第8話 機関車作成2 台車の完成と車体
設計図ができたので、リンちゃんを横につけ実際に作ってみる。機関車用の軸バネはコイルバネで、これは今は俺しか作れない。錬金魔法と金属加工、炎魔法と土魔法の会わせ技で作っているからだ。
「コイルバネは複合的な技能がないと作れないから、俺が当面の分を作るよ。」
「わかった。」
「台車製造はリンちゃんと魔法ラットたちを中心にお願いしようと思う。モーターとブレーキは魔道具として魔法ラットたちに教える予定だ。」
ブレーキは魔法指令式空気ブレーキになる予定で、空気を送り込む魔道具を作れば簡単だ。その魔道具と魔力線で運転室のブレーキハンドルに接続され、ハンドル操作を魔力線を経由して魔道具に送られ空気を送り込みブレーキがかかる。本当は直接ブレーキを動かせるんだが、魔石が手に入らなくなった時のことを考え、空気ブレーキ風にしてみた。
「制輪子は消耗品だから十分に予備を作っておくように。」
車輪で削れていくからな。
「じゃあ、実際組み立てようか。」
そう言って俺たちは台車を組み立てる。車輪に軸箱、今回の台車は魔力機関車になるので軸バネにコイルバネを使う。さらに台車枠等を組み合わせていく。
「この穴の周りが心皿で、ここと側受に重量がかかるから注意してくれ。」
「ん。」
そして、台車が3つ完成した。
「じゃあブレーキの魔道具とモーターの魔道具を作るぞ。」
ブレーキは空気圧でかけるシステムになるが、その空気を送り込む魔道具が元空気溜め等の代わりに空気圧をかける。モーターは試作品は作っているので、それを大型化、正品化すれば良い。
まず、ブレーキだが、すでに制輪子とそれに圧力をかける部品は出来上がっている。そこに魔道具を繋げるだけだ。
魔道具の方は送られてくる魔力の量によって圧力を変える物を作った。これをブレーキシステムに繋いで、魔道具に魔力線を繋ぐ。
「魔道具のガワは金属加工で作ってもらうけど、中の刻印を魔法ラットたちに書いてもらうってことになるかな。」
そう言って、シルベスに刻印の紋章の図を渡す。
「ちゅう。」
早速刻印していくみたいだ、魔法ラットたちが手分けして書いていく。車輪は12あるから、ブレーキも同じ数あるからな。
次にモーターの製作にはいる。といっても、試作品があるから、それを大型化するだけだ。あのとき作ったのは手のひらサイズだったからな。モーターは俺しか作れないことにするために、内部を軽く複雑化しておくか。モーターは直径30㎝の筒に20枚の魔道具を重ねて、その中心に回転軸を差し込む。そして、モーターの軸は、俺が魔法を駆使して作ったボールベアリングで滑らかに回転するようにしよう……。実際のモーターと全く違うものが出来上がるな。モーターには送られてくる魔力の量によりどの魔道具が動くか判定する魔道具を取り付ける。20枚の魔道具はそれぞれ出力と回転の向きが変わるように作ったから、ノッチと逆転ハンドルによってうごく魔道具が変わるようになる。このモーターを6軸すべてに取り付け、ギアを噛み合わせる。これで、6軸3台の機関車用台車が完成した。
「じゃあ車体の製作に移ろうか。基本的な構造は、機関車も客車も貨車も同じだ。機関車は全部金属で台車が3つだけど、客車や貨車は基礎部分以外木製で台車は2つ。貨客車の、台車と連結器と魔力線以外は各地で作ってもらう。」
「そうか。」
「で、機関車はステンレスで作る。ステンレスは……説明いる?」
リンちゃんもアモリも首を横に振る。そりゃそうだよな、二人ともステンレス知ってるからな。
「じゃあ、作っていくな。まず台車に繋ぐピンと前から後ろまでの貫通材を作る。台車のうち真ん中の台車は車輪にフランジがついてないものを使うように。」
この車輪は純粋な円筒状なので曲がる機能がない。重量の分散と加減速のためだけの台車だ。
「ここに、車体の幅にあたる3mの横材と全長の20mの縦材を取り付ける。この上に床材を敷き詰めれば床は
完成だな。」
しっかりとした床を作ってもらったらあとは上の部分を組み立てるだけだ。だが、その前に。
「で、ここの前と後ろに連結器を取り付ける。これは、他の車両を繋げるときに使うものだ。」
「「へー。」」
なんでアモリもへーって言ってるん?
「じゃあ、壁を作ろうか。まず、こっちの側面を立てて、次に、こっちの正面をつける。ちなみにこの正面のことを鉄道では妻面と言う。」
「「へー。」」
だからなんでアモリも――――――。
「あとは屋根を取り付ける。ここまでは機関車も客車も基本同じだ。まあ、機関車と客車じゃあドアの位置や窓の位置が違うが、車体の構造という意味ならほぼ同じだから参考にしてくれ。」
ちなみに、この作り方は魔法がある世界でチートな男が作っている作り方なので実際の作り方とは大きく違うはずだ。
コイルバネ:普段見かける丸っこいバネ。
ブレーキハンドル:ブレーキ用のハンドル。ワンハンドルマスコンの場合はマスコンと一体化して、ハンドルを奥に倒すとブレーキになる。
制輪子:ブレーキをかけたときに車輪に押し付ける部分。ブレーキシュー。
心皿:台車に付いている車体重量を受け止める部分。
側受:傾斜時に車体の荷重を負担する部分。
ノッチ:マスコンで加速するときに安定した加速率にするための段。
逆転ハンドル:鉄道車両をどちらに進めるか決めるハンドル。




