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部室

 部屋の中はそれなりの広さがあり、日当たりもよい場所です。普通教室が立ち並ぶ場所からは結構な距離があることが少々難点ではありますが、それは機密性を重視できるという利点にもつながります。


「設備の確認と支給品の確認から致しますわよ」


 アウロラ様がそうお声を掛けられました。承認証とともに同封されていたのでしょう。1枚の書類を指し示しています。

 設備としましては、机に本棚、それから黒板の番所に使用する道具類と掃除用具類です。この他にも職員室横の倉庫から取らなければならないものもあるらしく、その確認も後ほど行うそうです。


「初期設備の不満はありますか?創部したてのクラブとしては良い設備らしいのですが」

「どうだ?マシュー、ノア殿、アレクサンドラ嬢」


 不満は特にはありません。ないものは用意すればよいだけですから。手始めにお湯を沸かす場所の確保でも始めましょうか。


「はい、質問です」

「は、アレクサンドラ様。何でしょう?」

「お湯を沸かせる場所を確保することは可能でしょうか?」

「素晴らしい考えですわ。では、茶葉や茶器を常備できる収納場所の確保もしましょう」

「では、あちらの方ではどうだ?扉から離れ、見えづらい場所だな」

「衝立も用意しましょう。家の倉庫にあるものを持ってきます。それから休憩用の椅子とテーブルも」

「マシュー様、良い考えですわね。では、私は棚の増設を申請しておきますわ。他には、」

「待て待て待て!」

「ジャクソン様、どうされましたか?」


 ジャクソン様もお話に混ざりたかったのでしょうか?


「仮にもここはクラブ活動の拠点となる場所であろう」

「あら、拠点の設備を充実させることは重要なことですわよ。士気が上がりますし、何かあった時には籠城することも可能です」

「アレクサンドラ嬢は今から戦闘でもするつもりか?」


 今度はグレイにすがるような視線を送られましたが、グレイは諦めたように首を振っていらっしゃりました。何を諦められたのは存じ上げませんが。


「それでは、書類を提出するついでに倉庫の方にも向かいましょう。荷物が多いそうですので、できれば殿方には何往復かお願いしたいところなのですが、」

「構いませんよ」


 アウロラ様が申請書を出されている間に私達は倉庫に向かいます。一か所にまとめられているためとてもわかりやすいです。


「これは、型落ちですが、実験器具のようですね」

「そのようだな。ガラス器具に混合するものまである。それから、大掛かりなものもあるな」

「では、手早く移動させましょうか」

「手早く、か。これだけで今日は終わって、え?」

「ああ、マシューは初めて見るのだったな。アレックス驚かせているぞ」

「あ、申し訳ありません。後ほどマシュー様にもお教えしますね」

「あ、ああ。...。」

「あれはアレックスが常用している空間拡張と収納の魔術だ。異空間を作り、そこに物を収納する魔術らしいが、膨大な魔力量と調整技術が必要だからそう簡単に扱えるものではない」

「オリヴィア先生やノア様は使えますわよ」

「君の担任とノア殿は魔術の遣いてだからだよ、アレクサンドラ嬢」


 全てのものを収納し終えたのでアウロラ様を待ち、部室へと移動します。アウロラ様も驚かれていましたがとても便利だと褒めてくださりました。


「アレクサンドラ様にはいつも驚かされますわ」

「お褒めいただき光栄ですわ」

「これは、褒めているのか?アウロラ」

「もちろんですわ。それから、棚の方は余っている物があるそうですのでそちらを使用して問題ないそうです。メンテナンスをした上で明日にでも倉庫に収めておくそうですわ」


 部室に到着すると早速収納したものの配置に移ります。実験スペースと休憩スペース、読書や議論、書き物を行うスペースに区切っていきます。


「良い感じですわね」

「簡易的にですがお湯も沸かせるようになりましたわ」

「では、休憩にしよう。茶葉と茶器も簡易的なものだが、用意ができた」

「ガラス器具でお茶だなんていつもと少し違ってワクワクしますわね」


 ビーカーの中でお茶が抽出されていきます。見た目がとても良く面白いです。


「ガラスのティーポットを作ってみるのも面白いかもしれないな」

「王国にはないだけで魔界などでは使用されているようですわよ」

「ほお、初耳だな」

「お、魔王様が以前仰っていました。王国の装飾の美しい陶器のティーポットも素晴らしいけれどガラスで作られたものは色の変化や抽出されている様子、茶葉が躍っている様子が見られて興味深いと」

「へえ、それは興味深いな、あ、どうぞ」

「マシュー様、いつもありがとうございます」

「いえ、好きなことですから。お茶請けは簡単なクッキーしかありませんが」

「それでもありがたいですわ。ね、アウロラ様」

「ええ」


 マシュー様は少し照れながら席へ着かれました。視線がアウロラ様へと注がれます。


「それでは、古代文字研究部の創設が叶いましたことを祝しまして最初のお茶を始めましょう。お祝いの方はまた日を改めておこうなうことに致します。これから頑張っていきましょう」


 アウロラ様がそう仰りお茶の時間が始まりました。今回の話題は部室のかいぞ、いえ、どうよりよく扱いやすく過ごしやすい空間にしていくかについてです。

 いくつかの案が出され、それらをまとめ、少しずつ変化を付けていくことで納得し、お話は進んでいきました。

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