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第1話 両替

 授与式の翌日、俺はマルサロス鉄道の本拠地――本社とか言ってたけど、本部の方がいいね――本部の建物に来ていた。大工に頼んでいた内装工事が終わったと聞いたからだ。ついてきたのはルナ、ミュー、リーフの召喚娘たちと、リンちゃんとメフィ王女の婚約者候補たち、そして、従業員のアモリ。


「うん、いい感じだね。ここでチケットの販売、指定席の確認と指定席券の販売、あと直営や提携のホテルの予約ができればいいな。」


 完全に旅行会社のカウンターである。


「マルスみたいなものが作れればいいんだけど、最初は難しいだろうな。」


 当面はウェルミュ~王都と港町~王都、王都~温泉~鉱山を1時間に1~2本走らせることにするから、全部で1日約100本の旅客列車と、貨物列車が一日上下2本ずつの12本を基本に、臨時列車や、お召し列車を走らせることになるだろう。なら、1等車を指定席、2等車を着席保証でいくのがいいのか?なら、1等車付きの列車の本数を制限して1日上下2本ずつ、席も豪華なものにして1両当たり60席で1編成2両、2等車は1両当たり80席で着席保証で1編成で5~7両。3等車は席数は80席で着席保証なしにすればいいか。そうすれば、1等席は一日当たり1440席で、各駅で本部に確認して売ればいいし、2等車は枚数管理だけですむ。3等車は……当面の入場制限で対応しよう。一度建設してさえすれば、あとは監督する人を用意して建設は続けられそうだから、その間にマルス的なものを作ろう。


「じゃあ、上にあがろうか。」


 そう言って上の階に向かう。

 2階は1Kの部屋が20部屋、3階は1LDKの部屋が10部屋用意した。

 4階には俺の部屋を作った。寝室2つと書斎――と言うか執務室かな。あと研究室と客間が4つ。あと会議室を用意した。


「うん、いい部屋だ。」

「少し部屋が小さいんじゃないでしょうか?」

「ん。」

「ルナは藁とかでいいよ。」

「リーフはつちがあればじゅうぶん。」


 確かに君たちはここに住むんだけど。あと、メフィ王女はまだ先だぞ。


「仕方ないじゃないか、この部屋を発注したとき、この部屋に住むのはルナとミューとリーフとここにいないシルベスの予定だったんだから。」


 少女2人とピクシーと魔法ラットなら十分なスペースだが、少女4人だと狭くなるだろう。


「客間の予定の部屋を1つ寝室に変えよう。それなら部屋の大きさとしては十分じゃないかな。」


 ミューはルナとリーフと一緒に住んで、シルベスは本人に確認して決めよう。


「アモリは1つ下の3階の部屋を自由に選んでくれ。」

「あー、そうだよねー。ところで、お風呂は?」

「2階に男風呂、3階に女風呂を用意した。トイレは2階は共同だけど3階は部屋ごとについてるよ。」

「よしっ。」


 この世界はすごいな、普通に水洗便所があるんだから。


「ありがとう、これだけの部屋なら十分だ。じゃあ、明日からは研究所兼工場を造ってもらいたいから職人ギルドの方によろしく伝えてください。」


 大工の皆さんはグッと親指を出して答えてくれた。


「じゃあ、必要なもの買いに行くか。まずは商人ギルドだな。」


 白金貨じゃ買うものも買えないしな。




 商人ギルドに行くと、VIPルームに連れていかれた。なんでだ?ああ、メフィ王女がいるからか。


「ヤマト様、よくぞいらっしゃいました。本日はなんのご用で?」


 商業ギルドのギルマスが息を切らしてやって来た。え?俺だからVIPなのか。


「あ、王女殿下もいらっしゃったのですね。失礼いたしました。」


 おいー、まずいだろそれは。


「いえ、私はヤマト様についてきただけですから。」


 いいんかーい。ま、まあ、とりあえず目的を達成してからだな。


「すみません、両替をお願いしたいだけだったんですが。白金貨じゃ買い物しにくいので。」


 だって1枚1000億だよ崩さないと普通の店じゃお釣りもでない。


「お、おう。それを崩すっていうと余程の事なんだが……。」

「一昨日まで無一文で、昨日貰ったのが白金貨で150枚だよ。崩さないと何もできんのよ。鉄貨すらない。」

「おいおい、じゃあ今までどうやって暮らしてたんだ。」

「そりゃあ、冒険者ギルドが迷惑かけたからってかわりに払って……ああーーーっ。」


 あー()()を、今、思い出した。先に冒険者ギルドに行けばよかったんじゃないか。


「どうした?」

「いや、何でもない。で両替はできるのか?」

「いや、できることはできるんだが、白金貨1枚でも金貨10000枚になるんだが、大丈夫か?」

「ああ、それはチートの空間収納があるから問題ない。」


 そう言って俺は、空間収納から白金貨150枚入った袋を出し、1枚だけ取りだしギルマスに渡す。


「お、おう。そいつは便利だな。商人として羨ましいよ。じゃあちょっと待ってくれ、すぐ用意させる。」


 ギルマスは秘書らしき人に金貨を持ってくるように言う。……あ!


「あーちょっと待ってくれ、金貨1枚でも大口の仕入れ以外で使わないだろ。金貨1枚は銀貨にしてもらえないか?」


 金貨1枚は大体1千万円くらいの感覚なんで、少し銀貨にしてもらう。銀貨なら1万円くらいかな。


「……そういやそうだな、枚数は増えるが、そっちの方がいいだろう。まあ、金貨はうちに預けるという手もあるぞ。」

「ああ、銀行みたいなこともやってるのか。」

「と言うか銀行なんだが。旅商人なんかだと、大金を持って旅するのは危険だからということで商業ギルドに加入してお金を預けておいて、仕入れるときに引き出したりするんだが、お前さんの場合問題なさそうだよな。」


 アダマンタイト(ランク)冒険者を襲える盗賊はいないだろうし、そもそも空間収納に収めているのだからスリすらできない。


「だな。でもこういう時に引き出す方が楽だから、白金貨1枚預けておくよ。」


 俺はもう一度空間収納から白金貨を取り出す。


「まいど。通帳を作るから少し待ってくれ。」


 そう言うと、秘書らしき人に追加で指示を出す。


「で、金を崩して何を作るんだ?なんならギルドで斡旋するぞ。」

「ああ、宿暮らしからこの前買った本拠地に引っ越すんで必要なものを買いにだな。」

「あーなるほど。服とかタオルとかその他もろもろか。だったら直接店に行った方がいいな。」


 うんうん頷くギルマス。


「まあ、直近では町の外に工場兼研究所を造ってもらうから、そこで使う資材だな。」

「ほう、何が要る?」

「当面は金属だな。種類は……うちの資材担当に聞いてくれ。昨日までここの鉱物関係の部署にいたから知ってるだろ、彼女。」


 そう言って、アモリに説明させる。

 必要な金属は黒魔鉱と鉄が主体だからそんなにかからないだろうけど。足らない金属は俺が錬金するし。

マルス:国鉄・JRの座席指定券類の予約・発券のためのコンピュータシステム。日本全国のJRの指定席券や乗車券、企画券などの座席管理や発行処理などを行うことができる。端末はみどりの窓口のほか、旅行代理店にも置かれている事もある。


お召し列車:日本における天皇、皇后、上皇、上皇后が使うために特別に運行される列車で、本作品では国王専用列車になる。

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