少しずれているみたいです
洞窟内で収集したものをテーブルの上に広げていきます、主に鉱物が多いです。
「これだけのものを持ち運べるなんて収納魔術は便利だな、やっぱり俺も使えるように、」
「そのためには魔力を安定的に使えるようコントロールの練習をしなければなりませんわね」
「きつかったな...。あの特訓は...」
「マシュー、遠い目をしているがアレックスに何かされたのか?」
「お望み通りの特訓をしただけです。コントロールはかなり良くなりましたわ。これを続けながら魔力を増やすよう努めたらかなり良い線までいくのではないでしょうか」
「アレックスがここまで人を褒めるのは珍しいな、頭でも打ったか?」
「沈めますわよ。いえ、私は常に正当な評価を心掛けているつもりでしてよ」
「一瞬本音が漏れたな。それも恐ろしいものが」
「気のせいですわ」
さて、並べ終えましたわね。地図に沿って並べていますが、こうして見ると、奥に進むごとに価値が上がっていることが分かります。また、下層と通常ルートの違いもよくわかります。
「あ、それは直接触らない方がいいかもしれません」
下層の方で拾った鉱石の1つを指さして私は言いました。持った時に手にちょっとした刺激が走ったのですよね。面白いと思い拾ったのですが、じかに触れることは避けた方が良いでしょう。
「アレックス、一応確認するが、他にも危険なものを持ち帰ってはいないよな?」
「危険なものはないと存じますが、強いて言うならば、そちらの透明なものは先ほどお話した透明な壁の残骸ですわ」
「なんでそんな変なものばかり拾ってくるんだ!」
「へ、変だなんて、気になるではありませんか!」
「その感覚で呪物とか本当に危険なものを拾って呪われかけたことを忘れたのか?阿保なのか!?」
「こ、好奇心が旺盛と言ってください。それに、呪いは解き明かしたので問題ございません」
「そう言う問題じゃない!」
「ま、まあ、お2人とも落ち着いてください。いつも通りの光景とはいえ、学園長先生のめのまえですよ」
流れを一通り見た後にアウロラ様が仲裁してくださります。飽きれたご様子のお3方と呆気に取られている学園長の姿が目に入ります。
「グレイソン様は時折、いえ、かなりの頻度でアレクサンドラ様に対して強いお言葉を使うことがございます。お気を付けください」
「は、はい、」
「アレクサンドラ様も、グレイソン様はアレクサンドラ様のことが心配でこう仰っているのです。不用意な拾い物はあまり関心できることはありませんわよ?」
「い、一応安全かどうかを確認して収集するようにして入るのですが」
「いや、直接触れないものや呪物は安全ではないだろう」
何人かがグレイの言葉に頷いております。な、なんということでしょう。私の感覚はやはりズレているのでしょうか?友人たちと過ごす時間が増えるごとに思っていましたが確信に変わってしまいそうです。いえ、ズレていることが分かったならば修正も可能なはずです、
諦めてはダメよ、アレクサンドラ!
「本題に戻しても構わないだろうか?」
「ジャクソン様、お願いしますわ」
「では、地図の順に並べるとかなりの違いが分かる。特に、下層と上層では明らかだ」
「モンスターには遭遇しなかったのか?」
「最後のチェックポイントを過ぎたあたりから遭遇しましたが、それ以前は特には」
「どうやら私の魔力に反応して襲い掛かられなかったようです、残念ですわ」
「残念がる事はないと思うが、わかった。宝石の原石が多いのか」
ノア様のお話と照らし合わせながら進めていきます。透明な壁を破壊したお話では呆れた視線を向けられましたが、とても有益な情報であり有益な証拠に成り得ると思うのですが。
気が付くと見学の時間は終わってしまいました。
「ふむ、洞窟の調査か。面白い私が責任をもって許可をしよう、今後の君たちの活躍に期待しているよ」
学園長はそう言い残して退室していきました。ここからが本番なのですが、時間とあれば仕方がありません。オリビア先生がいらっしゃる時間まではまだあります。
この乗っている雰囲気に流されるように提出書類と許可願などもろもろを仕上げます。先生もここまで進んでいるとは思わないはずです。
どんどんと仕上がっていく提出書類を前に心を躍らせている間に時間は過ぎていきました。