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鬼龍VS最強の血族

「おや?」


 廊下で小山を待っていたのは、一二〇歳の高齢選手、森岡五兵衛だった。

 道着に袴姿で、廊下のベンチに座っている。


「どうしました五兵衛さん?」

「ん、いやなに、次の次が私の出番なんでね。そうなってから急いでここにくるのがしんどいから、先に来て待っているんですよ。それに、次は最強一家の試合ですからね。ちょっと近くで見たいんですよ。

「最強一家。あー、あのブラジルの」


 五兵衛はこくんと頷く。


「それより、いい試合でしたよ」


 五兵衛に褒められて、小山は気恥ずかしそうに頭をかいた。


「いえいえ、五兵衛さんに比べればまだまだですよ」

「そりゃそうだ、一二〇歳の私に比べれば、この世の全てがケツの青いガキでしかない」

「おっしゃる通りで」

「あ、ちょっと通りますよ」


 廊下の奥から、次の試合の選手である、桐生朝守成が走って来た。

 今度は金髪ロングヘアーのカツラに、どこかの高校の緑色の制服を着ている。

 さらに奥からは、色々な格好をしたコスプレ集団が詰めかけて来る。

 小山と五兵衛は声をそろえて、


「「派手ですねぇ……」」


   ◆


『Cブロック第三試合! 今度も大きいお友達の皆様、準備はよろしいですか♪』


 会場が暗くなる。


 明りはすぐに点いて、リングには色々なライトノベルのキャラクターに扮したコスプレ集団が現れていた。


 そして会場には歌が流れる。

 歌に合わせて、集団が踊る。

 観客席では、一回戦の時以上の数の人達が異常で異様な熱気で応援する。


『日本企業♪ メディアファームMF文庫J代表♪ 身長一六〇センチ♪ 体重五六キロ♪ バスト八九センチ、ウエスト五九センチ、ヒップ八八センチ♪ 鬼と龍を超える怪物鬼龍♪ 桐生朝守成一六歳の登場でーす♪』

「私だって友達が欲しいのよー!」


 と言いながら、コスプレをした朝守成がリングに躍り出る。


 一回戦とは別のアニメソングに合わせてコスプレダンサー達が踊る。


 朝守成も一緒に踊って、会場の巨大スクリーンにCMが映る。


 ライトノベルのキャラクターにコスプレした美少女朝守成が、その作品に合ったショートドラマを披露して、最後に新刊宣伝してからCMは終了。


 アニメソングも終わって、コスプレ集団が先週入場口へと姿を消していく。


 綺麗な朝守成はコスプレがよく似合っていて、彼女の大きな瞳や整った顔立ち。


 格闘家とは思えない、トップアイドルでも嫉妬しそうな顔と、グラビアモデルでも平伏してしまうような抜群のスタイルのコンボは無敵だ。


 絶対戦闘には邪魔であろう大きな胸と程良く大きなお尻。

 逆に防御力がなさそうな細いウエスト。


 でも彼女の人間離れした戦闘能力は、一回戦で証明済みだ。


『最強の格闘技は我がブラジリアン柔術だ! 日本よ、貴様らはもう古い! 最強を義務付けられた一族、グレイザーファミリー最強の男が登場! ブラジル企業! リオルトセ代表! 身長一八九センチ体重九八キロ! 最強の血族! 五代目グレイザー柔術師範! レド・グレイザー選手でーす!』


 歓声に包まれながら、柔道着に身を包んだ体格の良い黒髪黒目の白人男性が入場。

 レド・グレイザー二十歳。

 だが、その実力はグレイザーファミリー最強の超天才児だ。


「俺の相手がこんなお遊び気分のピエロガールとはな」

「ピエロ?」

「勘違いするなよ小娘。ここはサーカスやダンスステージじゃあない。アイドル活動がしたければよそへ行け」


 朝守成が頬を膨らませて不機嫌になる。「


「何よ失礼しちゃうわね。これでもメディアファームの威信をかけて戦っているのよ!」

「では威信の差を見せよう。お前のようなヌルイ三流戦士と、最強の名を背負う我がグレイザー柔術の威信の差をな。審判!」

『はい、それでは両者構えて! 試合、始めです♪』


 レドが襲い掛かる。

 まずは当て身。

 朝守成の顔面に左ジャブ。


 が、これは気を引く為の囮。

 朝守成が首を左にひねってかわす、つまり朝守成の意識が左ジャブにいったのを見計らって、右手で朝守成の左袖を取った。


「フンッ!」


 朝守成を一本背負い。

 朝守成は一瞬で対応し、両足で床に着地してレドの掴みを切って距離を取る。


「反応はまずまずだな。認めよう、弱くは無い。だが」


 レドが前傾姿勢になって、タックルの構えを見せる。


「俺とお前では、背負うモノが違う!」


 タックルの勢いをそのままに、体重の乗ったパンチをキックで攻めるレド。


 朝守成はそれをガードし、受け流し、隙を見て打ち返す。

 スタボーの着ぐるみをウレタンごと抉り抜く朝守成の拳。


 レドは掌でしっかりと受け止め威力を殺しながら拳をがっちりつかみ封殺。

 ショートアッパーで朝守成のアゴを狙った。


 すばやく身と首をひねってかわす朝守成。


 拳を掴まれていることを利用して引き倒そうとして、察知したレドは手を離す。


 天才朝守成。


 だがレドも、まぎれもない天才だった。


「やはりその程度か」

「さっきから見下すわねぇ。あんたの事は知っているわ。日本でも有名だもの。最強を義務付けられているブラジルの最強一家ってね」


「その通りだ。お前はなんの為に戦う? 金か? 名声か? ファイトマネーで生活費を稼ぎたい。勝って有名になりたい。会社の名前を売りたい? くだらん!」


 怒声一発で、会場が客が小さな悲鳴を上げた。


「真の最強を義務付けられ、真の最強を目指し、この世の頂点を極めようとする我がグレイザーファミリーに、我がグレイザー柔術に、貴様のような三下が少しでも敵うなどと、決して思うな!」


 再びレドの猛攻が始まった。


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