第11話 冒険者ギルド部隊 side:ウリア
王都を出た翌朝、ボクたち冒険者部隊は夜営を終え、次の夜営場所に向かっていた。
「ギルマス!前方から何かやって来ます!」
「前からじゃと?」
他のパーティの斥候職が報告してきた。
「ふむ、こんな街道を外れた場所じゃ、盗賊じゃあるまい。魔物かもしれん。偵察を密に。」
「はい、ギルマス。」
しばらく進むと、再び斥候職が慌てて帰ってきた。
「ぎ、ギルマス!ヤバいやつがいます!!」
「どうした!?」
「SS級魔獣です!しかも、こっちに向かって一直線に来ています!!」
SS級という言葉に全員が息を飲む。
「不味いな。こんなところにSS級がいるのも、そして我々が対峙するのも不味い。」
このメンバーはセルウォリスの冒険者ギルドのギルマスを捕らえるための部隊だ。こんなところでSS級とぶつかって戦力を落とすのは得策じゃない。
「して、そのSS級魔獣はどんなやつだ?」
「はい、銀色の毛並みの巨大な狼、フェンリルです!!」
「なんだと!!」
騒然となる冒険者たち。確かにフェンリルとやりあったら命がいくつあっても足りない。だけど……。
「あの、ギルマス、いい?」
ボクは手を挙げて、みんなの注目を集めた。
「多分それ――――――――――ルナちゃんじゃないかな?ヤマト君の従魔の。」
「「「…………。」」」
全員が固まった。
あ、そうか。王都ではルナちゃんはずっと人化してたし、ヤマト君はボクたちより遅く出発したからルナちゃんがフェンリルになるところを見てない。だからフェンリル=ルナちゃんの意識がないんだ。
「従魔証付けてるから、確認したらいいと思うよ。首輪型だから分かりやすいと思う。」
ボクの言葉を聞いて斥候職の一人が「確認してきます!」と言って、偵察に行った。
1分もしないうちに、
「フェンリルに首輪が「ウリアさん!来たよ!」」
斥候職が報告するのとほぼ同時にルナちゃんが来た。
「ああ、ルナちゃん、よく来たね。ヤマト君からなにか連絡か?」
彼なら何か規格外なことをしそうだからな。
「うん、この子たち連れてきた。」
そう言うと、背中から5人のピクシーが降りてきた。
「我々、ヤマト様に召喚されたピクシーの一員。私の名をカイと言う。ヤマト様より潜入偵察および通信連絡の任を受けた。よろしく頼む。」
ピクシーの隊長が頭を下げ挨拶した。
「ああ、ヤマト殿が言っていた。ピクシーか。王国軍がもう着いたのか。」
「いえ、おそらく我々専用の通信魔道具を作られたから問題なしと判断され、我々を遣わしたのかと。」
うん、ヤマト君規格外だなぁ。
「通信魔道具だと!それを我々に譲ってもらえるのか。」
うわぁ、ギルマスがバカなことを言ってる。やはり脳筋だったか。
「この方は?」
「王都のギルマス。この通り脳筋だから気にしないで。冒険者ギルドに敵対しないでもらうと助かるけど……。」
「「「「「「!!」」」」」」
ボクが苦笑しながらカイ氏への説明を大きめの声ですると、他のメンバーの驚愕と、ギルマスが冷や汗をかいたのがわかった。
「敵対するかは上の判断ですから。あと、通信魔道具ですが、我々ピクシー用に作られたものなので皆さま方には使いづらいかと。」
実物を見せてもらうとなるほどとしか言いようがなかった。大きさがピクシーサイズなので、耳と口を当てる部分の大きさが小さすぎて人間には使いづらい。
「ヤマト様によると、私以外の者が使用することができないようになっているそうだ。あと、分解しようとすると魔導回路?とやらが消失するらしい。」
わお、規格外。
「私がヤマト様との連絡役に皆様と行動を共にし、他4名が調査のため冒険者ギルドやギルマスの家に潜入調査する予定です。指示はウリア様に従うようにと。」
「そうかい、わかったよ。」
あーやっぱりギルマスの信頼度が下がってる。まぁ、作戦会議の時に国王陛下につられやらかしたからなぁ。
「では、ヤマト様に連絡をとります。」
そう言ってカイ氏が通信魔道具を使いヤマト君に連絡する。
その後、ルナちゃんにピクシーの潜入メンバーをセルウォリスに送ってもらうことをお願いした。
しかし、これで冒険者ギルドはヤマト君に頭が上がらなくなるな。




