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心強い味方

 きちんとお断りしたはずなのですが、あれからさらにアピールが増えたような気がします。というか見知らぬ方からもアピールされます。

 やはり、舐められているのでしょうか?困りました。


「アレクサンドラ様、悩み事ですか?」


 情報交換の場においてアウロラ様にこう心配されるくらいに浮かない顔をしていたようです。

 例の沈めたい方の他にも悩み事が増えてしまいました。


「最近の1年生によるアピールについての悩みかい?」

「マシュー様よくお分かりですね。その通りです」

「まあ、そんなに悩まれるほど大変なのですか?」


 今日のメンバーは私とアウロラ様、マシュー様です。他の方々は各々用事があるようです。本日は私おすすめの紅茶とお菓子を用意しました。


「それが、様々な方から話しかけられることがありまして、普通は下級生は上級生に話しかけるのを躊躇われるとお聞きしたのですが、私には威厳がないのか気軽に話しかけられてしまうのです」

「えっと、ちなみに話しかけられる内容は姉妹制度について、ですよね?」

「その通りですわ。中には魔術を教えてほしいとの方がおられまして」

「ああ...」


 マシュー様が苦い顔をされました。情報交換の過程で私がどのような魔術を常用し、研究や改良を行っているのかを存じ上げているだけに、下級生にお教えすることの危険性についてわかっておられるからです。

 戦闘魔術を教え、授業で使用しようものならばけが人が出ること必須です。実戦用のものですから遊び半分で使用しては困るのです。


「もちろん、お断りなさりましたよね?」

「当然ですわ。さすがに危険ですもの」

「危ないことをしている自覚はあるのだな...。」


 それなりに自覚はしました。友人たちに涙目で心配されてはいくら鈍い方でも理解するというものです。


「やはり、威厳を身に着けた方が良いと思うのです。話しかけないでほしいというわけではございませんが、廊下を1歩踏み出すたびに声を掛けられては授業に遅刻してしまいそうになりますし、友人たちと話している時に話の腰を折られましてはご迷惑がかかりますもの」

「そんな状態なのですね...。」

「アウロラ様はどうなのですか?姉妹制度を打診される方は多そうな気がしますが...。」

「確かに、多少の打診はございましたがそこまで熱烈なものはございませんでしたね。マシュー様は話しかけられる機会がおありと思いますがどうですか?」

「僕は、図書館などでおすすめの本を聞かれるなどはあるが、そこまでは、」


 やはり、この異常事態は私だけのようです。はあ...。


「親しみやすさと見くびられるのは別物だと思うのですが、普通に話しかけれるようになったのは嬉しいことなのですが、何と言いますか、」

「アレクサンドラ様、昔から悩まれていましたものね...。」

「昔?アレクサンドラ嬢は昔から人から話しかけられやすかったのではないか?」

「...。昔は敬遠される方が多かったですわ。あまり気にしていませんが」

「そうは見えないが...。」


 知らない方は知らないのですね。まあ、知らない方は知らないでもいいのです。できるだけ記憶の方から抹消してほしいものですから。


「僕はそのままでも良いと思うが」

「私もです、それだけアレクサンドラ様が親しみやすく人望の厚い方だということですから」

「しかし、」

「安心してください。アレクサンドラ様が穏やかに過ごせますよう協力いたしますわ。手始めにお茶会で噂を流しますわ」


 なんと、心強い限りです。


「そもそも、学園内の校則を見てみたのだが、原則、姉妹制度の姉になれるのは3年生以上なのだろう?それを理由に断ってみてはどうだ?」

「原則は原則と言われましたわ...。」

「今の1年生はすごいのだな...。」

「ええ、本当に...。」


 なんだか遠くを見てしまいますわ。意外とぐいぐい来られる方は苦手だということが分かりました。


「お2人とも、そう遠くを見ないでくださいまし、作戦を考えますわよ」

「アウロラ様...。」

「大丈夫ですわ。今からでもどうにかしましょう。ますは情報共有から始めますわよ」


 アウロラ様はそう言って情報共有を始めてくださりました。私が姉妹制度を申し込まれた方の名前からその家の詳しい事情や学園内での立ち位置や交友関係など、多くの情報が共有されます。

 お茶会で得られる情報量がすさまじいです。

 情報を共有していただく中でいくつか見えてきました。やはり、しばらくと言いますか、進級してからも姉妹制度についてはきちんとお断りする方向で考えることにしましょう。

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