四色のお茶会
昼食後は、四色のお茶会と題され、いくつかの場所で同時に行われます。とはいえ、一定時間が経ちますとどの会場にお邪魔しても良いことになっており、多くの静と動時の交流が望まれています。
「あら、グレイも始めはここですのね」
「最初は身分別になってるんだよ。ここは高位の家の者が初めに交流を行う場所だ」
「どうりで何人か見たことのある方がいらっしゃるのですね」
ということは、王子殿下たちもいらっしゃるのですね。困りました。またもめ事が起こってしまうかもしれません。
「ジェイコブ王子は今回参加しないらしい、表向きは体調不良になっている」
「そうでしたか。残念に思われる方々もいらっしゃるでしょうね」
「お前が気にすることではないだろ」
そうは言いましても、原因の一端を担ってしまったのです。それは周知の事実でしょう。
「アレックス、姉を紹介したいのだけど、よろしいかしら?」
「カミラのお姉様ですか?ぜひ、お願いいたしますわ」
「ええ、すぐにお連れするわ」
カミラはそう言うと1人の上級生にお声をかけています。
「テイラー嬢と知り合いなのか?」
「ええ。お友達ですの。カミラはおしゃれに興味があるそうで。以前、教室で昔の衣装や装飾についてお話をしている時に仲良くなりましたの」
グレイがとても驚いた顔をしています。きっと、私にお友達ができたことに対して驚かれているのでしょう。
「本当に大丈夫か?もし、以前のようなことがあったら、」
「大丈夫ですわ。今、仲良くしている方々は私の趣味に対して忌避感もございませんでしたし、きちんと私のことを肯定してくださりますの」
「そうか。それならいいが、」
過去の出来事はお話しできませんが、それでも仲良くしてくださります。とても優しいお友達なのです」
「アレックス、紹介するわ。こちらが姉の」
「ケイト・テイラーと申しますわ。アレクサンドラ・コリン様にご挨拶申し上げます」
「ご丁寧にありがとうございます。私は、アレクサンドラ・コリンと申しますわ。普段、妹君であるカミラ様とは仲良くさせていただいておりますわ」
あら?どうしましょう。固まってしまわれましたわ。
「カミラ、本当に、」
「お、お姉さま?」
「本当に妖精のような可憐な方ですのね!」
グレイが私のことを背に庇いました。
「お姉さま、落ち着いてください。アレックスが驚いています」
「も、申し訳ございません」
「い、いえ、驚きましたが、平気です」
グレイの後ろから前委に出て私がそう告げるとお2人とも安心してくださったようです。
「妹から耳にするコリン様があまりにも可憐な方で、」
「そう言っていただけてうれしく思いますわ」
「学園内においてもお声がけをしたかったのですが、上級生である私が話しかけますと怖がらせて今うのではないかと思っていましたの」
「テイラー様はお優しいのですね」
「いえ、そんなことございませんわ。むしろ、たびたび耳にするコリン様のお噂の方がお優しいです」
グレイは後ろで話を聞きながらたびたび首をかしげています。
お話を伺うと、テイラー様は青色でグレイと同じクラスなのだそうです。会話には入って来ないものの、グレイは少しだけ肩を跳ねさせています。
「最初はそちらにいらっしゃるグレイソン様にお取次ぎをお願いしてのですが、断られてしまって、」
「危ないことを言っていたから遠ざけただけだ」
「危ないことだなんて、ただ、可愛らしいお洋服を着せて愛でたいとお話ししただけでしょう」
「それが、危ないんだよ、だいたい、」
「お2人とも、周りが注目していますわ」
「も、申し訳ございません」
「いいえ、その、ご紹介の件は私がしばらくはとお断りしていましたの。誤解を招くようなことを、申し訳ございません」
「そうでしたの。私の方こそ、あのような事情がありましたのに軽率でしたわね」
「いえ、こうしてお話ができてうれしく思いますわ。カミラからお聞きするお姉様のお話はとても素敵なものでしたわ。少し、羨ましく思いましたもの」
「あ、アレックス、」
「カミラ、そうだったの?」
あとは姉妹でのお話を楽しまれているようですし、邪魔してはいけませんわよね。
そろそろ時間ですし、移動することとしましょう。
「どこか行くのか?」
「ええ。リリーと魔方陣の確認をする約束をしていますの」
「魔法陣?」
「1番大きな庭園の方ですわ。時間が経つと様々な場所へ行けるでしょう?ですから庭園で開催されるお茶会の方へ向かいますわ」
「ふーん、俺も行く」
「あら、急にどうしましたの?」
「研究の方で行き詰っていてな、古代の魔法陣が参考になるかもしれない。開設できる者もいるからな」
「くれぐれも、リリーを怖がらせないでくださいね」
人もまばらになってきた中、私達も移動を始めました。




