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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵


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時の祝福

 待機席に到着するとプログラムの間の休憩時間にでねぎらいの言葉をいただきました。

 クラスの方々の表情は明るく、これからの発表を楽しみのしている様子です。


「アレクサンドラ様、素晴らしい歌声でしたわ」

「ええ、題名しか知らなかった曲でしたが、易しく包み込まれるようで思わず聞き惚れてしまいました」

「そのようにお褒めいただけるなんて、少し照れてしまいますわ」

「アレクサンドラ様はまるで妖精のようで天使の生まれ変わりのようです」

「え、えっと、」

「もう、アレックスを口説いて困らせないでくださいまし。殿方でしたら騎士団長様が飛んできますよ?」

「リリー様もお疲れ様です。確かに口説きたくなるくらい愛らしい方ですから」

「そうですわ。私達で悪い殿方からお守りしなくては、」

「あ、あの、」

「確かにそうね、学園中の皆様にお披露目する形になってしまったもの。きっと、不埒な殿方がやってきますわ」

「リリー様もそう思われますよね?」

「無事、発表が終わりましたら対策を練りましょう」


 お話がおかしな方向へ向かっているような気がします。どうしましょう。

 独奏・独奏部門を終えたアメリアとカミラもこの事態に驚いていました。アメリアは呆れたように周囲を見ています。カミラはどちらかというと乗り気のようです。

 私よりもカミラの方が様々な殿方が寄ってきそうな気がするのですが。そこはどのようにお考えなのでしょうか。


「皆様、そろそろ合唱部門が始まりますよ」


 アメリアの声でどうにか事態は休止を迎えました。合唱に参加する方々は目を合わせ、頷き合いお互いに意思疎通を取ります。早く歌いたくて仕方がないようです。


「続きまして、黄色の燕クラス、曲名は『時の祝福』」


 アナウンスに従い、私たちは舞台に立ちました。立ち位置を確認し、指揮者に注目します。

 アメリアと指揮者がお辞儀をして、互いに目配せをします。流れるような指揮に合わせ、アメリアは伴奏を始めました。

 前奏を終え歌が始まります。

 合唱メンバーでの最初の話し合いは歌詞の解釈についてでした。『時の祝福』という物語を読んでの解釈を各パートでまとめ、意見交換が行われました。当然ながら、各パートの意見はバラバラでまずは、解釈の視点を誰の合わせるかの話し合いから始められました。

 静かな曲調や歌詞の内容からこれはどちらかというと狼の視点で書かれたものではないかとし、今度は狼についての解釈のすり合わせが始まります。

 正式に正しいものなのかは誰にもわかりません、しかし、私達の中での正解は歌の中で表現することができたのではないでしょうか。

 合唱も佳境を迎え、そろそろ最後の小節です。時の女神が旅人に祝福を与える場面です。この時、狼は何を思い何を考えたのでしょう。

 私にはわかりませんし、これからも知る由はないのでしょう。狼の気持ちは狼にしかわからず、私達にできることは限られていてせいぜい考えることしかできませんから。

 この合唱は考え抜いた一種の成果なのです。

 歌が終わり、最後にお辞儀がされ、私たちは退場します。舞台を降り、待機席に戻ると、肩を震わせている姿が目に入ります。


「今までで1番だったわよね?」


 休憩時間にリリーがそう言いました。合唱の一体感はリハーサル以上のものを感じることができました。


「本当に、良かった、」

「練習以上だったわよね。頑張ってきてよかった」


 口々にそのような感想が漏れ聞こえてきます。

 合奏部門に参加される方々も多くの感想をくれ、次の出番の意欲を高められています。


「次は私達の番ですから楽しみにしていてくださいね」

「その前にお昼ご飯でしてよ。カミラ」

「そうよ、お腹が空いちゃったら力でないんだから」


 ホールの準備が行われる間、感想の交換のためにクラスでまとまって昼食をいただきます。合奏に参加される方々もこの後のことを楽しみにされているようで、通りかかって見える他クラスの方々よりも和やかな雰囲気で時間を過ごすことができました。

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