反省
「おめでとうございます。アレクサンドラ様」
「アウロラ様、ありがとうございます。アウロラ様がいたからこその結果ですわ」
「いいえ、アレクサンドラ様の歌声が素晴らしかったからですわ。私はそのお手伝いを少しだけしただけです」
私達は西の東屋でお茶をする約束をしていました。もうそろそろアメリアも到着するはずですが、その前にできる準備をします。
「今日は私のおすすめのお茶を用意しましたの、気に入ってくださると良いのですが」
「アウロラ様のおすすめだなんて楽しみです」
「遅くなって申し訳ありません」
「大丈夫ですよ、アメリア様」
「アメリアも到着なさったようですし、始めましょう」
「それにしても、音楽祭終了後最初のお茶会に招待いただいて良かったのかしら?お友達とは、」
「リリーとカミラは今回共に部門に出場した方々の反省会をなさっていますわ。クラスの方も後日行いますし、このお喜びをぜひアウロラ様と共有したかったのです」
「私もアレックスと同意見です。音楽祭前にアドバイスをくださってありがとうございます」
「ちょっとしたことだけでしてよ?アメリア様の演奏も素晴らしかったですし、」
それからは渡された講評を見つつ反省を行います。お褒めの言葉しかありませんのが少しだけ残念と言いますか、私個人としましては反省すべき点がいくつも浮かんできます。
「そうなの?完璧に見えたけれど」
「私も同感です。アレクサンドラ様の反省すべき点を差し支えなければお教え願えますか?」
「実は、歌を歌っている最中に少しだけぼんやりしてしまったように気がするのです」
「ぼんやり、ですか?」
「ええ。集中すべきところでお恥ずかしい限りですわ」
「そうでしたの?集中されているようにお見受けしましたが、」
「アレックスでもぼんやりすることがあるのね」
「いえ、学園内では気を付けているのですが、」
私は普段からよくぼんやりしてしまう質です。自室ではいつの間にか古代文学に手を伸ばしていたり、魔法陣を描いていたり、そのようなことがよくあります。
家族や専属の使用人、長く仕えている方々は鳴れているせいか普通のことだとしていますが。慣れていいない方が見ると少しだけ異様な光景だそうです。
「無意識にご自身のお好きなことができるだなんて良いではありませんか」
「そうよ、ぼんやりする時間は心身を休める大切な時間だと思うわ。でも、古代文学や魔法陣だなんて思考はしっかり動いているのね」
「そう、なのでしょうか。小さなころからのことらしいのではっきりとはわかりませんの」
ぼんやりする時は決まって、話しかけられるのです。私以外には聞こえないものに。
歌っている最中もそうでした。遊ぼうと声を掛けられ、芽の前に原っぱが広がったような気がしたのです。とは言っても信じてもらえなさそうですが。
「それにしても、音楽祭の次は文化祭に学園祭、行事が目白押しですわね」
「冬に入る前には狩猟大会もありますし、」
「狩猟大会、ですか?」
「え、ええ。毎年冬の蓄えを用意するために行われているではありませんか」
「お名前は知っているのですが、見たことが無くて、」
普通のご令嬢は参加されないのでしょうか。そういえば、狩猟大会と言っても女性達は狩猟場から離れた場所でお茶を楽しまれると聞いたことがあるような。
「アレクサンドラ様?」
「い、いえ、小動物と触れ合えるエリアがありまして、私はそちらの方で小動物と触れ合うことを楽しみにしているのです」
「まあ、そうなのですね。屋外で行うお茶会の印象が強かったのですが、そのような楽しみ方があるだなんて」
「私も触れ合ってみたいわ」
「ええ。その時はご案内いたしますわ
「お兄様が騎士団長でいらっしゃるからお詳しいのですね」
「え、ええ。その通りですわ」
今年は小動物エリアで待機することに致しましょう。
つい、言葉が滑ってしまうだなんて、今後も気を付けないといけませんわ。




