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威厳がほしい

 ひとまず、アウロラ様には私が姉妹制度を結んだという話をやんわりと否定してくださるようお願いいたしました。普段から仲良くさせていただき、さらには周囲からの人望が厚いアウロラ様の発言力はかなりお強いです。

 そして、私はアイリス様とお話をすべく、彼女を探しているわけなのですが、


「アレクサンドラ様、お聞きしてもよろしいですか?」

「次は私がお願いしたく存じます」


 どういうわけか、1年生の女生徒に囲まれてしまいました。私よりも背の高い方もいらっしゃるため視界が遮られてしまいます。

 というか、普通は上級生に対して話しかけてくる下級生は少ないとグレイやアウロラ様にお聞きしたのですが、嘘だったのでしょうか?それとも、単純に私に威厳がなく舐められているのでしょうか?


「アレックス、ここにいたのね」

「アメリア、りりー」

「大勢の方に囲まれて怖かったわよね、もう大丈夫よ」

「いえ、怖くは、」

「怖かったわよね?」

「は、はい...」


 リリーから言い知れぬ迫力と圧力を感じます。アメリアはそんなリリーを呆れた目で見つつも私の手を引き人の壁から救出してくださりました。


「アレックス、大丈夫?」

「ありがとうございます、助かりましたわ」

「良かったわ。1年生の教室付近に向かったと聞いて急いできたの。案の定囲まれていたのね」

「アメリア、案の定、とは?」

「アレックスは今最も多くの人の注目を集めているから可能性としてはあり得なくないと思って」

「そうなのですか?てっきり私に威厳がないためにあのようなことになったのだと思っておりましわ」

「話しかけやすい柔らかい雰囲気があるからよ。それよりも、アイリス・スノウさんを探しているんでしょう?行きましょう」


 そのままアメリアは私の手を取り歩き出しました。その後にリリーも続きます、何故か頬を膨らませながら。

 進んでいくたびになぜか悲鳴のようなものが聞こえるのですが、何かやらかしてしまったでしょうか?心当たりがないことはございませんが、心外です。


「ここね」


 そして、1つの教室の前にたどり着きました。ここは自習室のようです。クラスや学年に関係なく利用できる場所で、テスト前には多くの生徒が利用しています。私は大抵自室や図書館、今年度に入ってからは教室で勉強をしていたため利用したことはございませんが、多くの情報が行きかうため利用している方はテスト前でなくても一定数はいらっしゃるようです。

 アイリス様もこちらをよく利用されているそうだとアメリアが教えてくださりました。


「あ、アレクサンドラ様、ごきげんよう」

「アイリス様、ごきげんよう。突然押しかけてしまい申し訳ありません」

「い、いえ、アレクサンドラ様が訪ねてくださるなんてとても嬉しいです。あの、そちらの方は、」


 アメリアに気づき、そう質問されました。手をつないていたことに対しても驚かれていたようです。


「彼女は友人のアメリア・ターナー様ですわ」

「ごきげんよう、アメリア・ターナーです」


 アメリアの声が若干固いように感じられます。


「友人、ですか?」

「ええ、アメリアは流行やおしゃれにとても詳しくて最近では王宮の方で衣装について学ばれています」

「そ、そうなんですね。よろしくお願いしますわ」


 アイリス様のお声も若干固くなられました。


「あ、アレクサンドラ様が訪ねてくださったということはもしかして、姉妹制度のことでしょうか?」

「ええ、そうですわ」

「わ、私の姉となって、」

「申し訳ありませんが、アイリス様のご期待に添えることができない旨をお伝えに参りましたわ」

「え...?それは、どうしてですか?」

「姉妹制度についてリリーに詳しく教えていただいたのですが、私ではどなたかの姉になるのは力不足だと感じたからです」

「そんな、力不足だなんて、」

「それに、庇護を求めるのであれば私ではない他の上級生の方がよろしいと思いますわ。2年生の私には荷が重いのです」

「そう、ですか...。」


 なんだかご納得いただけていないご様子です。しかし、仕方のないことなのです。


「...。アレックス、場所を変えましょう」

「アメリア?」

「例の噂が流れている以上、彼女を見せ物のして傷つけてしまう可能性があるわ」


 それはアメリアの仰る通りです。防音魔術を掛けているとはいえ、様子を察せられると非常に厄介です。その旨を説明して私達は移動しました。

 若干の視線を感じましたがそれは気にしないように努めるほかありません。

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