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ニンジャ

 VIP席では羅刹は、残念そうに溜息を吐いた。


「駄目だったか……」

「隆雄さんがんばったのにね……」


 好美が共感して一緒に肩を落とす。


「でもこれで試合の半分は終わったな」


 華奈が頷く。


「ええ、次はとうとう、Cブロックよ」

「剛輝さんの試合はDブロックですよね?」


 羅刹の問いに、剛輝は上機嫌に答える。


「おうよ、チャンピオンは後のお楽しみにとって置かれるもんなんだよ」


 好美が、


「そういえばチャンピオンとしてはCブロックの見どころってどこですか?」

「みどころ? そうだなぁ」


 剛輝を自分のあごをなでてから、


「まず間違いなく桐生朝守成の嬢ちゃん、後は忍者の服部半蔵だな」


 礼奈が眉間にしわをよせた。


「忍者で半蔵? それってリングネームですか?」

「いいや、本名と同等称号だ。Cブロック第一試合。服部半蔵は正真正銘、あの戦国時代の忍者服部半蔵の子孫だ。本物の忍者だよ」

「でも忍術って空想ですよね? あのドロロンっていう」


 礼奈の言葉に、剛輝は腹を抱えて笑った。


「そりゃ当然だわな。忍術って言うか暗殺術だな。忍者は忍びこんだ先で戦闘になった時の為に、体術も学んでいる。それが本物の忍術だ。暗殺用だけにどの格闘技よりも効率的に、無慈悲に、的確に、人体破壊を目的にした技だ。そういう意味じゃ、最強の格闘技の一つとして数えていいかもな」


「私はよく知らないけど、現代の戦場格闘技みたいなものですか?」


「まぁ、それが近いな。もっとも、今の戦場格闘技は何万人っていう兵士全員に教える必要があるから簡略化されていたり、あまり高度過ぎる技は存在しないが、忍術は専門職の隠密集団だからな。えげつない技も残っているぜ」


 そう言う剛輝はどこか妖しく、そして危険な香りが漂っていた。


「ちなみにこいつな」


 剛輝は、自分の後ろの席の男性を指差した。


 そこはMTT社のVIPエリアで、細身の日本人男性が一人座っている。


「いたぁあああああああああああああああああああああああああ!?」


 礼奈の絶叫が一目を引いた。


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