最終日の夜
最終日の交流パーティーは初日に行われたものよりも豪華で参加人数も多いように感じられました。
「初日は馬車酔いなどで参加を辞退された方もいるものね。最終日は特に情報収集に力を入れたい方が多いから参加者も増えるとお姉さまが言っていたわ」
「情報収集、ですか?」
「ええ、例えば、文化祭や音楽祭の準備状況。あとは、婚約者候補の選定とかかしら」
「こ、婚約者だなんて、まだまだ先のような気がするわ」
「そうも言ってられないわよ。卒業とともに成人なのだから。多くの出会いを求めるのなら学生時代だとお父様とお母様が言っていたわ」
「でも、リリーのいうとおりまだ想像できないわね。アレックスはどう?」
「私父や母から理想の殿方を探すよう言われていますが、まだよくわかりませんわ」
「あら、アレックスはグレイソン・ワグナー様と婚約されるのではないの?」
「グレイとですか?あり得ませんわ。お互いを異性として意識することが難しいですし、グレイは婚約者ができた時に1番の紹介してくださると言っていましたわ」
「そ、そうなのね」
私の言葉に会場の方々の目つきがお変わりになったように感じられます。
少し談笑をしているうちにジャクソン様のご挨拶の時間となりました。
「今回の行事は予想外のことが多く起き、大変だったと思う。今宵はそのことを一時忘れ、是非とも楽しんでほしい」
会場から溢れんばかりの拍手が送られ、パーティーが始まります。さて、何をして過ごしましょう。アメリアは情報収集のために他のご令嬢に話しかけに行きましたし、カミラもお姉様であるケイト様に連れていかれました。
「アレックス、私たちは向こうの方でお話でもしない?」
「そうですね、ダンスを踊る相手もいらっしゃいませんしそうしましょうか」
リリーのお誘いに賛同してテーブルのある場所へ向かいます。
「アレックスの今日のドレス素敵ね」
「そうでしょうか?専属のメイドが選んでくれたのです」
「そうなの?とても良いセンスをお持ちなのね」
「ええ、ずっと仕えてくれているので安心して任せられますわ。リリーのドレスも素敵ですわ。月の女神の物語を参考にしたのかしら?」
「そうなの、よくわかりましたね。私は神様の中で最も月の女神が好きなの。気高く、麗しく、それでいて慈悲深くて素敵な女神様だと思うわ」
「物語を参考にここまで素晴らしいデザインをするだなんて素晴らしいですわ」
「そんなに褒めても何も出ないわよ。私はアレックスのそのネックレスの魔石も素敵だと思うわ」
「ふふ、これはとても大切なものなのです」
「そうなの?」
この魔石は私が初めて1人で魔獣を討伐した時に手に入れたものです。大きめの魔獣で大変でしたわ。あの時はあまりの嬉しさに体の痛みなんて忘れてこの喜びを家族皆に話しましたわね、足の骨が折れていたことが発覚してその後皆、青ざめていましたけれど。リールには泣きながら怒られましたね。
「頬を染めるほど素敵な思い出があったのね」
「ええ、私にとっては忘れられない大切な思い出ですわ」
「まあ、そのような出来事を共有できた方はとても喜ばれたのでしょうね」
「そうだと、良いのですが」
結局多くの心配をかけてしましましたし、次からはもっと気を付けようと思いましたわ。
「アレクサンドラ嬢、リリー嬢、少し良いだろうか?」
「ジャクソン様、いかがなされまして?」
「君たちが発見した魔方陣について話がある」
私たちは顔を見合わせて休憩部屋へ向かいました。
魔獣寄せの魔法陣を誰が仕掛けてのかお分かりになったのでしょうか?
「この者に見覚えはないか?」
「この方は、青の上級生ですよね?アレックスに突っかかっていた、」
「ええ、しかし、この方、ローブとその下の服装の色が異なっていましたわ。まさか、この方が仕掛けたのですか?」
「それが、尋問しようにも気が触れたようで出鱈目なことしか話さないんだ。どうにかならないか?」
「失礼を承知ですが、私もリリーも医者ではありませんので、」
「それは理解している、君たちなた良いアイデアを浮かぶのではないかと思って聞いているんだ」
そうは言いましても、薬でどうにかなる問題でもなさそうですし、非人道的なことは気が引けます。しかし、思いつくのは昔の真偽を改める方法や刑罰でつかわれていた方法ですし。
「あまり褒められる方法ではございませんが、」
「良い、はなしてくれないか?」
「記憶を除くことのできる魔方陣があるのですが、それをお使いになってはいかがでしょうか?」
「アレックス、もしかして、あれのこと?」
「ええ。ただ、これは昔に罪人に用いられてものだということを考慮していだたきたく存じますわ」
彼は恐らくまだ容疑者という立場のはずです。そこはきちんと考慮するべきでしょう。
「わかった。貴重な意見に感謝しよう」
会場の方へ戻ると、ダンスが始まっていました。ファーストダンスは婚約が決まっている方々が躍られているようです。
「さすが上級生、すごく素敵だわ」
「本当ですね」
「アレックス、どうかなさったの?」
「少しバルコニーで風に当たってきますわ」
「私も行くわ。バルコニーにはまだ行ってなかったの」
ちらちらとリリーにダンスを申し込む機会をうかがっている殿方がいるのですが良いのでしょうか。しかし、本人の意思を尊重すべきですし、良いですよね。
そう思いながら私たちはバルコニーへと行きました。
「アレックス、貴女がまだ私達に言えないでいることがあるのはわかっているわ、それを責めたりするつもりはないわ。でも、辛くなったりしたら私達に何でも言って>1人で抱え込まないでほしいの」
「...リリー。ありがとうございます。いつか、きちんと話せるときが来たらお話いたしますわ」
私がそう言うとリリーは優しく微笑みました。その姿はまるで本物の月の女神のようだと感じられました
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