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迷惑な嫉妬

 その後、国王陛下並びにジャクソン様と学園長に報告を済ませ、帰宅しようとしたところで彼女のお願いを思い出し、尋ねてみました。衛兵からの報告も行くことですし許可は下りないものと思っていましたが、案外あっさりと許可が下りました。

 普通でしたら、安全面を配慮の上時間をかけて考えるべきことのはずなのですが、私がお話するということで許可が下ったそうです。即決でした。できれば考える素振りをしてほしかったところではありますが、仕方のないことなのでしょう。

 2度目の面会日は4日後です。


「ダリア・ブルーム様、ごきげんよう」

「アレクサンドラ・コリン様、ごきげんよう」


 穏やかに挨拶を交わすことができるあたり、大分落ち着いているようです。


「負担のおかかりすることは重々承知ですが、もう一度真実の水鏡をお見せ願えないでしょうか?」

「私は構いませんが、お辛い記憶もあるのではありませんか?」

「それでもです。このようなことを目にして贖罪に繋がるとは思っていませんが、自らを振り返るためにもお願いいたします」


 完全に冷静になられているようです。いきなり襲い掛かってくる危険性もなさそうですし、良いでしょう。水鏡を展開するとティーカップの中に映像が映り始めます。


「確か、マシュー様やリアム・パーカー様と同じクラスなのでしたよね?」

「ええ。そうです。マシュー様とは委員会も同じでしたわ。私の場合は押し付けられた形でしたが、マシュー様は自らその役目を引き受けられていました」


 クラス委員はめんど、いえ、業務が多岐にわたりとてもお忙しい印象がございます。リリーもそうですが、自ら引き受けられるのはとてもすごいことだと素直に関心致しますわ。映像は少しずつ変化しています。何やら多人数に囲まれている様子も見受けられます。

 嫉妬、でしょうか?委員会のために人気であるマシュー様と親し気に話される様子から、でしょうか。何をそんなに嫉妬なさるのか私にはまだ理解できませんが、グレイ曰く、好意を持っている方を誰にもとられたくないという独占欲から生まれてしまうと以前に仰っていました。

 多少であれば良いのかもしれませんが、他社やご本人に迷惑をかけるものはただの害悪です。そのことはグレイとジャクソン様にきちんとお話しましたが、さて、どうなのでしょう。


「こうしてみると、マシュー様の方が親しく見えますわね。リアム・パーカー様とはお話されなかったのですか?」

「あまり話す機会がございませんでしたから。クラスの他の方もあまり話されていませんでしたわ」

「私の目にはマシュー様をお慕いしているように見えるのですが、」

「それが、私にも不思議なのです、マシュー様を見ると温かい気持ちになり、できるだけお側にいたいと思うのですが、リアム様を目にするとそのような考えは吹き飛んでしまって、リアム様に近づくものは排除しなければならないという考えになってしまうのです」


 これも香水の効果なのでしょうか?こう考えますとどれほど強力なのでしょう。


「リアム様の甘い香りを嗅ぐと頭がぼんやりとする心地で、話しかけられた時には天にも昇るような心地よさでしたわ」

「その、甘い香りがされるまでは特に好感を持っていらっしゃらなかったのですか?」

「そうですわね。不思議ですわ」


 こちらの方にとどまられた間に効果が切れかけているようです。この機会にもう1つ試してみても良いかもしれません。


「お茶が冷めてしまいましたね。入れ直しましょう」

「あ、ありがとうございます」


 お茶を入れ直すと同時に1つの透明な粒をお茶へ入れます。

 気づかれてはいないようです。効果はすぐに出るものではございませんのでそのまま話を続けます。お茶を飲まれたのを確認してから、次の話題への転換を伺います。

 さて、きちんと効果は出るのでしょうか?

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