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昼食時間はお静かに

 ダリア様は学園に復帰され、今まで通りとはいかないもののそれなりに平穏に過ごすことができている模様です。被害者である私がこれ以上言及しないため、噂話などが掻き消えるのもそれほど時間がかからないことでしょう。


「それにしても、許すだなんてアレックスも優しいわね」

「アメリア、優しさではございませんわ。しっかりと反省しておられるようですしこれ以上追い詰めることはないと判断しただけですよ」

「それが優しいのよ。それにしても、リアム・パーカー様のそばにいる人たちは最近暴走気味というか、なんだか前と雰囲気が変わったわよね」

「そうですね...。」


 ふと視線を向けると離れた入りからウインクが飛んできました。寒気が...。あいにくの天気のため食堂で昼食をいただいているわけですが、早めに退散したいところです。


「リリーは委員会、カミラはお姉様と約束か...。ほんと、アレックスがいてくれてよかった」

「私もです。アメリアがいらっしゃらなければ昼食を摂るかどうか悩ましかったですもの」

「いや、昼食はきちんと取らないとダメよ。でも、最近まで慌ただしかったものね。昼食時間まで削って研究や報告書作成だなんて」

「それも落ち着きましたし、お休みの日にはまた出かけたいですね」

「いいわね!最近新しいお店がオープンしたのよ。2人にも後で予定を聞いてみましょう」


 アメリアの嬉しそうなお顔を見ると安心します。いえ、アメリアだけではございません。リリーやカミラの笑顔も私に活力や安心感をくださります。恋愛ごとはよくわかりませんが、友情については最近わかるようになってきました。

 これも成長なのでしょう。


「アレックス、どうかした?」

「いえ、お出かけする際には何か新しいペンを買おうと思いまして」

「良いわね。おすすめの文房具屋さんならいくつか、あ、でも、」

「アメリア?」

「アレックスの家格と合わないかしら?その、高位貴族があまり訪れる場所ではないし」

「あら、気にする必要はございませんわよ。値段がどうであれ、素晴らしいものは素晴らしいのですから。私は学用品には装飾や値段よりも扱いやすさを重視しますから。それに、」

「それに?」

「もしよろしければ何かお揃いの物を持ちたいと思いまして、」

「いいわね!良い物を見つけましょう!」

「随分と盛り上がっているな」

「あら、グレイにジャクソン様、ノア様、マシュー様ごきげんよう」


 せっかくアメリアと楽しんでいましたのに。よりにもよって目立つ方達ばかりが来られるとは。


「いや、お前も充分目立ってるからな?アレックス」

「人の心を読むことが得意なようですね、グレイ」

「駄々洩れなんだよな。席が空いてないんだ。いいか?」


 アメリアに確認を取ると頷かれましたので相席をすることとなりました。


「ジャクソン様、アウロラ様はどうしましたの?」

「誘いを断られた。何がいけなかったんだ...?」

「アレックス、ジャックに酷なことを言うな...。俺もカミラに断られたわけだが...。」

「カミラはお姉様と約束がおありのようですよ」

「わかっているが...。優先してくれても、」


 アメリアをご覧ください。呆れた目で見ています。この打ちひしがれている殿方お2人は放っておいても良いでしょう。


「アメリア、ご紹介いたしますわ。こちら、マシュー・カーター様ですわ」

「初めまして、アレクサンドラ嬢からよく友人たちの話を聞くよ、よろしく」

「アメリア・ターナーと申しますわ。女生徒たちの間では良く話題に上がっている方とこうしてお話するなんて不思議な感覚ですね」

「そう、なのかい?」

「お茶会の時に良く話題に上がられますわ」


 悲痛な方々を除けば和やかな昼食が楽しめそうです。


「へえ、前紹介してくれたのも興味深かったけれど今回のも面白そうね」

「アメリアならそう仰ってくださると思っていましたわ。私は顔料と香料の組み合わせの記述が面白いと思いましたの」

「へえ、香りの漂う衣装、面白そうだわ。あ、でも扱いづらいかも」

「そのせいで流行がすぐに終わったのかもしれませんわね」

「持続して付着できるような香料か...面白そうだな」

「ノア、あの3人は何の話をしているんだ?」

「昔の流行について記された本の話だな」

「アレックスが読むのはほとんどが古代文字だが、もしかして、マシューやアメリア嬢も読めるのか?」

「辞書を使いながらゆっくりとですが」

「僕もそうですね、でも、以前よりも読む速度は上がった気がします」


 呆気に取られていますが、以前もお話した通りです。興味深そうな内容からおすすめしましたらすぐにある程度の読解力を身に付けられました。結局は興味を持つきっかけが重要なのです。

 私が古代文字を読めるようなきっかけは母でしたが。魔術を覚えるきっかけも母だったような気がします。

 何やら周囲が騒がしいですね。...。睨みつけられるような視線とうるさいほどの黄色い声と、時々聞こえる雄たけび。

 さて、どう切り抜けるかを考えましょう。

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