第6話 レール作成者
3日たって研究所兼工場が完成した。って早いな、建設スピード(笑)。金払いの良さと、この後大規模公共工事をするから、気合いが入ったのかな。
研究所の中を見ると、概ね希望通りになっていた。工場の方も同様だ。
「ありがとうございます。これ、報酬です。」
そう言って俺は、棟梁に金貨2枚を渡す。このスピードならそれだけの価値がある。大工たちはホクホク顔で帰っていった。
「じゃあ、研究を始めるか。」
そう言うと、俺と魔法ラットたち、そしてアモリがレールと魔物避けの研究を始める。といっても、レール自体は50㎏レールをそのまま模すので、金属加工と炎魔法であっさり作った。なお、鋼鉄と黒魔鉱の比重が違うらしく、50㎏レールの形だが、重さが1本で1500㎏になってしまった。
「強度は鋼鉄より高く、腐食しないんで、レールには最適の金属ですよ。」
「みたいだね。レールはすべて黒魔鉱で作ろう。じゃあ、ここに魔力線を繋いで、魔物避けの結界が張られるようにしようか。」
そう言うと、俺は魔法ラットたちにレールに刻む結界の紋章を書くように頼んだ。彼らは器用なので細かい紋章が書ける。
魔力線は、魔力の通しやすいミスリルを糸状に加工したもので、よく魔力を通すので魔石設置場所からレールまでの間に使う予定だ。
「ちゅう。」
魔法ラットたちが刻印できたようだ。魔石から魔力を送ってみる。どうやら成功したみたいだ。
「これなら、魔石台から一定の範囲内のレールに魔物避けの効果が発生するな。」
ちなみに、レールだけでは効果がない。魔石と繋げる必要があるが、魔力の波長をコントロールしなければ使えない上、重いし固くて長いから使い勝手が悪い。少しの間は盗難があるかもしれないが、無意味だとわかるとなくなるだろう。
俺たちはどんどんレールを作っていく。長さ25mのレールをある程度量産しなければならないので大変だが……、何本作ればいいんだ?単純計算で、南へ75㎞の港町、西へ50㎞の交易都市ウェルミュ、北に30㎞くらいあるユーフィまでは少し大回りになって50㎞くらい、合わせて175㎞分。これを25mで割ると…………最低14000本?重さにして21000トン?う、うわぁ。
「アモリ、ひとつ確認したいことがあるんだが。」
「はい、なんでしょう?」
「黒魔鉱の手に入る量と、1㎏あたりの金額はどれくらい?」
「そうですね、重いだけで在庫を圧迫しますけど、一応引き取りはしていたので、王都だけなら500トンくらいですね。うちの鉱山では他の鉱石を取る中でどうしても採掘していたのでぼた山がいくつか出来てましたね。金額は1㎏銅貨5枚です。」
「今、ちらっと計算したんだけど、今計画している路線の線路だけで21000トンはいるんだ。お金の方は問題ないけど、量がね。」
重すぎて、ここまで持ってこれない(笑)。
「あー、じゃあ、とりあえずはベレフェヌス領にレール工場を作りましょう。レールにしてからここまで持ってきたらいいんじゃない。」
「まあ、当面はそうするしかないな。レール工場は、25mの長さがあれば、金属加工の技能でレールが作れるから、それで準備してもらおう。あとは、機関車を作らなきゃな。」
とりあえずと言うことで、技能と魔法を駆使してレールを作る。まあ、人類最高レベルの魔術師がチートの金属加工技能で作ってるから、普通の職人ならもっと時間がかかるだろう。実際リンちゃんが炉で黒魔鉱を熱して、レールの形を作るのに1本3時間ほどかかった。それも、俺が炎魔法で手伝って3時間だ。
「あ、一回融かして型に流し込めば、大量に作れるんじゃない?」
「残念だけど、それだと強度が落ちるよ。」
「あ、そうなんだ。」
「実はローラーで圧縮して作ってるんだよ。」
うーん専門家は詳しいな。でも……。
「それって鉄で作ったときだろ。黒魔鉱だとどうなんだ?」
それを聞いて、あっという顔をするアモリ。
「……黒魔鉱の特性。高強度。磨耗に強い。酸化しにくい。熱膨張ほとんどなし……。いけるかも。」
「やっぱり。じゃあ、型はめで作る?」
「鋳鉄だと……25mの長さを作るのはねぇ。」
アモリはちょっと考えてしまう。まあ、どう考えても100年単位で未来の技術だよな。
「今の技術でいくなら熱して叩いて形作るのがいいでしょうね。ただ、どれだけ時間がかかるか……。」
「となると、俺のチートで作るのが早いか。」
「ですね。」
レールは俺が頑張らないといけないみたいだ。
「とりあえず実験線が作れるくらいの本数は作らないとな。」
そうして、一日レールを作るのであった。
レール削正車:敷いてあるレールの形を専用の砥石などで削って整える車両で、保線用機械。
サブタイトルのネタ元(笑)。




