第24話 鮪
俺は、駅員や乗務員の訓練、および王都までの建設を社員たちに任せ、港町までの下見を兼ねた測量に向かった。同行者は移動力が高いルナと、海に行くと言ったら『にゃーも行くにゃ。新鮮な魚食べたいにゃ』と言ってついてくることになったニャーシャに、あと連絡要員として、ピクシーたちを5人連れてきた。
「さて、ハーコンまできたな。」
俺は久々の海にワクワクしていた。海に来るなんて何年ぶりだろう。
『にゃーは魚が食べたいにゃ。』
「海に行きたい!」
「うん、君たちは欲望に忠実でいいね。でも、まずは町長さんに会って打ち合わせがあるからね。」
そう言いながら俺たちは町の入り口に向かう。もちろんアダマンタイト級冒険者なので、冒険者カードを見せればチェックはスルーだ。
「さすが港町。賑わっているなぁ。」
『魚の匂いがするにゃ。食べるにゃ。』
「まだ行っちゃダメ?」
君たちねぇ。
「私たちが先触れに町長の家に赴きましょうか?」
今回ついてきてくれたピクシーのカイが進言してくれた。
「そうだな……。頼めるか?魚を食べてから行くんでって言っといて。」
「はい、わかりました。ウルドとデェリーはヤマト様に同行するように。あとの二人は私と町長の家に行くぞ。」
そう言ってピクシー3人が町長の家に向かっていった。
「ルナ。海に行くのは明日にして、今日は魚にする。」
「は~い。」
うん、尻尾が下がったな。明日は海で思いっきり遊んであげよう。
「へぇここが魚市場か。どんな魚がいるんだろう。」
ワクワクしながら魚屋の前を行く。
「ニャーシャは勝手に魚を食べるなよ。ちゃんと買ってやるから。勝手に食べたら魚は無しだ。」
『それは困るにゃ。わかったにゃ。』
いろんな魚を見ていく。日本で見たことがある魚や見たことない魚、いろんな魚があるな。
「どんな魚が食べたい?」
『あれがいいにゃ。』
ニャーシャが指差す先を見てみると、大きな背の青い魚がいた――――――というか、あれって鮪だな。
「おっちゃん。」
「おう、なんだ?」
「あれ、売ってくれないか?」
「あれか?1㎏銀貨1枚だ。」
ん?安いような気がする。まあ、一尾250㎏くらいかな。
「じゃあ、これで。釣りは要らないよ。」
そう言って俺は銀貨300枚を渡した。
「ちょ、ま。」
「ん?どうかした?」
「あんたひょっとして1匹丸ごと買うつもりか?」
「ああ、そうだけど?」
なにか問題があったか?
「いや、あんた冒険者でこの町の商人じゃないだろ。だったらこの魚はやめとけ、足が早いぞ。」
ああ、そういうことか。
「いや、この子らも食べて、残ったら漬けにして数日中に食べきるつもりだが。」
「……マジか。」
ああ、今はルナは人化しているから、ニャーシャだけで食べると思っていたのかな?
「従魔だが、いいもん食わしてもらってるんだな。」
「ああ、そういう。」
魔獣使いは飼育にもお金がかかるから、食費まで気が回らないんだ。
※大和が金持ちすぎるだけです。いくらなんでも従魔に鮪1尾買うのは馬鹿げてます。
「ま、ともかくこれ貰っていくぞ。」
「ああ、毎度あり。」
俺は鮪を食材収納に入れた。
「じゃあ、鮪捌くのに場所を借りるか。」
町長の家なら厨房を借りれるかな?
その後、俺とルナの水着を買いに行って(ルナの水着は付いてきた女性のピクシーに選んでもらった。)町長の家に向かった。
「アダマンタイト級冒険者の新庄大和です。マルサロア鉄道の社長でもあります。いきなりですが、厨房を貸してください。」
町長さんへの挨拶もそこそこにいきなり厨房を借りた。さすがに鮪を捌いたことはないが、まあ丁寧に作業すれば捌けるだろう。
頑張って捌いてニャーシャに4分の1、俺とルナで8分の1ほどを、ピクシーたちは肉は食べないそうなので、3人で食べた。




