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第7話 機関車作成1 車輪と台車

「じゃあ、今日は機関車を作るぞ!」


 昨日は一日レールを作り、がんばって300本作った。


「機関車って、あの煙を吐く黒い石炭を使うあれを作るの?」


 アモリが聞いてきた。


「蒸気機関車な。それも作るつもりでいるけど、今回作るのは魔石の力で動く機関車を作ろうと思う。実在する機関車だと、電気式ディーゼル機関車か蓄電池機関車になるかな。」


 魔石をエネルギー源に動力として魔力モーターを回転させる。まあ、電気式ディーゼル機関車や蓄電池機関車と構造はほぼ同じだな、モーターを動かす電力を魔力に変えただけだから。


「えーと、どういうものを作るの?」


 あ、鉄じゃなきゃ、これじゃわかんないな。


「魔石の魔力を使って車輪を回転させる魔道具の機関車を作る。」

「うん、わかんない。」

「じゃあ、魔力を電力、魔石を乾電池、車輪を回転させる魔道具をモーターと言い換えて。」

「…………なるほど。」


 元現代日本人にはこの説明が一番だな。


「蒸気機関車も魔道具をうまく使ってエコな蒸気機関車にしようかなって思うんやけど。」

「どうやったらできるかわからない。」

「こっちは簡単、蒸気を産み出すために水を沸かす熱源を石炭から炎の魔道具を使うだけ。」


 火力を調節できる分、速度の調節もしやすいだろうし、石炭を使わないから煤煙も二酸化炭素も出さない。さすが、魔法がある世界。


「ま、それはともかく魔動機関車を作ろう。」


 そう言って、俺は、機関車を作る準備を始めた。

 まず、最初に幅20㎝、長さ180㎝の木材を50本用意する。それを50㎝間隔で置いてその上にレールを置く。レールと木材をつなげるための特殊な釘、犬釘で固定する。レールの幅は1435㎜の標準軌にしておく。


「とりあえず、こんなもんかな。じゃあ、まずは台車からだな。何軸にしようか……。」


 軸数が多ければ、それだけモーターの数を増やせるが、かといって軸重が軽くなりすぎて牽引力が少なくなっても困る軸重は16トンくらいを目指すかな。4軸にするなら64トン、6軸なら100トンくらいになるかな。うん、出力を優先して6軸にするか。


「台車は2軸台車を3つで、形式名は魔力機関車で試作車だから『MF90』としておくか。1号車だから『MF90-1号車』になるかな。」


 本体の作成に入る。まず、最初に車輪の作成だ。車輪の形状はちょっと特殊だ。なぜなら鉄道車両にハンドルはないからだ。なので、カーブに合わせて車輪がレールに接地する場所が変わることによって左右の車輪の直径が変わって曲がることができる。どれだけのバランスにするかによって直進の時の蛇行動を少なくできる。脱線しないようにフランジという突起をつけなきゃならない、さらに今回は機関車なので、動輪を動かすための歯車がいる。そんな車輪だ。車輪も、金属加工で作った。


「このあたりは、金属加工を持ってる人に作ってもらおう。図面を用意するね。」


 ついに火を吹くぜ!図面作成(鉄)Lv77!(注:図面を作るスキルなんで火は吹きません。)



 俺は、研究所の一室に入り、図面を描き始める。

 実物と同じで良いのはモーター以外の部分だ。モーターは魔道具として新しく作るから必要ない。軸箱から軸受け、軸バネ、台枠から枕バネ、ボルスタアンカーやブレーキなどもいるな。ブレーキは回生ブレーキは使わない。摩擦ブレーキを用意するとして、ブレーキシステムはどうしよう。やはり空気ブレーキかな、ブレーキシステムは蒸気機関車と共通化した方がいいかも、いずれ、俺がいなくなった後、必ずその辺りの技術が後退するだろうからな。

 その辺りの設計図を書こう。


「あ、そういえば、客車用の図面もあればいいよね。」


 そう呟いて、客車用の台車の図面を書く。問題になるのは、やはりブレーキシステムだよな。蒸気機関車も魔石で沸かして動かす予定だから、魔石は必ずついてるんだよな。なら、電気指令式ならぬ、魔力指令式ブレーキにして、連結器にブレーキ用魔力線を合わせればいいかも。となると、連結器は密着連結器を作るか。

 興が乗ってしまって、連結器まで書いてしまった。まあ、台車と連結器、ブレーキシステムは模倣できないようブラックボックス化するつもりだったから、この工場でしか作らないけどね。



 完成した設計図をリンちゃんに見せる。


「これ、作れそう?」

「ん、大丈夫。時間かかる。」

「そっかー。何人かで分担すれば早くなるよね。」

「……パーツごと?」

「そうだね、それぞれ担当の部品しか作らないことになると思う。ひとつのものを作ることで、それに対する品質の向上と、他のパーツがわからなければ模倣できない。この世界に特許があるかわからないから、できる限り秘匿する必要があるからな。」


 最終的に蒸気機関車までなら模倣されることを許容するかも。蒸気機関車を作れるようになれば、空気ブレーキくらい作れるようになるだろう。まあ、どちらにしても将来の話だ。


「オレはいいのか?」

「え?俺の横からいなくなるのか?」


 やっぱ、刀鍛冶をさせてないから、見切られたか……。


「いや、オレは旦那の嫁だ。離れるつもりはねぇ。」

「じゃあ、俺が世界中を回る間に現場を監督できる人がいるだろ。リンちゃんにお願いしようかなと思っているからさ。」

「……他は?」

「いや、リンちゃんにしかできないことだよ。」

「アモリ?」

「彼女は鉱物の仕入れが担当だな。たぶんレールまではアモリに任せるかもしれないけど、それ以外――機関車や台車はリンちゃん以外に任せることはないよ。」

「……そう。」


 リンちゃんは嬉しそうに返事をした。

蒸気機関車:蒸気の力を使って車輪を回す機関車。


蓄電池機関車:蓄電池=バッテリーに電気をためて非電化区間を走る電気機関車。


犬釘:犬頭釘とも。レールを固定するために出っ張りがついた釘。この出っ張りが犬の頭に似ているから犬釘と呼ばれる。


標準軌:国際的に最も普及している軌間。新幹線の軌間が標準軌。私鉄や地下鉄もこの軌間を使っているものが多い。JRの在来線は標準軌ではなく1067㎜の狭軌と呼ばれるもの。


軸重:1軸あたりの重量。


MF90:Mは魔法のMagicから、Fは6軸(1をA、2をBとすると、6はF)のため。90は試作車。旧国鉄の命名規則を元に大和が付けた。


軸箱:軸受や潤滑油などをいれている部分。


軸受:車軸を受け止める部分。


軸バネ:車軸に車体全体の重量をかける部分で、車輪をレールに追随させ、車体への衝撃を吸収する役目がある。


台車枠:枕バネを含む車体支持装置と、軸バネの間で、車体重量を均等に各車輪に分け、車軸を平行に保つ部品。


枕バネ:車体と台車枠の間にあり、振動を抑制、減衰させ乗り心地を良くしたり、安定した走行を確保する部品。


ボルスタアンカー:台車の牽引力やブレーキ力を伝達し、枕バネの横方向への変形を抑制する装置。


回生ブレーキ:モーターの回転を電力に変え、抵抗を制動力に変えるブレーキ。


摩擦ブレーキ:機械的な摩擦のブレーキ。


空気ブレーキ:空気の圧力で、摩擦ブレーキをかけるシステム。


電気指令式ブレーキ:電気信号を各車両に送り、各車両のブレーキ制御装置を動かすシステム。


密着連結器:連結器の一種。連結面の隙間をなくし、密着性を高めた連結器。大和は、密着することでブレーキ用の空気管を連結と同時に自動接続できるので、ブレーキ管の代わりに魔力線を簡単に接続できるように密着連結器を選んだ。




さすがに実際に作り始めたら鉄道用語がわんさか出るな……。

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