第14話 領主とギルマスと冒険者 side:領主、ギルマス、冒険者
セルウォリスの領主、ベルギナフェンディス・セルウォリスはローズミア公爵からの書状を見てほくそ笑んだ。
「公爵殿下が王女の代わりの女が欲しいとは……。わかりました、できる限り早く用意いたしましょう。」
そうローズミア公爵の執事に返事する。
「では、こちらを。」
そう言って渡したのは山吹色のお菓子だった。
「犯罪奴隷以外の奴隷を認めてないこの国では、色々と難しいですからな。」
「そうですな。」
執事と領主は笑う。
だが、二人は、透明になってその様子を見ている10の瞳に気づくことは不可能であった。
冒険者ギルドセルウォリス支店、そのギルドマスター・クラウスは執務室でワインを嗜んでいた。
「ふん、こんな田舎のギルドじゃ、この程度のワインしか手に入らないのぉ。しかし、オルガが休んでから、ギルドは大忙しじゃの。まあ、一人分の給料がないから、その分ワシの懐は暖まるから構わんじゃろ。」
いつもギリギリの人員しか置いておらず、オルガが出張で出掛けていても臨時職員を採らなかったため、ギルドの必要人員数を割ってしまっているので、その皺寄せが他の職員にきているだけだった。
そうしていると、窓に伝書鳩が留まっているのに気づく。
「!あれは領主様からか?」
窓を開け伝書鳩を中に呼び込んだ。そして、その足に付いた手紙を開ける。
「ふむ、公爵様が女奴隷を欲してるか……。鉄級か銅級に女のいるパーティがあったはすじゃ。そのパーティを壊滅させて、女を奴隷として売るかの。クックックッ。」
そんな悪い顔をしている姿を透明になって至近距離で見ている8つの瞳を、ギルマスは気づくことはできなかった。
翌朝、冒険者ギルドから、銅級冒険者パーティがある村の偵察依頼を受けて出立した。その側に1人のピクシーが透明になってついていっていることには、誰も気づかなかった。
銅級冒険者パーティ《霧の花》は、ギルマスからブルームの村に拠点を置く盗賊団の偵察を頼まれた。
パーティメンバーは4人でリーダーで透き通るような青い髪のハーフエルフの少女とリーダーと同じ髪の色のエルフの少女の姉妹に紫の髪の狼の獣人の女性とと金髪のドワーフの男性である。
それぞれ、弓術師、精霊使い、斥候、そして拳闘士だった。
彼女たちは、知らない。ギルマスが彼女たちを嵌めて奴隷にしようとしていること。そして公爵に売られようとしていること。そして、悪役三人集がまもなく断罪される場に、自分達が巻き込まれていることを……。
「くっ、回り込まれたか!」
彼女たちは盗賊団に囲まれていた。罠に嵌められたのだ。
敵がいないところを選んで逃げているが、どうも誘われてるみたいだ。
「ミル、レニ、君たちは逃げ切れ、俺がここで食い止める。」
「ベティ、あなたを置いては。」
「もうモルもいない。君たちが逃げ切って、ギルマスに報告するんだ!」
「……くっ。わかった。レニ、行こう。ベティ、生き残ってね……。」
そう言って私たちは仲間を残し逃げ出した。
森の中をできる限りの速度で走る抜ける。
「お姉ちゃん!前!!」
「!!」
そんな私たちの前に絶望が現れた。大きな狼が現れたからだ。
その大きな口は私たちなんて一飲みにできるだろう。そして、あの大きさだから、もちろん私たちより速く走れるでしょう。生き延びる方法はないのか……。




