第33話 断罪
国王陛下、王女殿下が大広間に入り、褒賞の授与式が始まった。
通常なら国王、王女が後から入るのだが、授与者より先に入っている。
さらに、列席している人物に、冒険者ギルドのギルドマスターがいるのも特異である。なにがあったかを知らない貴族には、冒険者ギルドがなにか褒賞を受けるような魔物の討伐をしたのか?そういえば、少し前にSS級の魔物が近くに現れたと聞いたので、それを討伐したのか?など憶測をたてるが、想像の域を出なかった。
そうこうしているうちに、宰相がとうとうと声をあげた。
「それでは、これより褒賞の授与式を執り行う。まず、褒賞の事由を公表する。最初は、ヤマト様が受けられた冒険者ギルドの依頼が切っ掛けだった。その部分に関しては冒険者ギルドより報告がある。カイエン殿、よろしく頼む。」
宰相がそう前説をし、冒険者ギルドのギルマスに報告をするように促す。それを受けて、ギルマスが前に出る。
「紹介にあずかったドリュフェス王国冒険者ギルド統括ギルドマスターのカイエンだ。冒険者ギルドの報告を行う。ヤマト殿はセルウォリスの冒険者ギルドで1つの依頼を受けた。依頼内容は”盗賊退治”。通常ならそう不自然でない依頼なのだが、長期に渡って残っている依頼であり、そういう意味で不自然ではある。彼は、その依頼を想像を絶する早さで盗賊団を捕縛してしまった。そして、その盗賊団がセルウォリスの冒険者ギルドのギルドマスターと領主が裏で糸を引いていた。そのため、セルウォリスの冒険者ギルドではなく、この王都の冒険者ギルドで依頼完了の報告をする予定で王都へ向かっていた。王都までの間の話は、王国の方から発表があるので、そちらへ引き継いでもらおう。」
ギルマスは頭を下げ、席に戻った。しかし、自分がやったことを発表されるとこっぱずかしいな。再び、宰相が次の報告者を告げる。
「続いて、ヤマト様がセルウォリスから王都への移動中に、ひとつの事件に巻き込まれた。その報告を近衛騎士のクラウスより発表してもらう。」
「はっ、近衛騎士のクラウスともうします。我々はメフィリア王女の護衛として王都へ向かっていた。そこを賊に襲われ、窮地に陥っていた。そこに、SS級魔獣のフェンリルが現れたのだ。」
会場はざわめいた。そりゃあ王女の護衛がフェンリルに襲われたのだといえば、そうなるわな。
「そのフェンリルは賊に襲いかかり、我々近衛騎士には一切攻撃しなかったのだ!」
おお~~っ!と歓声が上がる会場。ふと横にいるルナに目を向けると、物凄い勢いで尻尾を振っていた。うん誉められて嬉しいのはわかるが、尻尾をおとなしくしてもらいたいな。
「そこに、ヤマト様が現れ、手に賊の首領の首を掲げ、投降するよう呼び掛けたのだ!フェンリルもヤマト様の獣魔であり、我々は、彼らの協力を得て族を捕らえることができ、姫様を護ることができたのだ!!」
「クラウス、報告ありがとう。続いて私からの報告です。その後、ヤマト様ご一行はメフィリア王女とご同道され、王城に入られました。王城では陛下と謁見し、褒賞と、ある契約を結ばれました。これについては後程まとめて発表します。更にその後、ヤマト様は王国軍と冒険者ギルドでのセルウォリスおよび、メフィリア王女を襲った賊の雇い主であるローズミア公爵の捕縛に協力していただきました。というより、ヤマト様のお陰で全員捕縛できたといっていいでしょう。」
そう言いきる宰相。
「詳細は作戦に参加したレイモンド軍務卿より報告があります。」
そう言うと、軍務卿が立ち上がり語りだした。
「ワシは、メフィリア王女殿下を旗頭にローズミア公爵とセルウォリス領主の捕縛に向かった。名目上は王国軍の訓練にメフィリア王女殿下のご臨席を賜るという事で部隊を進めた。その時、明確な犯罪の証拠があったのがセルウォリスの冒険者ギルドのギルドマスターとセルウォリスの領主だけで、ローズミア公爵の裏までは取れてなかったのだが、ヤマト様が派遣してくださったピクシーの一団が専用の通信用魔道具や、その場所の様子を記録する魔道具を持って協力していただけたお陰で、ローズミア公爵の悪事を暴くことができたのだ。」
「ローズミア公爵の罪は、違法奴隷とメフィリア王女殿下の誘拐未遂、婦女暴行等、多数の犯罪に関わっておりました。よって、公爵は斬首刑。公爵家の家臣も同様の罪で斬首もしくは犯罪奴隷として鉱山での重労働を科すことになります。ローズミア公爵の妻子ですが、嫡男も同じく罪を犯していたため斬首刑とし、奥方は実家へ送られます。娘2人のうち上はすでに嫁いでいるので不問とし、下の娘も本来罪はないのですが、父と兄が重犯罪者のため引き取る親族がいないので、現状保留としております。セルウォリスの領主も公爵と同罪で斬首刑。妻子は何も関与がなかったので無罪ではあるものの、領主の肥やした私腹を生活費にしていたので、今後苦しくなるだろう。セルウォリス冒険者ギルドのギルドマスターは冒険者ギルドの方で裁かれる。」
宰相によりローズミア公爵をはじめとした罪人の刑が公表された。
「さて、ここまでの功績を挙げたヤマト殿に褒賞を与えようと思う。」
国王陛下の言葉に、誰一人異論はなかった。




