのことです。

勇気をだして話しかけてくださったのですから私も誠意を持って接しなければなりません。


「あの、?」

「あら、あの子たち礼儀知らずもいいところではなくて?」

「そうよね?下位の者が軽々しく話しかけるだなんて、コリン様も怒りと呆れで何も言えないんだわ」


言葉を選んでいたせいであらぬ誤解をされているようなのですが?

それに学園では社交界とは異なった礼儀があります。それを守ろうとしないだなんて。いえ、まずはお2人の質問に答えることが先ですわ。


「も、申し訳ございません。私達、失礼な態度を、」

「いえ、お2人ともお顔を上げてくださいまし。その、お2人に話しかけられたことが嬉しくて、少し感動に打ち震えていただけですの」

「そう、なのですか?」

「ええ。私はアレクサンドラ・コリンと申します。お2人も名前を伺ってもよろしいかしら?」

「は、はい。私はリリー・ミッチェルと申します」

「私は、アメリア・ターナーと申しますわ」


我が家は所謂古参と言われている家柄ですが、友好の意思があればどのような方とでも親交を結ぶよう言われています。


「私、美容関係の品物は決まった商会を使うことにしておりますの。継続して使用していたので効果が現れたのかもしれませんわ」

「なるほど。私は新しいものを目にするとつい試してみたくなるのですが、それがいけなかったのですね」

「いえ、そういう訳ではありませんわ。私もお気持ちはわかりますもの。冒険をしてみるのも興味深いですものね」


結局、使い心地を考えて元に戻してしまうことが殆どですが。


「そうなんです。つい、冒険してしまって、」

「ミッチェル様の御髪も燃え盛るような情熱的なお色がとても素敵だと思いますわ」

「そ、そのように仰っていただけて嬉しいです」

「少し御髪に触れても良いですか?」

「は、はい」

「失礼します。…。ミッチェル様の髪質に合いそうなものを今度いくつかご紹介してもよろしくて?」

「むしろ、よろしいのですか?」

「ええ。もちろんですわ」


このように話しかけてくださる方は珍しいですし、もっと仲良くなりたいです。


「ターナー様はどの科目のお勉強法についてでしょうか?」

「私は古代文字が苦手で、現代のものとかけ離れていますし。コリン様は得意とされていますので教えていただければと」

「そう、ですね。地道に進めることが大切だとは思いますが」

「そう、ですよね」


落ち込ませてしまいましたでしょうか。


「そ、それと、目標を持つと良いかもしれません」

「目標、ですか?」

「ええ。私は古代の文学作品を読みたいと思ったのでそのおかげで上達が早かったのかもしれません」

「古代の文学作品にはどのようなものが、?」


興味を持って頂けたようです。


「様々なものがありますよ。魔法書はもちろん、恋物語などもあります」

「恋物語、ですか?」

「ええ。現代の我々と似たような感性から違ったものまで読んでいてとても楽しいです」

「私も、読んでみたいですわ」

「ふふ、目標が出来ましたね」


チャイムが鳴り、お2人は席へ戻りました。

少し緊張しましたが、楽しくお話をすることは成功したようです。驚いた表情をしている方が何人かいらっしゃいましたが、少しは交友関係が広がりましたね。

さて、もう少し午前の授業を頑張りましょう。

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