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集中しすキル悪い癖

 大きな羽音を響かせてモンスターはやってきました。臨戦態勢に入っていてこちらに攻撃する意思が見られます。

 まあ、あちら側からすると自分たちの安心できる住処を侵されたと感じても仕方のないことかもしれません。そんなことを呑気に考えながら戦況をぼんやりと見ます。

 ある程度動けていますし、援護がなくても問題がなさそうな気がします。あまり強くありませんし。


「や、やった、のか?」


 ジャクソン様、それはフラグというものです。物陰に隠れいていた一匹がジャクソン様めがけて飛んでいきました。とっさのことで誰も反応ができていないようです。

 仕方がありません。


「ジャクソン様、伏せてください」

「え、あ、」


 私は弓を素早く引き命中させました。今日は調子が良いようです。


「じゃ、ジャック、大丈夫か?」


 素早く伏せることができなかったジャクソン様はモンスターを倒した際に返り血を顔面に浴びてしまわれました。水の滴る良い男、ではなく、返り血も滴る良い王子となってしまわれました。


「アレックス、お前もう少し考えてだな、」

「これで油断が命取りということを身をもって理解できましたね」

「平然と言うな!」

「お怪我をされても回復の用意は整っていますから安心してくださいませ」

「そう言う問題ではないだろ」

「いやグレイ、これは私の油断が招いた結果だ。アレクサンドラ嬢、とっさに矢を放ち助けてくれてありがとう」

「礼には及びませんわ」


 物分かりが良いようで大変結構です。それにしても、実習の時とは明らかに違う雰囲気が洞窟内を支配しているようです。実習中は安全に配慮しているため、教師陣による結界が張られていると説明がございましたが、それを差し引いても異様だと言えるのでしょう。

 ひとまず、ジャクソン様にかかった返り血を洗い流してから今後のことについて考えます。何かしらの異変が起こっていることは確かなのでしょう。

 先生も同じように感じられているようです。これはかなりの警戒が必要となってくるのでしょう。


「先生、」

「そうですわ。フォーメーションを変更しましょう」


 先生の指示のもと見直されます。ひとまず私が先頭を務めることになりました。その後ろにグレイとノア様、ジャクソン様、そして、アウロラ様とマシュー様は先生のサポートを行うことになりました。


「アレクサンドラ嬢、いいのか?先頭は大変だと思うが...」

「ご心配には及びませんわ。魔力を制限している今、むしろ武術の腕を磨く良い機会ですもの」

「お前は将来的に何と戦うつもりなんだ...。」


 それは魔獣やモンスターに決まっているでしょう。


「さあ、ここからは気を引き締めてまいりましょう。足元には罠がありますので気を付けてくださいまし」

「わ、罠!?」

「ある程度は解除していきますから」


 罠自体、以前はそこまでなかったのですが...。それにしても、モンスターも多いこと。


「アレックス、ストップだ、ストップ」

「あら、グレイどうかしましたか?」

「お前の足元を見てみろ。何が見える?」

「切り伏せたモンスターですわね」

「何故平然としていられる?」

「自らが行ったことだからですが...。」


 あら、後ろの方々はもしかしてドン引きされているのでしょうか。...

 それは、とてもショックです、集中しすぎると周囲が見えなくなるのは悪い癖だと存じていましたのに...。なんてことでしょう。


「ひとまず休憩に致しましょう。アレクサンドラ様もよろしいですね」

「はい、少し返り血を流してまいりますわ」

「お1人で行動するのは危険です。私もお供しますわ」

「僕もついて行くよ」


 申し出は大変ありがたいのですが、少々1人になりたく、と思いつつも言い出すことができませんでした。アウロラ様もマシュー様もこの中では耐性があまりない方ですのに申し訳ない気持ちになってしまいます。

 ここは手早く洗い流しましょう。

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