理想のお方
近頃は恋物語を参考に恋愛や結婚についてお勉強をしているのですが、実際貴族間で結ばれる婚姻関係は政略結婚が大多数を占めているため、あまり参考にならないのでは、と思い始めました。
恋物語を好んでいるリリーも、現実でなく物語の中だから良いものがあると仰っていました。
政略結婚、私が結ぶとなりましたらどのような殿方となのでしょうか。
「うーん、やっぱり家のことを理解してくれる人じゃないとよね」
「そうね。家業のことを考えるとそうなるわよね。私は嫁に入る側だけどアメリアは婿を取る側よね?」
「ええ、弟が生まれなければだけど。もしも、弟が生まれたとしてもしばらくは私が補佐につくことになるでしょうし、婿入りを受け入れてくれる方じゃないと無理ね。カミラは?」
「私は派閥とかがありますし、慎重に選ばなければなりませんわ。今は同一派閥の中から探すように言われていますけど、今後の情勢次第ではどうなるか、」
「高位の場合は家格のつり合いも考えなければならないものね。アレックスは?どうなの?」
「私は母から自分が気に入る相手を探しなさいと言われていますわ。家督はお兄様が継ぎますし」
「それに、アレックスには魔石の方がいるものね」
「魔石の方?誰それ?」
「この前、アレックスが身に着けていた魔石についての話を聞いたの、そうしたら頬を染めながら話していて、きっとくださったのは素敵な方なのよ」
「あ、いえ、」
話がよくわからない方向へと進んでいます。
しかし、魔獣を狩ったお話はカミラにとって刺激が強すぎるかもしれません。
「やはり、アレックスが持っている以上の魔石を取れる方じゃないとダメということ?」
「わ、私はそのようなことはありませんが、お兄様はそのようなことを仰りそうな気がします」
「騎士団長様が?アレックスの将来の旦那様は大変ね」
このお話から数日後、どうやら私がお強い殿方を好んているとの噂が流れ始めました。そのせいかよく赤色のクラスの方に声を掛けられます。
「コリン嬢、次の剣術のテストなんだが、」
「いや、先に俺が、」
と、このような感じです。
一部の女生徒からは憐みの視線を向けられているのですが、視線を向けるだけであれば助けてほしいと思ってしまいます。
「大変ですわね、アレクサンドラ様」
「アウロラ様。私はか弱く見えるのでしょうか?」
「あら、どうして?」
「お声を掛けられるたびに守ってやると、言われてしまいます」
「そう、ですね。お1人で魔獣を対処なさったお話をお聞きするとその声を掛けてくる殿方よりもお強いことが伺えますが、見た目はとても愛らしいので庇護欲に駆られるのではないでしょうか?」
そう仰り、頭を撫でてくださります。
背も高くありませんし、少し前は1年生に間違えられました。
「どうやったらアウロラ様のような女性になれるでしょうか」
「私は今のままのアレクサンドラ様も素敵だと思いますわ。背丈はいつか伸びるでしょうし、それに、見た目だけで判断するような殿方の見極め機会だと考えたら悪くないと思いますわ」
「それは良い考えですね。さすがアウロラ様、私には思いつきませんでしたわ」
今の状況を逆手に取り利用するだなんて思いつきもしませんでした。さすがです。
「ところで、理想の殿方が魔石を取れるくらい強いお方だというのは、」
「ご、誤解です」
教室でのお話をするとご納得いただけたようで何よりです。
「それでは、どのような方がお好みなのですか?」
「私よりも家族の目の方が厳しいと思うのですが」
「筋肉ですべてをお考えになる方は苦手なのですよね?」
「そう、ですね。お兄様ほどの理性をお持ちでしたら喜ばしいのでしょうが」
「では、次そのようなことを聞かれたらお兄様と同等もしくはそれ以上のスペックをお持ちの方、とお答えになっては?」
「そのお答えは大抵の方が除外されるような気がしますね」
お兄様は武に寄っているとはいえ、きちんとお勉強もできる方です。古代文字も読めますし、正確な魔方陣を描くこともできます。
「それでいいのですよ、本気でアレクサンドラ様がお好きでしたらきっと精進してくださりますもの。アレクサンドラ様の理想のお相手が見つかるまでの間はそのようにお答えするのが無難だと思いますわ」
アウロラ様の仰ることにも一理あります。噂が収まるまではそのようにしましょう。
本日も練習後は偶然ジャクソン様が現れましたので私は邪魔をなさらないようにその場を離れました、アウロラ様は少し拗ねたような表情をした後に次のお約束をして笑顔で分かれました。




