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第二話(前編)



——夢の中にて——



不良1「大口さんやりすぎっすよ...。鹿島のやつ、息してねぇじゃん...。」


不良2「お、俺ら捕まるかも...。殺人罪とか、シャレになら——」


不良3「うるせぇ! こいつが俺らの言う事を聞かねぇのが悪いんだ! とりあえず死体隠さねぇと...。お前らも手伝え!」


不良1「い、いや殺したのは大口さんなんだから、俺らは関係なくないですか?」


不良2「そう...そうだ! 俺らは関係ねぇ! 巻き込むんじゃねぇよ!」


不良3「ああ? お前らも共犯だろうがっ!」


…一人の少年に対して暴行を加えていた三人は、殺人という罪を押し付け合った。


不良1「あ、足音がする...やばい! 俺は知らねぇからなっ。」


不良2「俺もやってねぇから! あんた一人で責任とれよ!」


不良3「ま、待てお前ら! クソが...俺も早く逃げねぇと!」


…不良達は少年を放置して逃げ出した。


それから数分後、変わり果てた少年の姿を誰かが見つけた。


???「ゆ、勇気...。ごめん...何もできなくて...。」


…誰かは涙を流し、そう呟いた。



——朝、登校中にて——



主人公「あの夢は何だったんだ...。」


…主人公は独り言を呟いた。


梨央「夢? どんな夢みたの?」


主人公「あまり詳細は覚えていないが、心地良い夢ではなかった。」


梨央「ふーん...。」


梨央「それより、今日はちゃんと起きられたんだね。」


主人公「いや、里恵に起こしてもらった。まだ少し眠い。」


…主人公はあくびをした。


主人公(しかし、3代欲求のうち2つは体験したが...。後1つの性欲というものはなんだ? 全く想像できない。)


主人公「性欲...梨央は知っているか?」


梨央「えっ...な、何? なんて?」


…梨央は聞き返した。


主人公「ん? 性欲というものがよくわからな——」


梨央「え...えぇっ! 男はみんなそれを発散するために何かしているんじゃないの?」


主人公「別に何もしていないが...。」


梨央「そーなんだ! 意外!」


主人公「梨央は?」


梨央「さあ...。」


…他愛のない話をしながら高校にたどり着いた。



——教室にて——



勇気「海斗、おはよう! 良い天気だなー。」


主人公「ああ、勇気か。学校は教育の場だと言うのに、あまりそういう風には見えないな。」


勇気「あー確かに。この学校、真面目に勉強しているやつの方が少ないよな...。」


主人公「それよりも、ゲームセンターにはいつ行く?」


勇気「え? 今日も行きたいのか? でも、悪りぃな。今日はバイトがあるんだ。」


主人公「バイト? 何だそれは。」


勇気「あれ、前に言わなかったっけ? 俺、牛丼屋でバイトしてんだけど——」


ブーブブッ...


…勇気の携帯電話にメールが届いた。


勇気「あ、先輩からだ...。やべぇ、早く買ったパン届けないとまた殴られる...!」


勇気「まあとにかく、今日は厳しいな。明日なら良いぜ!」


…そう言うと、勇気は何処かへ走り去っていった。



——授業中——



モブ教師「a,bを通るように引いた時の[接点t]。だからぁ、この点とこの点とこの点が出るわけだ。この点はでねぇよ! a,b通らない接線なんだから。おーん。」


主人公(数学は簡単なものばかりだな。現代文や古典は少々退屈だ...。物理や化学、特に生物は大変興味深い。これのおかげでニンゲンの身体的構造と特徴はある程度理解した。)


???「ねぇ海斗くん。」


…色々な科目の教科書をひたすら読んでいると、隣の席に座っているニンゲンに話しかけられた。


主人公「誰だお前は。」


モブ男「二宮暁斗。」


モブ男「一生懸命教科書読んでいるけど、それ面白い?」


主人公「ああ。ニンゲンの文化を知るのに効率がいい。漢字とやらも大体は読めるようになった。」


モブ男「へぇ。海斗くん、意外と勉強熱心なんだねぇ。ここにいる奴らはみんな、君のその勉学に対する姿勢を見習うべきだよ。」


主人公「そう思うなら、みんなに伝えればいいじゃないか。自分の考えを持っておくだけというのは共感し難い。」


モブ男「ははっ。伝えたところで徒労に終わるだけさ。この学校には無能な奴しか居ないからな。仮に全員死んだって社会に大した影響はないだろう。」


主人公「じゃあ、なぜそれを私に伝えた? 私に伝えたところで、それこそ誰にも影響を与えることはできないだろう。」


モブ男「いや、別に言ってみただけさ。勉強熱心な君に対する、僕からの尊敬だ。本気で世の中変えようなんて、思う奴の方が馬鹿げている。」


主人公「ああ、全くその通りだ。」


モブ男「あ、そうだ。図書館に行ってみなよ。君の知的好奇心を満たすものが沢山あるよ?」


主人公「そうか。授業終わりに行ってみる。ありがとう。」


モブ男「ありがとうっていう言葉は、無闇矢鱈使って良いものではないさ。実際に自分の身になってようやく使っていい言葉なんだ。だから、君が図書館に行って沢山の本を読み、それが身になったと思うのであれば、その時、再び僕にありがとうって伝えてほしい。」


主人公「ああ。わかった。」


モブ教師「二宮ぁ。ここの問題わかるかぁ?」


モブ男「え? あ、はい。えーっと...。ここがこうなって...。あれ? 上手くいかないな...。ええっと...。」


主人公「...。」



——昼休憩中、体育館裏にて——



勇気「せ、先輩...。いったいなんですか...?」


不良1「鹿島ぁ。てめぇ俺らナメてる。という解釈で合ってる? 故に、極刑か死刑か選んでオーケイ?」


不良2「おうおう勇気クンよぉ。オメーが買ってきたメロンパン、全然美味くねーんだけどぉ。」


不良3「ちょっとこれは痛い目見てもらわないとねぇ。まぁ勉強の一環だよ。」


勇気「そ、そんな...。どの種類のパンでもいいって言っていたじゃないで——」


ドゴッ!


…強烈なボディブローが放たれた。


勇気「う...。」


不良3「駄目でしょ。口答えしちゃあ。悪いのはあくまでお前なんだから。」


不良1「うほぉ。鹿島に大口さんの昇竜拳が炸裂ぅ! ポケモンでいう一撃必殺ぅ!」


不良2「おうおう。まだまだ終わらねぇぜ勇気クンよぉ。オメーに買われたせいで無駄になってしまったメロンパンの数だけ、その苦痛を味わってもらうぜぇ!」


勇気「そ、そんな...。勘弁して下さ——」


勇気「うぐっ!」


…鹿島勇気は理不尽な暴力を振るわれた。



——放課後、教室内にて——



勇気「はぁ...。」


???「勇気、この時間まで何処行っていたんだ?」


勇気「っ!」


…誰も居ない教室で、一人虚しく帰りの支度をしていると、背後から誰かに話しかけられた。


勇気「なんだ...海斗か。まだ帰っていなかったのかよ。」


主人公「ああ。図書館にある生物関連の本がとても面白くてな。夢中になって読んでいたんだ。」


勇気「へ~。そういうのに興味あったんだな。じゃあ、俺はもう行くから。また明日な。」


…勇気はそそくさと帰ろうとしたが——


主人公「何故、午後の授業を欠席した?」


勇気「ん? あー...。別に面倒だっただけだよ。もういい?」


主人公「いや待て。その顔の痣は? 今朝見た時はなかったはずだが。それに、転んで怪我するには局所的過ぎる。投射された物に当たったか、鈍器で殴られたか...そうでなければ、そこに痣なんて——」


勇気「海斗。」


主人公「...?」


勇気「お前は関係ないから気にすんな。」


…そう言うと、勇気は教室を後にした。


主人公「...。」


…どこからか風が吹いたような気がした。



——牛丼屋にて——



勇気「お疲れ様です...。」


店長「鹿島おつかれ〜。あれっ。その痣どうしたの? 喧嘩でもした?」


勇気「あはは...。そうですね。ちょっと、やられちゃって。」


店長「あらら。元気で良いけど、無茶も程々に...だね。」


勇気「はい。気をつけます。」


勇気「...。」


勇気「あ、あの...。」


店長「ん? どうしたの?」


勇気「本当は喧嘩じゃないんです。一方的に殴られています...。」


勇気「でも、やり返して大きな問題になっちゃうと親に迷惑かかるから...。ただでさえ、お母さんの病気が深刻で、親父も大変だというのに...。だから、誰にも相談できなくて...。もし死ねたら、こんなことも考えなくてもいいのかなって思う時もあって...。」


勇気「あ、すみません。なんか、辛気臭くなってしまいました。ってか、こんなこと言われても困りますよね。ははは...。」


店長「いや、そんなことないよ。ほら、牛丼奢ってやるから元気出せよ!(並盛だけど)」


勇気「あ、ありがとうございます!」


店長「...。」


店長「なんか、生きるって大変だけどさ。辛いこともいずれ終わりが来ると思うよ。明けない夜がなければ、止まない雨もないし。向かい風が収まったら、追い風にのればいいんじゃないかな。」


勇気「そ...そうですよね。」


店長「根性論でごめんね。僕にも、具体的な解決策が思い浮かばないな...。」


勇気「いえ、大丈夫です! 店長に相談できて良かったです。牛丼ご馳走さまでした!」


店長「おう! 気をつけて帰れよー。」


勇気「はい! 店長もワンオペ頑張って下さい。」


店長「あー僕も早く死にてぇ...。こんなとこ続けてられっかって感じだよ...。」


勇気「ははっ。そうですね。」


…店長に悩みを打ち明けたことで、少しだけ心が軽くなった。



——主人公の部屋にて——



主人公「ooo. (惑星長。聞こえますか。)」


惑星長「o. (ういぃぃぃぃっす! 惑星長でーす。ちゃんと聞こえてるよーん。調子はどうー?)」


主人公「ooo. (ぼちぼち...ですかね。ニンゲンについてある程度は理解を深めました。)」


惑星長「oo-oot9. (そっかー。お前も大変なんだな。t9はぶっ壊せそう?)」


主人公「...。」


主人公「oo. (いや、地球を破壊するのには、まだまだ時間がかかるかと...。)」


惑星長「oo-t9.(地球じゃなくてt9だろ。大丈夫かお前。)」


主人公「o.(す、すみません...。)」


惑星長「oo-n21. (まあいいや。気長にやってくれて構わないよー。でもね、ニンゲン達に同情するのはいただけないなー。21の件もあるしね。)」


主人公「n21-ooo. (21...。我々ロールの中で唯一、野心や向上心という様なものを持っていた個体...。しかし、ヤツは死んだはずです。火星人も滅亡しました。だから、特に心配する必要はないのでは?)」


惑星長「oo. (違う違う。俺が心配なのはお前の事だ。お前が余計な事を考えるっていうのが最も懸念すべき点なんだ。いいか? お前も言っていたと思うが、ニンゲンは敵だ。いずれ必ず我らの脅威となる。早いうちにいらない芽は摘んでおけ。)」


主人公「o. (承知しました...。)」


…通信が終わった。


主人公(私の目的はこの星を破壊することだ...。この惑星に帰化してしまうということだけは絶対に避けなければ...。)



面白ければブックマークをよろしくお願いします。


…GWがいつの間にか終了していた件

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