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第19話 試乗会3

 俺は機関車を降りて、客車の方に移動してこれからの予定を伝える。


「これより、折り返しをします。折り返しは安全のために機関車を付け替えることになります。今から機関車から客車を切り離し、機回り線を経由してこの車両の後方に機関車をつけ直します。なので、車内でしばらくお待ちください。」

「それを見ててもいいでしょうか?」

「うーん。ここは中途半端な場所なんで乗降が難しいですから、車内から見える範囲でならいいですよ。前の機関車を左側を経由して後ろから連結し直すので、それを見ていてください。」


 俺は客車を降り、前後4つずつある車輪に手歯止めを差し込み転動しないようにする。そして、機関車から客車を切り離しにかかる。といっても、密着連結器を使っているので、スイッチひとつで切り離しができるんだけどね。

 機関車に戻った俺は、後方の運転台に向かい、自動解結操作スイッチを解放に設定する。そして、運転台に座り、マスコンキー、ブレーキハンドルをつけ直し、逆転機を後に入れる。本来は係員が合図を出すのだが、まだ訓練自体を行えていない現状、慎重に後進をする。軽い衝撃と共に客車が少し離れた。

 そのまま分岐器を越えるまで10㎞/h程度で下がる。折り返し用の停止位置目標まで下がれば折り返せる距離まで下がれる。

 所定の位置まで下がったら、俺は機関車を降り、手歯止めを設置して、分岐器の横に取り付けた転轍機に移動する。機関車を通すので簡易的な鎖錠装置を付けたものだ。ダルマだと跳ね返されるかもしれないからな。これを客車と反対側の分岐器でも行う。

 本来なら係員が行う転轍作業を終え、俺は機関車の手歯止めを外し、再び機関車に乗る。機関車の自動解結装置を運転に切り替え、今度は逆転機を前に入れる。前にある客車に衝突しないようノッチを1つだけ進め、10㎞/hの低速で分岐器に入る、機関車は無事左を向き、客車を回避し機回り線を走行する。そのまま10㎞/hの速度で反対側の分岐器に向かい、本線上に進入する。

 そこで再び機関車に手歯止めをはめ、転轍作業を行い、本線側に進路を構築する。そして、今度は連結作業に移る。

 機関車の手歯止めを再び外し、客車側の運転台でマスコンキーとブレーキハンドルをつけ、10㎞/h以下のごく低速で客車に向かう。本来は係員が合図を送り連結作業を行うのだが、まだ訓練ができていないので、慎重に作業を行う。客車から1mほどの場所まで機関車を進める。そこで、一旦機関車を降りて客車に行き、これからの作業を説明する。


「これから、機関車を連結します。本来なら係員の合図で連結作業を行うのですが、今回はいませんので、慎重に作業を行いますが、不測の事態が発生するかもしれません。できれば客席に座っていただくのが安全ではあります。それでもという場合のみ作業を見ることは構いませんが、万が一の場合はご容赦願います。では、これより連結作業に入ります。」


 連結作業は、米原や近江今津、日根野と、あと阪神尼崎でも見ている。といってもあれは全部電車の増解結作業なので、機関車のものとは違うが、乗務員室越しに見ているから、なんとかなるはず。係員がいれば。だが、やるしかない。

 俺は、機関車に戻り、自動解結装置を連結に設定し、警笛を短く鳴らし、機関車を動かす。そして、客車に当たる寸前にブレーキをかけ、客車に軽く当たるようにして連結した。




Side:客車内

 ヤマト様が機関車に戻っていく。


「こういった作業は頻繁にあるのですか?」


 私は、ヤマト様と前世が同郷のアモリシアさんに聞いた。


「そうですね。列車の増解結は比較的よくありますね。前世では鉄でなかったのでそこまでよく知らない私でも作業している列車に乗ったことがありますし。」

「そうなんですか?」

「ええ、社長から聞いた話では、毎日かなりの数、分割併合をしているそうです。中には前と後ろが行き先が違ったりすることもあるそうです。」

「へーそうなんですね。」


 そう話していると、カタンと軽く車両が揺れて、機関車が離れていった。ヤマト様が機関車を降りてなにやら動かしたりしている。


「あれは、分岐を切り替えているらしいです。この車両を迂回するために別の線路を通るので、そちらに切り替える……と、社長が言ってました。この後、右側にある線路を通って後ろに向かうそうです。この分岐の切り替え作業も本来は専門の作業員が行う事だと言ってました。」


アモリシアさんの解説を聞いていると、機関車が動きだし、アモリシアさんが言った通りこの車両の右側を走って後ろに向かっていった。その後、ヤマト様が再び作業をした後、機関車がゆっくりこちらに向かってきた。少し手前に停まると、ヤマト様が降りてきて、この後の予定を告げた。


「これから、機関車を連結します。本来なら係員の合図で連結作業を行うのですが、今回はいませんので、慎重に作業を行いますが、不測の事態が発生するかもしれません。できれば客席に座っていただくのが安全ではあります。それでもという場合のみ作業を見ることは構いませんが、万が一の場合はご容赦願います。では、これより連結作業に入ります。」


 もちろん私は作業をみるために機関車の方に向かっていった。すると、機関車がこちらの車両に向かって動きだしぶつかりそうになる。私は衝撃に備えて座席に掴まった。すると、ガシャンという音と軽い衝撃があり、機関車は行きと同じような場所で停まっていた。


手歯止め:ハンドスコッチとも。車輪とレールの間に差し込むことで車両が動くのを防ぐ。


自動解結装置:車内にある列車解結操作スイッチを切り替えることで、比較的簡単に連結できるようになっている。


鎖錠装置とダルマ:両方、分岐器が別方向に動かないようにする装置。鎖錠装置は機械的に固定するのにた対し、ダルマは重さで固定するので、重い車両とかだと跳ね返されて本来向いている分岐と別の方向に進んでしまうことがありえる。

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