第19話 報酬
王都に帰ると、国王から10日後に王城に来てくれと伝えられた。まあ、報奨やらの調整が必要なのだろう。俺はその期間を使って、鉄道関連の研究に入ることにする。
今の構想は――――
① 機関車は魔石から魔力を取り出して使う電気式ディーゼル機関車っぽいもの。
② 保安装置や防犯装置は獣魔証の技術を応用する。
③ 運行はCTCで輸送指令からは車両番号で呼び出す。閉塞は安全運行に慣れるまではタブレット閉塞。
④ 線路には魔物避けを付けたい。
こんなところだな。あとはレールと台車用の金属を探し出すくらいか、今できることは。
まずは、魔力の力で回転する魔道具を作るわけだな。回転軸さえあればモーターになるから一番簡単だし。
と言うわけで、作ってみました。さすがチート。最初は平面に書いた魔導回路の上に軸を乗せたら、高速で横回転したんで、中心に穴を開けて軸を挿したらちゃんと回転した。
あとは実物大の車輪を使って実験だな。って、1日で動力が見込みついたよ。
ん、あと現在できることって魔物避けくらいじゃない?
運行関係は建設しながらの調節くらいだし、機関車も防犯装置もやっぱり作りながらになるな。
翌日、アリアさんの所に行くと、魔物避けの魔道具はあることを確認できた。ただ、低レベルの魔物なら避けれるが、ある程度以上の魔物には効果がないのと、獣魔証が中和するので、魔物使い系はあまり使わないそうだ。町にも同様の魔道具の結界が張られているそうだ。今度、見に行ってみよう。
――――――あ、俺まだ最初の報酬貰ってない。仕方ないから冒険者ギルドに行くか。
冒険者ギルドではもうすでに完全移籍できたオルガさんがいた。
「あれ、ヤマトさん。どうかなされましたか?」
「あ、オルガさん。実は、依頼達成報告と報酬の受け取りに来たんですよ。」
「あー、その件ですね。それは、ここだと何なので、奥でお話ししましょう。ここお願いします。」
そう言って他の受付にこの場を任せ、奥の個室に案内された。
「ここは防音の魔道具で音が外に漏れないようになっているので、極秘の依頼等の時に使う部屋になります。普通、報酬の話にはあまり使わないんですけど、事が事だけにということですね。」
「あー、色々ありましたからね。」
「そうですね。」
苦笑し合う俺たち。
「まず、依頼達成おめでとうございます。達成報告はギルマスが直接確認したので詳細は不要になります。」
「あー確かにそうですね。」
「まあ、初依頼でこの対応は異例中の異例ですね。報酬ですが、《盗賊団討伐》の報酬が1万ジン=銀貨100枚になります。ですが、依頼自体にギルドの不正があったことを認めますので、依頼人とギルド側から慰謝料が追加されます。申し訳ございませんでした。」
オルガさんが謝罪する。ギルド側の人間としての対応だよな。
「ギルドの謝罪を受け入れます。オルガさんも大変でしたね。」
「そうですね。今、セルウォリスの冒険者ギルドはこの王都のサブマスターが出向して回すそうです。さすがに冒険者ギルドがなくなると問題があるので。」
それには俺も同意する。
「そうですね。魔物退治に護衛。冒険者の仕事はなくならないですからね。」
「はい。それで慰謝料ですが、ギルドの信頼を脅かす事態でしたので、1億ジン=金貨千枚と、緊急依頼《セルウォリスギルドマスター捕縛》の協力金……というか、報酬ですね。一番活躍したのがヤマトさんと聞いていますので。その報酬が同じく1億ジン=金貨千枚になります。あと、ここに来る前にあった緊急依頼ありましたよね?」
「あ、ああ。メフィリア王女の救助だっけ。」
そういえば、そんなことあったなぁ。
「はい、そちらは王家からの報償金がありましたが、冒険者ギルドからも報償金があります。こちらは規定に則った額になるので少ないですが、10万ジン=金貨1枚になります。」
うん、もう基準がよくわからないよ。
「総額は、2億と11万ジンですね。貨幣換算だと金貨2千1枚と銀貨100枚になります。あと、セルウォリスの町を出てからかかった費用は、迷惑料代わりに冒険者ギルドが支払うことになりました。こちらで確認したものは、《青薔薇》の皆さんに出してもらった食費と王都での宿代、王都で購入した獣魔証と討伐作戦で使われた魔道具ですね。魔道具の購入費用が不明なので、後で大体の購入金額を教えてください。支払わせていただきます。」
討伐作戦で使った魔道具?ああ、通信機とカメラか。
「その魔道具は俺が作ったものなので購入費用は0で処理してください。材料もここのギルマスからもらった魔石を使ったんで、費用もかかってないし。」
一瞬、オルガさんは「えっ?」という顔をするが、すぐ納得した顔になった。
「そういえば、ヤマトさんはチートでいくつかの職業を持ってましたね。では、ここには労力ってことで好きな金額を書いたらいいですよ。」
「じゃあ、レンタル扱いで……、銀貨10枚でいいですよ。」
俺の中で通信機とカメラを3日貸しただけなので、銀貨10枚=10万円だと貰いすぎだとは思うけど。しかも、使ったのは俺の召喚獣だから、派遣代は報酬に含まれてる扱いでいいだろう……。うん、貰いすぎな気がする。
「では、これで処理しますね。報酬の支払いなのですが、実は国とギルドでどっちが払うか揉めてまして、すぐにお支払できるものが無いんですよ。」
そう言って苦笑いするオルガさん。ってことは、俺まだ無一文かよ。いや、ウリアさんから借りたお金が残ってるな。あ、そうだ。
「オルガさん。報酬の中からウリアさんに銀貨10枚渡してください。借りたお金を返さないといけないので。」
オルガさんもその時一緒にいたので笑顔で。
「わかりました、こちらで返済しておきますね。」
「よろしくお願いします。」
そう言って俺は頭を下げた。
電気式ディーゼル機関車:ディーゼルエンジンで発電して、その電気でモーターを動かす機関車。動力自体はモーターだが、ディーゼルエンジンを搭載しているので、ディーゼル機関車に含まれる。
車両番号:1両1両につけられた番号。ものによって、車両番号だけで形式や動力のあるなし、運転台のあるなし、編成中のどこに繋がれているかまでわかるものもある。




