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友人に絶交宣言をされたので、本来の自分が戻ってきました  作者: 葵


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音楽祭

 合唱のリハーサルも無事に終わり、本番までの時間を少しの緊張感とともに過ごし、ついに音楽祭当日がやってきました。

 教室に着くと緊張したような表情をした方が多くいます。


「アレックス、おはよう」

「リリー、おはようございます。緊張しているのですか?」

「す、少しだけ。アレックスは平気そうね」

「ええ。リリー、お手を借りても良いですか?」

「え?ええ」


 私はリリーの手を握り、撫でました。


「アレックス!?」

「手が冷えていますわ。こうやって少しずつ温めることで緊張は解れると思います」

「ありがとう」

「本当は抱擁が1番良いとお聞きしたのですが、髪型が崩れたり着こなしが乱れてしまうといけませんから」

「なんだか、少しだけ解れた気がするわ」

「それならば良かったです」


 リリーと同じように緊張していたカミラにも同じようにすると驚かれましたが、事情をお話しすると納得したようでした。私たちがこのような会話をしていると教室内のあちらこちらで手を握り合っている姿が見られました。

 チャイムが鳴る前に緊張はある程度解されたようです。


「皆様、おはようございます。本日は音楽祭当日ですね。緊張している方も、あら、皆様緊張なさっていないようで心強いですね。多くの練習を積み、協力し合える皆様なら大丈夫でしょう、会場へ移動してください」


 会場へ着くと、独唱・重唱部門の集合アナウンスがされます。舞台裏に着くとアウロラ様が小さく手を振っていましたので合流します。


「おはようございます、アウロラ様」

「アレクサンドラ様、おはようございます。緊張していますか?」

「あまりしていませんわ。楽しみの方が勝ってしまっているのかもしれません」

「頼もしいですわね。私は少しだけ緊張が、アレクサンドラ様?」

「緊張を解すおまじないです」

「ありがとうございます。もう大丈夫、と言いたいところですが、出番になるまでこうしていてもよろしいですか?」

「ええ。ともに頑張りましょう」


 プログラムは順調に進んでいきます。何人かは知っている方が歌われています。順番が進むたびにアウロラ様の握る手に力が籠っていきます。私は緊張を解すようにその手をなるべく優しく撫でました。

 最後の音楽祭で緊張なさっているのでしょう。


「アウロラ様、ここは西の東屋の前ですよ」

「アレクサンドラ様、ふふ、そうですね。ここはあの日の放課後の場所です。暖かな日の光に爽やかな風が運ぶ草木の香り、太陽に照らされた素敵なステージですね」

「ええ。その中で私たちは土の妖精のために音楽を奏でるのです」

「もしかしたら本当に妖精たちが遊びに来ているかもしれませんわね」

「ふふ、彼らは遊びに来ていますわ。奏でられる音楽をとても楽しみにしていらっしゃります」

「ふふ、それではその期待に応えられるようにしなければなりませんわね」


 いよいよ、私達の番です。


「独唱部門、12番、アレクサンドラ・コリン様、伴奏アウロラ・ブラウン様」


 アナウンスに従い、私達は舞台へ上がりました。


「曲名は『土の精霊に捧げる歌』です」


 私が舞台の中央に立ち、会場に向かってお辞儀をしました。

 アウロラ様がピアノにつき、準備を整えます。互いに目配せをし合い、アウロラ様が息を吸ってピアノを奏で始めました。力強く優しい音色が響きます。

 私も大きく息を吸って歌い始めます。あの日の光景を思い浮かべながら。

 あまり有名ではない土の精霊たちが楽しそうにしているように、彼らが楽しく遊べるように優しく見守るように歌います。

 伴奏の最後の音が鳴り響き、私達の発表は終わりました。アウロラ様の方を少し目を向けると、とても満足したように微笑んでいらっしゃりました。私も満足な表情を浮かべていたことでしょう。

 少し間が開いて大きな拍手の音が響き渡りました。舞台袖にはける間も拍手は鳴り続け、舞台裏に着いた時にようやく収まりました。


「アレクサンドラ様、最高の歌をありがとうございます」

「それは、こちらのセリフです。素敵な伴奏をありがとうございます。アウロラ様」


 私たちは互いに手を取り合い、感謝の言葉を言い合いました。

 音楽差は始まったばかりですが、嬉しい気持ちや達成感がこみ上げてきます。その気持ちをどうにか鎮めながらクラスの待機席へと向かいました。

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