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第22話 運転士育成

 俺は、線路を繋いでいる間に訓練用のモックをレール工場内に作った。基本操作はモックで覚えてもらい、十分の訓練ができたら実機で訓練。区間はこのレール工場からユーフィまでの間で、レール輸送を兼ねる予定だ。

 3日でモックを作り上げた頃には、指導の技能を持つ指導員候補が馬車でここまで来た。路線網がある程度できたら、専用の訓練施設を作ろう。


「じゃあ、これから運転士の訓練を行う。少しのミスが大事故に繋がることになるので、ミスを少なくするよう努力してくれ。」


 人間、多少のミスは付き物だ。それを事故に結びつけないようにフェイルセーフを用意してはいる。


「まず、このモックを使って、運転に必要な機器の確認をする。」


 そう言って運転席周りのモックに向かう。


「これが、運転台だ、左がブレーキで、右がマスターコントローラー通称マスコンだ。これを操作して加速、減速をする。で、マスコンの下にあるのが逆転機。これを操作することで前後どちらに動かすか決める。」


 みんな真剣な表情で聞いている。


「次に、計器類だな。左から魔力残量計、速度計、時計台になる。この辺りは近づいて確認してくれ。」


 そう言うと、みんな代わる代わる運転台に近づき確認していった。


「あとは、右側の板を填めることができるところが運転士行路票、または運転時刻表の置き場で、左の機器が、ATS、自動列車停止装置だ。ATSは万が一速度超過した場合の最後の砦だ。ATSを作動させないように運転するのが運転士の役目になる。」


 そう言うと、みんな真剣な顔をして頷いた。


「あとは、足元に警笛がついている。これを踏むことで警笛が鳴るようになっている。これも後で確認しておくように。次に、無線の説明だな。」


 俺はそう言って、運転席左側の柱についている無線機を指差す。


「これで、この列車の車掌と、運転指令に連絡が取れる。スイッチを切り替えれば連絡先を変えれる。非常時などで連絡するのに使われる。運転指令からの無線は問答無用で流れるように設定してあるので、乗務の際は運転指令の指示を優先するように。ただし、最高速度の最優先はATSだから間違えないように。」


 頷く指導員候補生たち。


「次は、自動解結装置だ。乗務員室右側のボックスの中にスイッチがある。通常は運転に設定されているが、連結するときは連結、解放するときは解放に設定すればそう言う設定になる。連結に関する扱いは実地訓練の時に解説する。」


 わかりましたと返事する指導員候補生たち。真面目に聞いてくれて嬉しいな。


「あとは、運転に直接関わらないスイッチ類だな。まず、前照灯。まあ、前を照らす灯りだと思ってくれていい。次にワイパー。雨が降ったら、窓ガラスにつく水滴をぬぐう装置だ。あとは、冷暖房、対雪装置、砂撒き装置。あと、非常時に使う装置だな。マスコンのハンドルの上にボタンがあるだろ。それはデッドマン装置といって、走行中にそれを押し続けないと10秒で非常ブレーキがかかる仕組みになっている。それと、マスコンとブレーキの間にあるボタンは、緊急列車停止装置の解除ボタンだな。こっちは、1分間、マスコン、ブレーキ、警笛、砂撒き装置を操作しないとブザーが鳴ってボタンが光る。ボタンを押さないと5秒後、非常ブレーキがかかる仕組みだ。あとは、列車防護無線装置だな。もし、事故などで列車が脱線した場合、できる限り速やかにあの紐を引っ張ってくれ。半径1㎞の列車に停止する合図が出される。これは音が鳴るだけだから、聞いたら速やかに停止するように。」


 列車防護無線は複線化した後に重要になるが、単線でも十分有用だ。



※作者注:マルサロア鉄道の単線区間は通票閉鎖を使う予定なので、1つの区間に1列車しかいない前提になるため、事故現場に他の列車が進入することがほぼ無いが、駅構内は行き違いの為に複線になる予定なので、駅構内での事故には列車防護無線は有効である。



「細かい操作は実際の訓練の時に解説する。次に標識類だな。運転士が実際に見なければならない標識は多岐にわたるから、よく覚えておいてくれ。」


 俺は、指導員候補生たちを連れて、標識類の置き場に向かった。



「まず、最初に覚えなきゃならない標識は、これだ。」


 そう言って、四角にバツが書かれた標識を見せる。


「これは、停止位置目標といって、ここに列車を止める目印だ。機関車が停まる位置を示している。この標識に合わせて停車するように、許容範囲は1mだ。まあ、馴れるまで多少の誤差は構わないよ。」


 日本の運転士の停止位置との誤差はある意味、異常に高いからなあ。新幹線ですら、ブレーキ操作で正確に停めてしまうのはすごいと思う。


「次に速度制限標だな、この数字以下の速度で運転しろというものだ。ATSにも同じ数字が出るので、注意するように。四角の対角線の上側と下側だけ黒くなっているのは速度制限解除の標識で、この先は速度制限がないという標識な。ただ、次の速度制限の場所を把握して、その前に減速できるようにしておくように。」


 そう言って、数字だけ書かれた標識類を見せた。まあ、ひとつは数字じゃないけど。


「で、次はこれ。気笛吹鳴標識。この標識の場所では必ず警笛を鳴らしてください。次のは列車停止標識。列車を停止できる限界に置かれる標識で、こっちが車両停止標識。これは車両の入換運転を行う区間の終端に置いている。そして、車止標識。車止めの前に設ける標識。これが転轍器標識。これで分岐の方向がわかるようになっている。」


 それぞれスピーカーから音が出ているマーク、白い四角の板に黒い十字が入ったもの、黒い四角の板に白い十字が入ったもの、黒い四角の板に白いバッテンが入ったもの、そして青い丸板に白い横線と黄色い矢羽みたいな形状で黒い線が入ったものを十字に組み合わせて軸を回転させると見える標識が変わるのもだ。


「じゃあ次は、信号関係にいくよ。」




 俺は指導員候補生を連れて、信号機を置いてあるところに移動した。


「これが、信号機だ。表は色つきガラスで、中に発光器が入っている。色によって運転士に合図を送る装置だ。基本は赤が停止現示、黄色が注意現示でこの先に停止現示があるので注意して減速、制限速度45㎞/h青が進行現示で速度制限標の速度まで加速できるとなる。」


 今回教えるのは3灯式信号だが、4灯式や5灯式、さらには6灯式なんてものもある。まあ、そこまで増やすときはよほどの運転密度になるときくらいしかないから作らないだろう。


「あとは、場内信号機と出発信号機だな、場内信号機は停車場内に進入できるかを表し、出発信号機は停車場から出発できるかを表す。と言っても、通常の信号機と同じ制限があると思えばいいよ。あとは誘導信号機と入換信号機。誘導信号機は黄色の1灯で、入換信号機は3灯式で、進行でも45㎞/h制限だから気を付けるように。列車の増解結に使うので覚えておいて。この辺りは信号に付属記号が付くだけの場合が多いから、それを見落とさないように気を付けてね。」


 信号の形状ってあまり変わらないからなぁ。


「あとは手旗信号と合図灯だな、この講義は駅ができたら行おう。」


 数日後にユーフィ駅の駅本屋を除き作り上げたので、これからは実地訓練だな。

今回も本編中に解説しているものが多いので、解説していないものだけ。


対雪装置:降雪時、ごく僅かブレーキをかけて走行することによって、制輪子と車輪の間に雪が入り滑ってブレーキが効かないようになることを防ぐ。


砂撒き装置:坂で、粘着力が足らず空転しそうなときに砂を撒いて登りやすくする。


通票閉塞:タブレット閉塞と同じ。タブレット閉塞は1章19話に記載。



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