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高揚感とストレス

 今日は天気が良いのと寒気がきちんとした場所で話をした方が良いということで東屋に来ています。目の前にはいくつかの瓶が置かれています。


「匂いは嗅ぎ過ぎないように」

「心得ておりますわ」

「これが本当に媚薬効果のある香水なの?」

「アウロラ、嗅がないように気を付けるのだぞ?」

「ええ、しかし、アレクサンドラ様は平気なのでしょうか?」


 匂いを吸い込み過ぎないように注意しながら嗅いでいきます。甘い香りにもいくつかあるようです。この中ですと、


「この匂いが近いように感じられますわ」

「これか。これは輸入品だな。東の方の国からのものだが」

「アレックス、問題はないのか?」

「ええ、特には。あら?どうにかなさいまして?」

「いや、その、」


 何故私から目を反らされるのでしょう?


「アレクサンドラ様がグレイソン様にそのような笑顔を向けられるだなんて珍しいですわね」

「香りで気分が少し高揚しているのかもしれません」


 少量嗅いだだけでこれほどの効果とはすごいですね。通常量まとわれるとなるとかなりの効果になるのでしょう。


「少し嗅いだだけでこれだなんて、恐ろしいくらいの効果ですね」

「香りを吸い込まないような用意が必要となるわけだが、」

「それだときちんとできているのかがわかりませんわ。それに、じっけhな1人で行う予定ですから問題ないと思うのですが」

「お前、ついに頭がいかれたのか?」

「グレイ、口が悪いですよ?」

「そんな危険物を扱おうとするだなんておかしいだろ!」

「危険物だなんて、流通している商品ですわよ?それに、早急に対処したいのです。私の精神の安定のためにも」

「な、何を言っているんだ?」


 廊下などですれ違うたびにウインクをされたり話しかけられる私の気持ちがわかりますか?毎度のことながら沈めたいと思ってしまうのです。ご友人を心配されているお優しいマシュー様の前で言うのははばかられますが、私としましては相当きついのです。

 それに、そのような事をされるたびに私のことを睨まれる視線は増えています。その対処も大変面倒です。ですので、早急に香水の効果を打ち消し身の安全と心の平穏を手に入れたいのです。


「それに、今度舞踏会が開かれますわよね?」

「ああ、1日目は学生が参加するな」

「一般の方もおられる中で混乱をさせては困るでしょう。特に、人妻を口説かれたら手に負えません。決闘を申し込まれて終わりです」


 華やかな会場は一瞬にして修羅場となること間違いなしでしょう。


「ジャクソン様はまだ幼い王女様が毒牙にかかっても良いと考えられるのですか?」

「ダメだ」

「でしたらできるだけ早く書類の確認をお願いいたします。処理速度が落ちているとお聞きしましたわ」

「アレックス、これ以上ジャックに無理をさせるのは、」

「責任者としての責任は果たしていただきます。グレイも手伝っているのですよね?」

「それは、そうだが...。」

「まさか、婚約者の自慢話ばかりを行い手が止まる、ということはございませんわよね?」

「そ、それは、もちろんだ」

「魔界の方からも質問状の返事が来ないと連絡がございました。早急な対処をお願いいたします」

「わかった。はあ、私でなくアレクサンドラ嬢が責任者をした方が、」

「お断りいたしますわ。何が悲しくてあの山のような書類と相対しなければなりませんの?私が向き合いたいのは己の研究ですわ。それでもどなたかに変わられたいのであれば魔塔主様や宮廷魔導士様にお願いしてくださいませ」

「アレックス、もう少し言い方をだな、」

「あら、私が責任者の時は一切の泣き言も許されませんでしたわよ?ノア様が時折書類整理を手伝ってくださったから良かったものの、最初の頃はいえ、お父様やお母様が訴えて下さる前はすべて1人でこなすよう言われていました」

「秘密保持のためだと父上が、」

「そうですわよね?秘密保持のためです」


 なんだか今日はおかしいですわね。気分が高揚しているからでしょうか?口が止まりません。


「アレクサンドラ様がそこまでの苦労をなさっていただなんて...。このことは王妃様にも報告させていただきます」

「アレクサンドラ嬢、心が安らぐお茶でも飲んで休憩しないか?」

「アウロラ様、マシュー様お気遣いありがとうございます」

「相当ストレスがたまっていたんだな」


 カモミールティーをいただくと少しだけ心が落ち着いてきました。


「言い過ぎてしまいましたね。申し訳ありません」

「いや、私の方こそ至らぬことが多々あったのだろうな。すまない。少なくともアレクサンドラ嬢の前で弱音を吐くべきではなかった」

「いえ、私の方こそ、口が止まらなくなってしまいましたわ。お恥ずかしい限りです」

「高揚感とストレスがそうさせただけだと思いますわ。アレクサンドラ様はそう気に病まれないでください。それに、手を止めて雑談に時間を割いていたのは本当のことでしょうし」


 アウロラ様もなんだかお怒りのようです。

 あ、グレイとジャクソン様が震えていらっしゃります。言い足りないことはまだいくつかございますが、今のところはこれでよいでしょう。

 高揚感を少しでも落ち着けるための私は再度カモミールティーに手を伸ばしました。

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