ヒロインには勝てない
天城羅刹は意識が覚醒すると、異様な感覚に襲われる。
何かが口の中をまさぐっている。
同時に、後頭部の感触に気付く。
なにやら凄くきもちい。
うちにこんな枕あったかな?
と疑問に思う。
やわらかくて、でも程良い低反発力で最高の寝心地だ。
手を伸ばすと、その布地の手触りは絹よりもずっとよくて、すべすべで気持ち良い。
「きゃっ」
小さな悲鳴に、羅刹は目を開けて、絶句した。
目の前が巨大な双子山、もとい好美の下乳で隠されている。
「あ、せっちゃん起きた?」
おっぱいとおっぱいの間から、好美が顔を出してこちらを見下ろしている。
目を開けて確認すると、羅刹は寝巻姿で好美に膝枕されて、おまけに歯を磨かれていた。
好美は羅刹の口から歯ブラシを抜いて、羅刹は上体を起こした。
「えーっと、これはどういう状況なんだ?」
「えーっとね、せっちゃんが気絶しちゃったから、せっちゃんをシャワーにいれて、体を洗って、着替えさせて、今は歯を磨いているところなの」
「え!?」
羅刹は寝巻のずぼんの中を確認。
筋トレ前にはいていたのとは、違うパンツをはいている。
羅刹はストーブの近くにいるように顔が熱くなり、好美を見る。
途端に好美は両手を頬に当てて赤面しながら笑う。
「だいじょうぶだよせっちゃん、変な事はちょっとしかしていないから♪」
「ちょっとって何だよちょっとって!?」
「ちょっとはちょっとだもん♪」
「もうお婿にいけない」
羅刹が両手で股間をおさえながらうずくまると、好美が肩を叩く。
「大丈夫、あたしがもらってあげるから♪」
好美は満開の笑顔でそう言うのだった。




