表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/284

研究を始めましょう

 パーティーから一夜明け、本日の午前は文化祭の準備を行います。


「それでは、展示制作班と研究班でわかれたいと思いますが、あら、もう分けられているのですね」


 使用するお部屋は学園で使用している部屋よりも広く、黒板や作業台なども運び込まれています。

展示班はリリーとカミラを中心に古代文学をモチーフにした音楽についての展示を、研究班は私を中心として、音楽を再生できるような道具を作る予定です。


「確か、昨年は青のクラスが録音器具で最優秀賞をいただいていましたよね」

「回路や魔方陣が複雑で理解できなかったな」


 研究班では現在、昨年の発表のレジュメを見ています。


「でも、、どこでも音楽が聴けるようになったら便利よね、ダンスの練習や楽器の練習に役立てることができそうだもの」

「アレックス、さすがに私達には青のような技術力は期待できないと思うわ」

「そうよね、魔法が得意かと言われると自信がないわ」


 ここで気落ちさせてはいけませんね。

 私達でも他クラスより秀でている部分があるのですから。


「私たちは青のような技術力は目指さなくても良いと考えますわ」

「そういうことですの?アレクサンドラ様」

「こちらに、レジュメを参考にした青の録音機をご用意いたしました。まずはこちらを聞いてくださるかしら」


 そう言って私は音を流します。一応、録音がされていますが、所々音質が荒い部分がございます。会話などの録音でしたら十分でしょうが、音楽を録音し流すにはあまり向かないでしょう。


「相変わらずすごい技術だわ」

「では、次にこちらを」


 録音した音楽を再生します。最初は興味深そうに聞いていましたが徐々に顔をしかめています。


「このように改善されるべき点は多くあります。それに、回路や魔方陣も確認しましたが非効率な面がよく目立ちます。消費魔力を抑えてより音質の良いものを作りましょう」


 音質、という単語に皆さまが反応しました。音質は大切なものですからね、

 そこからは話し合いがどんどん進んでいきました。音質の改善に加え、デザイン性や利便性に対するアイデアも出てきます。

 それらを鑑みた魔法陣の組み合わせを考えていきます、


「この組み合わせだと、音が小さすぎますね」

「こちらだとすぐに途切れますわ」

「これは、熱を持ちすぎて使えないな」


 いくつか施策を進めますが、なかなか良い組み合わせは出ません。


「アレックスはどう?」

「そうですね、風と水の属性を中心に魔方陣を組みましたが、何かが足りないような気がするのです。確認していただけますか?」

「うーん、あと一歩なんだけどね。あ、そうだわ」


 そう仰るとアメリアは先ほど没となった魔方陣を持ってきました。


「これなんだけど、組み合わせられる?」

「確認しますわ」


 重なる部分と、それから、均一に保つためには、


「土属性が必要でしたのね」

「土属性?あまりいい魔法のイメージはないけど、」

「そんなことありませんわ」


 現代では土魔法の研究は進んでいませんが、土魔法には他の属性には負けない強みがあります。

 土は他の属性よりも防御力に優れた属性です。土の防御壁はいくつかあり、盾のようなものからすべてを覆うドーム状のもの箱のようにすべてを守るものがあり、結界の魔術も土魔法を起点に魔方陣が組まれています。


「つまり、ドームを作る魔方陣を組み込むということ?」

「ええ、あとは細かい音質の調整です」


 音質の方は本当に細かい微調整を重ねていき、より満足のいくものを作っていきます。

 音質の方はお任せして残りは効率化とデザインを決めていきましょう。


「皆様、お昼休憩の時間です。キリが良いところで作業を止めてください」


 先生の号令により、作業を一時的に止めます。食堂でお昼を取るために移動をしましょう。

 その前に少しだけ、魔方陣を展開します。


「アレクサンドラ様?」

「安全策ですわ」

「アレックス、早くいきましょう」


 ドアノブの方にも仕掛けを施しました。何事も起きないとよろしいのですが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ