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今はいいです

 終業後に先ほどのことをアメリアとカミラにもお話するとアメリアは笑い、カミラは困ったような表情をされていました。解せません。


「だって、ふふ、入学の時点で一応の説明はあったじゃない?ふふ、」

「アメリア笑い過ぎです。自分には関係ないことだと思っていたのかもしれません」

「アレックスったら、興味のあることに対しての記憶力や洞察力は抜群にいいのに、こういうところは抜けていたりするわよね」

「アメリア、面白がっている場合じゃないわ。これでもしもアレックスが勘違いで危険なことに巻き込まれたらどうするの?」

「リリーの言う通りですわね。私もアレックスが純粋すぎるあまり傷ついてしまわないか心配です」


 傷つくことは特になさそうな気もしますが、こうして心配してくださっているのならば警戒すべきことではあるのでしょう。


「アレックス、まずは姉妹制度について説明するわね」


 リリーはわかりやすく説明してくださりました。

 要約すると上級生が下級生に対して学園生活における様々な場面で世話を焼く制度のこと、のようです。逆に下級生は上級生に対して日常生活でのお世話を担当することとなるそうです。例えば、衣服や装飾品の選定なども任される場合もあるらしく、それは姉妹制度を結んだ相手にもよるもののようです。


「勉学を優先する方なら学習に必要な資料や本を図書館で探すことをお願いしたり、おしゃれが好きな方なら最近の流行についての情報収集をしたりするそうよ」

「上級生から声を掛けることもあればアレックスみたいに下級生にアピールされることも少なからずあるみたい」

「お姉様にお聞きした話ですと、姉となられるのは通常4年生以上が多いそうですわ。早くても3年生で2年生でなられる方はここ数年はいらっしゃらないようですね」

「それで、アレックスはどうなの?ここまで聞いてあの子を妹にしたいと思えた?」


 確かに、アイリス様は利口そうで良い子でしょう。しかし、私が抱えている諸々の事情に制度の内容を聞く限り、妹は必要ないように思えてきます。


「現時点ではあまり、姉妹制度を使いたいとは思えませんわ。助手を募集しているわけでもございませんし」

「アレックスらしいですね。無理して妹を認めることはありませんわ」

「そうそう、そんなに固くならなくていいと思うわよ」


 利害関係が一致しなかったということでよろしいでしょうか。今度お会いした時にお話ししなければなりませんね。

 それから数日後、いつものように情報交換をしている時です。アウロラ様からこんなお話がされました。


「そういえば、アレクサンドラ様は1年生の女生徒と姉妹制度を結ばれたのですよね?私がいつお誘いしようか考えていた時に結ばれるだなんて...。妹となった方はどのような方ですか?」

「そうなのか?アレックス。テオやリックが荒れそうだな...。」

「姉妹制度か...。耳にしたことはあったが、実際に結んでいる者に会ったことはなかったな」

「...。。アウロラ様、どちらでそのお話を聞かれましたの?」

「あら、私のクラスではその噂で持ちきりでしたわよ。アレクサンドラ様を妹に、と仰っていた方は多いですから」

「アレックスが妹に...?変わった趣向ですね」


 情報通のアメリアはそのような噂については話されていませんでした。いえ、同学年では姉妹制度を適用することはできません。可能性として、2年生以外の学年に流れている可能性がございます。これが意味することとは...?


「アレクサンドラ嬢、もしかしてお茶が気に入らなかったかい?」

「あ、いえ、少しだけ考えごとをしていただけです。マシュー様がご用意してくださるお茶はいつも美味しいですね」

「そう言ってもらえると光栄だよ。それにしても浮かない顔だけれど」


 アウロラ様、グレイ、ノア様は私がどのような方と姉妹制度を結んだのかその話で盛り上がっているようです。ここは、冷静なマシュー様にお聞きするのも手かもしれません。


「マシュー様、噂が流されるきっかけは何だと思いますか?」

「...。そうだな、相手の株を上げるためや逆に貶めるため、色々とありはするけど、1番は牽制じゃないか?」

「牽制、ですか?」

「ああ。例えば、だけどね。欲しいものを取られないようにするためにあらかじめ詳しい情報を手に入れたうえで流すんだ」

「牽制をしたことで得られる効果はありますか?」

「他の手出しがしづらくなったりはするだろうな」


 ターゲット層である学年に流すことで効果的な成果は得られそうです。うわさを否定することは簡単なのですが、誰が流したかを特定する必要がございます。ここは、何もせずに様子を観察することが先決でしょう。

 その後の作戦を考えつつ、マシュー様の知恵を拝借します。ついでに盛り上がられているお3方にも否定をしたうえで事情を話し、協力を取り付けました。

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